公務員試験の民法を得点するために押さえておくべきこと

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
civil-law

公務員試験の主要科目である民法ですが、内容は難しく範囲も広いため苦手としている受験生は多いのではないでしょうか。
他の科目に比べて圧倒的にボリュームがあるだけにほとんどの受験生は勉強時間の大半を民法に費やしています。
それでも苦手意識がなくならないのは、「闇雲に勉強している」からに過ぎません。

公務員試験で出題される民法は他の科目と同じように基本を確実に抑えることで十分得点できるものであり、効率的に勉強することが必要となります。

もし民法の苦手意識がなくならないという方や勉強の仕方がわからないという方は参考にしていただき、得点アップにつなげてください。

1 公務員試験における民法

主要5科目の一つと言われている民法ですが、各試験での出題数は以下の通りになります。なお、ここでの民法は民法1(総則・物権)と民法2(債権総論各論・親族相続)の両方を指します。

国家公務員試験
・国家総合職(法律区分)・・・12点/40点中(必須回答)
・国家一般職・・・10点/80点中(8科目40点分選択)
・裁判所職員・・・13点/30点中(必須回答)
・財務専門官・・・6/40点中(選択。商法含む)
・国税専門官・・・5点/40点中(選択)

地上公務員試験
・地方上級(全国型)・・・4点/40点中(必須回答)
・東京都特別区・・・10点/55点(40点分選択)
・東京都庁・・・記述試験で出題(選択)

選択回答のところも多いですが、専門科目全体に対する出題数が多いため、おそらく民法を全く勉強しない受験生は少ないでしょう。

しかし、どうしても民法を克服できず、民法を全捨てする人もいますが、そのような受験生の合格率は決して高くありません。
また、民法は総則・物権・債権総論・債権各論・相続親族と覚えることが非常に多く、内容も難しいことから苦手とする受験生が多い科目でもあります。

覚えることが多いため、とにかく日々根気強く、そして繰り返し取り組んでいかなければ、すぐに知識が頭から抜けていってしまいます。
法学部出身でも民法を苦手な人が周りに少なくなかったため、法学部出身でない受験生は、特に学説の部分などはとっつきにくく感じると思います。

しかし、苦手とする受験生が多いということは、逆に言えば民法を得意にできれば、他の受験生と大きく差をつけることができます。また、民法を得意とまでは言えなくても、足を引っ張らないレベルまでもってくることはとても大切なのです。

2 民法の勉強方法

前述のとおり、民法は範囲が広く、苦手とする受験生が多い科目です。
しかし、基本的な勉強方法を知った上で学習を進めることで苦手意識をなくすことができる科目でもあります。
ここでは、民法の基本的な勉強方法をお伝えしますので、これから学習を始める方やどうしても苦手と感じる人は参考にしてみてください。

2−1 まずは頻出分野から取り組もう

再三お伝えしているとおり、民法の最大の特徴はとにかく範囲が広い(勉強しなければならない量が多い)ということであり、主要5科目の中でも圧倒的に学習量が多い科目です。

特に完璧主義の人に多いのですが、民法の参考書を全て理解しようとする人がいます。
中には内田の民法のような基本書を読み込むような人もいますが、公務員試験においては全く必要ありません。

民法はすべての範囲(分野)を「完璧に」学習しようとすると、おそらく最低でも数年かかり、とてもではないですが公務員試験に間に合わせることはできないでしょう。

公務員試験の受験生は決して法曹になるために法律を勉強しているわけではないので、「あくまで公務員の筆記試験の通過のために勉強にしている」ということを頭に置いておきましょう。この認識が深入りしすぎてしまうことを防ぎます。

民法を「効率よく」攻略していくために、まずは頻出分野から取り組んでいきましょう。
例年、各試験でかなりマイナーな(たとえば譲渡担保など)分野から出題されることもありますが、まず「頻出分野=どの受験生もしっかりと勉強してくる分野」をおさえていきましょう。
逆に頻出分野を落としてしまうことで他の受験生と差をつけられてしまうということも認識しておきましょう。

各試験ごとに傾向があるかとは思いますが、ここだけは最低限おさえなければならないという分野は以下のとおりです。

・総則・・・制限行為能力者、意思表示、詐欺、代理、時効
・物権・・・即時取得、占有権、共有、抵当権
・債権総論・各論・・・債権者代位権、詐害行為取消権、連帯債務、保証、相殺、担保責任、賃貸借、不法行為

出題数が5問の場合、この分野をしっかりとおさえることができれば、少なくとも3点は確保できるでしょう。
そのため、時間がない方や民法を苦手としている方は、まずはこうした頻出分野だけでも標準レベルの問題を解けるようになるよう努めてください。

なお、裁判所職員試験のような民法の出題数が多い試験は頻出分野の学習だけでカバーすることは難しいでしょう。

裁判所職員試験の民法は難易度は高いものの、まず基本をきっちりおさえていけば、大失点することはありませんが、傾向として、質権や留置権、譲渡担保など、物権は細かい知識まで問われることが多いです。
そして出題数が多いため、受験生が手薄になりがちな分野(たとえば請負・委任といった分野、学説問題など)が出題されることがあります。

一方で過去に一度も親族・相続が出題されていないなど、裁判所職員試験は民法の出題傾向が比較的はっきりしており、合否のポイントとなります。そのため、裁判所職員を第一志望とされている方は自分なりに分析し、他科目との折り合いも考えて戦略を立ててみると良いでしょう。

2−2 民法は単純暗記ではなく理解することを努めよう

公務員試験の受験生は年明けまでは主要5科目に集中して取り組み、年が明けてからは学系やその他の教養科目も並行して取り組んでいく、というスケジュールで勉強を進めていく方が多いかと思います。
学系や教養科目は、知識の暗記をひたすら行っていくだけなので、追い込みが効き、直前に取り組んでもなんとか間に合うことも多いです。

しかし、そのように単純に暗記をするだけで乗り越えられないのが民法です。
民法はただでさえ覚えるべき内容が多いので、知識をそのまま単純に暗記していこうとすると論点がごっちゃになり、理解することができず挫折する原因となります。

たとえば、瑕疵担保責任は全部他人物、一部他人物の善意の時と悪意の時など、表を丸覚えするとなると、暗記が得意という人以外は、なかなか覚えることは難しいかと思います。

民法に限らず法律は、私達の生活を規律しているものである以上、常識や一般的な感覚が根底にあり制定されています。なぜそのように民法で定められているのか、なぜそのように決まっているのか、ということを意識して一つ一つの条文や知識、判例を見ていくことが一つのポイントです。
予備校等で講義を聞く時も、ただ講義を聞くのではなく、講師が「なぜこのような結論になるのか」という部分を説明している時に、自分の頭でも考えながら聞いてみましょう。

2−3 基本を大事にする

民法を勉強する上では、もう一つポイントとして、原則や基本となる知識や条文を常に頭に置く、という点が挙げられます。

原則とは、たとえば私的自治の原則や公平の原則、契約自由の原則といったものです。民法は私人間の規定を定めたものであるため、原則的に私人間で合意すれば法律行為(契約)は自由なのですが、それが公序良俗や公平に反する場合は無効となったり、損害賠償の規定が用いられたりするのです。

意外と、このような民法の根底にある考え方が、試験で本当に分からない問題に出会った時に役に立つので、だいたいでも良いので理解するようにしてください。

基本をおさえるだけでも6割は得点できます。細かいところに取り組んでいくのは、全体を把握してからで十分です。
そして、民法にどれくらい力を入れるかは、他教科の得意不得意にもよるし、勉強の進み具合によります。
たとえば、特別区などが第一志望で、経済原論や暗記(学系)が大得意で確実に得点できる、数的処理が得意で教養で稼げるのであまり専門試験にとらわれすぎる必要はないかも、という方は、民法に力を入れすぎる必要はないかもしれません。
一方で、裁判所職員や国家総合職等の、民法が厚めに出題される試験を第一志望にしている方は、しっかりと勉強する必要があるでしょう。

2−4 学説問題と家族法分野への取り組み方について

民法の学説問題を苦手とする人が多いですが、学説問題は理解する上で少し複雑な問題も多いですが、それほど恐れる必要はないでしょう。

なぜなら、学説問題は出題パターンが決まっているからです(占有改定、瑕疵担保責任と債務不履行などは頻出です)。
このような、よく出題される学説問題については、問題とその解答をコピーし、ノートに貼ってまとめるという方法により、頭が整理されるので効果的です。

学説問題については、過去出題されたことがない問題(見たことない問題)が本試験で出題されたら、潔く捨てましょう。このような問題は他の受験生も解けないため、捨ててしまっても問題ありません。
学説問題はほとんどが過去問と似たような問題だであるため、パターン問題のみをしっかり取り組むことで十分得点することができます。

また、家族法(親族相続)に取り組むべきか悩んでいる方もいるかと思います。私は、受験生の時にはほとんどやりませんでした。なぜなら、多くの試験では出題されない、もしくは出題されても一問なので、それよりもほかの分野を手厚く演習する方が効率が良いと考えたためです。

もちろん、時間があればやるに越したことはないですが、進度が遅れている方や勉強時間を多く確保できない受験生は捨ててしまっても他の分野をしっかりと勉強することで十分合格点に達することができます。

2−5 民法の記述試験対策について

民法の記述試験は、国家総合職二次試験、国税・財務専門官試験、東京都で出題されますが、全て複数科目の中から選択する形にとなっています。

国家総合職試験では、憲法、民法、行政法、国際法、公共政策から3題選択するかたちとなっているため選択する受験生は多いと思われますが、その他の試験を第一志望とする受験生で、民法を記述試験で選択するために民法記述をしっかりと勉強している受験生はそれほど多くないでしょう。

なぜなら、民法は何度も述べているようにとにかく範囲が広いため、記述問題のテーマとして出題が予想される問題パターンが広くならざるを得ません。
また、憲法は一行問題(たとえば、○○について論ぜよ。といった問題文が一行のパターン)が多いのに対し、民法は事例問題として出題せねば問題として成り立たない場合が多いため、答案の組み立てが複雑になりがちです。

以上のことから、国家総合職を第一志望とする方以外は、憲法や経済原論等を記述試験では選択する方が無難だと言えます。

国家総合職が第一志望の方は、まず記述試験用の参考書を一冊手元に置いておき、さらに、試験委員(教授や研究機関の方)の本に目を通しておきましょう。
例年、国家総合職の二次試験はこの試験委員の方々が専門とする分野からの出題が多いと言われています。勿論例外もありますが、このような傾向がこれまでの試験で見られている以上、入門書や薄めの本でも良いので、試験委員の方の本には目を通しておくべきです。試験委員は、官報で公開されていますし、官報を見なくても今はインターネットで検索すれば分かると思いますので、是非試験委員について確認しておきましょう。

3 まとめ

民法はあまり手を広げすぎず、まずは頻出分野を確実に理解するようになることが重要です。
公務員試験はどの科目でも頻出かつ標準レベルの問題を得点することができれば合格することができる試験です。
最初から民法は無理だと諦めず、この記事を参考に足を引っ張らないレベルまで持っていくことを目指してください。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket
電話お問い合わせ