【徹底解説】警察官になるには?試験内容とその対策について | ASK公務員 - 個別指導/論文・面接カード添削の公務員試験対策塾

【徹底解説】警察官になるには?試験内容とその対策について

  • 2018年7月25日
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ASK公務員 編集部
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警察官になりたいけれどどうすればなれるだろう?
これから警察官を目指す方のほとんどはそうした疑問を持っているのではないでしょうか。
警察官に憧れている人は多いけれど、警察官になるための方法を知らない人はとても多いです。

ご存知かとは思いますが、警察官は公務員です。そのためには公務員試験に合格しなければなりません。

ここでは警察官になるためにどうすればいいのかという疑問を解消できるよう試験内容について徹底的に説明していきますので警察官を目指す方は参考にしていただけると幸いです。

1 警察官のほとんどは地方公務員である

警察官が公務員だということはご存知の人も多いかと思いますが、ほとんどが地方公務員だということを知っている人はあまりいないかもしれません。
公務員には大きく「国家公務員」と「地方公務員」に分かれます。それぞれについて簡単に説明すると、国家公務員とは「○○省」のような国の期間に勤める人で、地方公務員は都道府県や市町村役場で働く人のことを指します。

警察官はほとんどが地方公務員だとお伝えしましたが、正確に言うと、都道府県警察のうち「警視正」以上が国家公務員で、それ以外は地方公務員であり、地方公務員として採用されても警視正からは国家公務員となります。

警察官の階級は警察法で決められており、上から警視総監・警視官・警視正・警視・警部・警部補・巡査部長・巡査となっています。

都道府県の試験を受け、警察官になると最初は「巡査」から始まり、数年ごとに昇任試験を受け合格すれば昇進していくシステムです。
警視正以上の割合は全体の1%未満となっており、非常に狭き門となっています。そのため、99%は警視以下であるため地方公務員として活躍するのが普通なのです。




2 警察官になるのは公務員試験に合格しなければならない

警察官になるには「公務員試験」に合格しなければなりません。
警察官のほとんどは地方公務員だとお伝えしましたが、地方公務員になるためには都道府県で実施している採用試験を受験するし合格する必要があります。

例えば、東京都の警察官になりたければ東京都(警視庁)が実施する警察官の採用試験に、埼玉県の警察官になりたければ埼玉県が実施する警察官の採用試験に合格しなければなりません。これについては全国どこでも共通です。

公務員試験について詳細は後述しますが、決して簡単なものではありません。警察官の採用試験で関門となるのは「教養試験」「論文試験」「面接試験」です。特に筆記試験と論文試験については試験の数ヶ月前から計画を立ててしっかりと勉強しないと合格することは難しいでしょう。
警察官の試験は行政・事務系の試験よりは易しめだと言われていますが、それでも「たまたま受けたら合格した」というようなレベルではありませんので、しっかりと対策をして受験しましょう。

※警察官の採用試験を受ける前に「身体要件」に注意しましょう!

警察官は肉体的な仕事であり、不規則的な勤務であることから以下のような「身体要件」が定められています。これは他の行政系の公務員では見られない特徴ですので、注意が必要です。(以下は警視庁の場合)

・身長…<男性>おおむね160cm以上であること<女性>おおむね154cm以上であること
・体重…<男性>おおむね48kg以上であること<女性>おおむね45kg以上であること
・視力…裸眼視力が両眼とも0.6以上、又は矯正視力が両眼とも1.0以上であること
・色覚…警察官としての職務執行に支障がないこと
・聴力…警察官としての職務執行に支障がないこと
・疾患警察官としての職務執行上、支障のある疾患がないこと
・その他身体の運動機能…警察官としての職務執行に支障がないこと

身長と体重について「おおむね」となっているのは、必ずしもこれらを満たしていなくても前後1cmや1kg以内ぐらいであれば誤差とする、ということです。
他の項目に「おおむね」と入っていないのは、必ずその条件は満たさなければならないということなので要注意です。




3 試験内容について

では実際に警察官の採用試験ではどのような内容が課されるのかを見ていきます。

警察官の採用試験では「教養試験」「論文試験(作文試験)」「体力検査」「適正試験」「面接試験」といった試験が実施されます。
自治体によって内容は様々ですが、概ねこれらの中から組み合わせてで出題されます。以下でそれぞれの詳細を見ていきましょう。

3−1 教養試験

教養試験は5つの選択肢から正しいもの、または間違っているものを選ぶ「五肢択一式」で行われます。
すべての自治体で実施され、一定以上の得点を取れないと二次試験に進むことができません。

出題される科目は以下のとおりです。

【一般知能分野】
・文章理解(現代文・古文・英文)
・判断推理
・数的推理(数的処理・判断推理)
・資料解釈

【一般知識分野】
<社会科学>
政治、経済、社会、法律
<人文科学>
日本史、世界史、地理、思想、文学・芸術
<自然科学>
数学、物理、化学、生物、地学英語(警視庁のみ)

高卒試験・大卒試験いずれもこのように教養試験では多くの科目が出題されます。

警察官の試験内容は一次試験日で大別すると、大卒試験は「5月型」「7月型」「警視庁」高卒試験では「9月型」「10月型」「警視庁」となります。(平成20〜26年の情報による)

●警察官(大卒程度)試験の科目別出題数

daisotsu-police

●警察官(高卒程度)試験の科目別出題数

kosotu-police

受験する自治体や試験日によって出題科目や科目ごとの出題数が異なります。しかし、その差は小さいものであり、重要な科目は共通しているため、文章理解や数的処理などの重要科目をしっかりと対策し全体的にまんべんなく得点できるようにすることが大切です。

※専門試験について
通常、警察官の採用試験では専門試験が課されません。しかし、埼玉県警察の「国際捜査1類」のように語学力を必要とする特殊なものについては専門試験が行われますので、必ず希望する自治体の最新の受験案内を確認するようにしてください。

学習を進める上で注意すべきこと

これから教養試験の勉強を始める方は予備校に通うか独学で勉強するかのどちらかだと思います。
もし独学で勉強を進めるのであれば問題集選びに注意が必要です。

公務員試験対策の問題集の定番といえば「スーパー過去問」や「クイックマスター」です。
しかし、これらの問題集は基礎がそれなりにできている人が問題をこなしていくためには有効的ですが、まだ基本も分からない状態で取り掛かるのは時間の無駄といえます。
というのも、こうした問題集は問題は豊富ではあるものの、その分解説が親切ではないためいきなり取り掛かるには敷居が高すぎるのです。

まずは基本的な参考書から始め基本を理解しましょう。その上で、一通り学習したら「警察官専用」の過去問題集を使うようにしましょう。国家公務員や地方上級試験対策のものではレベルが高いため、以下のような警察官の試験に特化したものを使うことが重要なのです。

[大卒程度]警察官・消防官 新スーパー過去問ゼミ 数的推理 改訂版
[大卒程度]警察官・消防官 新スーパー過去問ゼミ 数的推理 改訂版

警察官試験テキストゼロからはじめる! クイックマスター 社会科学 第2版
警察官試験テキストゼロからはじめる! クイックマスター 社会科学 第2版

3−2 論文試験(作文試験)

警察官の試験では論文試験(作文試験)も行われます。
論文試験は大卒程度、作文試験は高卒程度の試験で実施されるのが一般的です。それぞれに厳密な違いはそれほどありませんが、作文試験のほうが日常的で平易な課題で書く字数も少なめであることが多いです。

論文試験(作文試験)は課題に対する思考力、表現力、文章構成力などの試験を見るための試験であり、主に警察官としても心構えや、治安・犯罪の現状に対する認識、犯罪に対する意見などについて論述します。
時間は60〜120分、字数は800〜1200字程度という形が一般的です。

大卒程度試験、高卒程度試験ではそれぞれ以下のような内容で出題されています。

【大卒程度試験】

・都民が警視庁に期待することについて述べ、警視庁警察官を志す者として、その期待にどのように応えていくか具体的に述べなさい。

平成22年度 警視庁

・東日本大震災に対しあなたは何を感じ、それに対してこれまで行ってきたことについて述べなさい。
・電車内や飲食店など、公共の場における利用者のマナーについて、あなたなりに見苦しさをおぼえた場面とその理由及びあるべき所作について述べなさい。

平成25年度 千葉県警察官

・警察官に求められる倫理観とは

平成25年度 群馬県警察官

【高卒程度試験】

・警察官として、あなたが守らなければならないものとはどのようなものか、具体的に述べなさい。

平成22年度 警視庁

・日頃から心がけていること、又は、実行していることは何か

平成22年度 茨城県警察官

・今、一番興味のあること

平成22年度 栃木県警察官

大卒程度試験では課題があり、それについてあなたがどう考えているかを問われることが多く、高卒程度試験では自分が普段どう考え警察官として何ができるか(したいか)を問われる傾向にあります。
高卒程度試験のほうがやや抽象的な課題が多いため、自分自身の経験や考えなどを洗い出して整理するとよいでしょう。

警察官になると書類を作成する機会が多くなるため、正しい文章を書かなければなりません。
そのため、論文試験(作文試験)は、内容に筋が通っていて読みやすいか、漢字が正しく使えているかということもポイントとなります。
対策としては、ある課題を設定し、時間を測り実際に手を動かして書くことが重要です。解説だけ見て分かった気になっても実際に書こうとしても筆が進みません。必ず自分で書いてみるようにしてください。

そして、自分が書いたものを第三者に見てもらい添削をしてもらうことも重要です。人に見てもらうことで自分では気づかない内容を指摘してもらえるため、予備校などを活用してみるとよいでしょう。

なお、論文試験は「900字程度」というように字数の指定があります。これよりもあまりに少ない場合(できれば8割以上)は足切りとなってしまい、それだけで不合格となってしまうので注意しましょう。




3−3 体力検査

体力検査は一次試験、二次試験のいずれか、または両方で実施されます。
前述のように、警察官は体力仕事であり勤務も不規則になることから、職務に耐えられるかどうかが見られます。

内容としては垂直跳びや立ち幅跳び、握力、腕立て伏せ、上体起こし(腹筋)、反復横跳び、持久走、シャトルラン、バービーテスト(起立状態から両手足を伸ばして四つん這いになり、再び起立状態に戻る動作を繰り返すもの)など種目は様々であり、これらの中から6種目行うのが一般的です。
中には以下のように体力検査の基準を設けている自治体もありますので受験案内を確認するようにしましょう(香川県警察の例)。

kagawa-men

体力検査は受験案内に実施される種目が載っているので、事前に確認し普段から走りこみや腕立て伏せなど行い体力をつけておくようにしておけば大丈夫でしょう。

3−4 適正検査

適正検査とは、警察官として職務を行う上での適性があるかどうかを見るもので、性格検査や適正試験の名称で行われることもあります。すべての自治体で実施されます。
クレペリン検査やY-G検査と呼ばれるものが課されるのが一般的です。

・クレペリン検査・・・たくさん並んだ1桁の数字を隣り合う数字をその答えの1の位を答えていくというものです。たとえば、「2+7+6=15」となる場合は15の一の位である「5」が答えとなります。これにより作業の能率や正確性を計ります。

・Y−G式性格検査・・・自分の性格や行動に関する120項目の質問に「はい」「いいえ」「わかりません」のいずれかで答えるものです。似たような試験を受けたことも多いかと思いますですが、これにより大まかな性格の特性の分類を行います。

適正検査は特に対策は必要ありませんので、正確に答えることを心がけましょう。

3−5 面接試験

面接試験は教養試験や論文試験では見ることのできない人物像を評価するために行われます。二次試験で実施されるのが一般的であり、すべての自治体で実施されます。

受験者1人に対し面接官が複数人で行う「個別面接」、受験者数人で行う「集団面接」、そして受験者数人である課題についてディスカッションを行う「集団討論」のいずれか、もしくは組み合わせによって行われます。

面接試験は最終的に合格できるかどうかのカギとなっておりとても重要な試験です。いくら他の試験で得点できたとしても面接試験で失敗してしまうと苦労が水の泡となってしまいます。

「なぜ警察官になりたいのか?」「自己アピールをしてください」「今まで何かスポーツはしてきましたか」といった内容がよく聞かれます。
これらは一例に過ぎませんが、重要なのは自己分析を行うことです。

あなたがなぜ(どういうきっかけで)警察官になりたいと思ったのか、自分の過去の経験で何を学び何を成果として出してきたのか。こうしたことを棚卸しすることで自分なりの回答を作ることができます。

ネットや本の回答例をそのまま伝えても面接官はプロなのでわかってしまいます。自分なりの回答をしあなたの熱意を面接官にぶつけるようにしましょう。

3−6 資格加点

柔道・剣道の段位や語学(英語、中国語、韓国語など)、情報処理などの資格を持っている方は一次試験で一定点を加点する自治体もあります。

申請の際に、取得した証明となるものの提出が必要になります(申請のときには取得済みであるということです)。また、証明となるものについてはなくさないよう大切に保管しておきましょう。

3−7 その他の試験種目

ここまでで紹介した内容について対策しておけばほとんどの自治体に対応することができます。しかし、中にはこれら以外の試験を課す自治体があるため、志望者は注意が必要です。

例えば、警視庁は「国語試験」というものが実施されます。これは、職務に必要な国語力を図るための記述式の試験となっており、具体的には漢字の読み書きが出題されます(以下の問題例(平成27年度)参照)。

( )内の漢字の読みをひらがなで書きなさい。
Ⅰ類
(1)勉学に(勤)しむ
(2)歯に(衣)着せぬ物言い
(3)(矛先)をかわす
Ⅲ類
(1)自動(制御)装置
(2)(優雅)な舞
(3)(光沢)のある紙

( )内のひらがなを漢字で書きなさい。
Ⅰ類
(1)(とくしゅ)詐欺の撲滅
(2)(こうてん)による航空機の欠航
(3)(ろうきゅう)化した橋
Ⅲ類
(1)インフルエンザの予防(せっしゅ)
(2)(しんけん)な眼差し
(3)世界記録を(こうしん)する

「読めるけど書けない」という漢字は多いのではないでしょうか。警視庁を受験する方は漢字の対策もしっかりと行いましょう。

他には「武道」区分の試験では柔道や剣道といった実技を課す自治体もあります。




4 採用試験の倍率について

ここまでで、警察官になるためにはどのような試験をクリアしなければいけないか理解できたかと思います。
次に気になるのは「どれくらい難しいのか?」ということではないでしょうか。

試験を通過できるのはどれくらいなのか倍率を知りたい方は各自治体のHPから採用試験の競争率を見ると過去の推移を見ることができます。

例えば警視庁の場合、Ⅰ類試験の倍率は以下のようになっています(警視庁HPより引用)。

●男性警察官
keishityou-men
●女性警察官
keishityou-women

警視庁の場合、女性のほうが倍率は高めですが自治体によって異なります。
それなりの倍率であるので、不安になってしまうかもしれません。
しかし、あまり倍率を気にしすぎるのはおすすめではありません。なぜならば中には「記念受験」をする人も相当数いるからです。

公務員試験は無料で受験できることから申し込みだけして受験しない人が一定数存在します。また、明らかに合格は厳しいにも関わらずとりあえず受けてみようとする人も一定数います。
経験者採用試験や採用がものすごく少ない自治体だと倍率が数十倍〜100倍超えという場合もあります。ここまでいくと合格は難しいといえますが、10倍前後であれば努力で問題なく突破できるレベルといえます。

このように、公表されている倍率が高くても実質的にはそれほど高くない(実際はきちんと対策した人同士の競争になります)ため、「自分はこの自治体の警察官として働きたい!」という気持ちをもってしっかりと対策すれば合格することができるということを知っておきましょう。

5 まとめ

警察官はスポーツができたり体力に自信があれば簡単になれるとイメージしがちですが、実際には教養試験や論文試験(作文試験)対策など筆記試験の勉強をしっかりとしなければ合格は難しい試験です。
そして面接試験も侮ることができないので、目標とする試験を決めたら合格まで全力で対策を進めていきましょう!

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