『国家と地方でこんなに違う公務員』 | ASK公務員 - 個別指導/論文・面接カード添削の公務員試験対策塾

『国家と地方でこんなに違う公務員』

  • 2024年8月9日
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ASK公務員 編集部
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※この記事における「国家公務員」とは、国家総合職と国家一般職を指すものとします。

1.それぞれのメリット

公務員を目指すあなたは、国家と地方のどちらを選択しますか?
どちらも受験する方が多いでしょうが、これらの具体的な違いをご存知でしょうか?
もちろん雇用先は「国」と「地方自治体」に分かれるため、その業務内容や労働環境は異なります。

しかし、試験問題が似ているので、業務も同様ではないかと思われる方もみえるでしょう。
国家と地方の双方の経験がある方は少ないので、比べることも難しいでしょう。
しかし双方とも経験すると、国家と地方公務員では全く異質なものであると実感できます。

まずは、それぞれのメリットを説明します。

1-1 国家公務員のメリット

・業務内容によって省庁を選べるので、ある程度自分の興味のある分野に限定できます。
国全体の制度などを指揮・統括する責任感を味わうことができ、国民への直接対応は比較的少ないでしょう。
・ 総合職では原則として霞が関の勤務ながらも、全国転勤が楽しめます。
さらに「出向」により、一時的に地方自治体の職員にもなることがあります。
一般職においても、関東や近畿などブロック圏内での転勤が可能です。
・国家公務員用の官舎についても、総合職・一般職に関わらず全国の都市に新旧混在して用意されています。

1-2 地方公務員のメリット

・業務範囲が広いので、幅広い分野の知識を習得できます。
興味のない分野でも、意外に自らの新境地が拓けることがあります。
・納税者である地方住民に対して、顔がみえる距離で触れ合えます。
・原則として自治体内の異動のため、余暇の時間が確保しやすいでしょう。
・都道府県の職員においても、勤務地を考慮してもらえることが多いでしょう。

2.大きな違い3点

実際に国家と地方の公務員として働くにあたって、大きな違いは次の3点です。

2-1 専門性

国家公務員の専門性

国家公務員は、各省庁の所管する法律や制度の根幹を担うことから、専門的な職員いわゆる「スペシャリスト」として育成されます。
国益を主に考えなければならず、外務省などのように国外で勤務する場合もあります。
大きな省では所管する法律に従い業務範囲も広くなりますが、地方自治体に比べるとその範囲は小さいです。

地方公務員の専門性

地方自治体では広大な業務範囲の中で、いろんな部署を異動することでいわゆる「ジェネラリスト」として育成されます。
自治体職員として今年は国土交通省の職員と連絡を取っていても、自らの異動により翌年の相手が厚生労働省になるなどと、数年ごとに全く畑違いの法律・制度に向き合います。

実際の業務としては、制度の現場運用や適用に特化しています。
取り扱いが微妙な案件などについては、国の機関から「助言」をもらって解決に奔走することになります。

そんな中でも立ち位置が独特なのは、地方自治体の税務職員です。
課税・徴税の原則は、国税の法律やルールに準ずる形になります。
しかし所管する税金が「国税と地方税」できれいに別れているため、国の税務署からあれこれと指示を受けることもありません。
各自治体内でも、「スペシャリスト養成コース」として税務職員が挙げられることが多いです。
この特性を活かし、各地域の税務事務所を異動し続ける職員も一定数存在します。

2-2 勤務地

地方公務員の勤務地

地方公務員の圧倒的なメリットが、勤務地が原則としてその自治体内に限られることです。
市町村の職員ならば、たいていの異動辞令を受けても、自宅から通勤可能でしょう。
都道府県の職員は市町村よりも勤務地が拡大されますが、家族の問題などで考慮をしてもらいやすいでしょう。

国家公務員の勤務地

一方の国家公務員は、国家総合職で霞が関を始めとした全国勤務、国家一般職でもブロック別勤務となることから、引っ越しを伴う転勤が多くなります。
ブロック別勤務でも当該ブロック圏内の5・6県が勤務地となるので、長い職員生活で転居の覚悟は必要でしょう。
なお国税庁が管轄する税務署や、法務省の法務局職員などについては、たいていの市に事務所を構えているため、希望すれば異動による転勤は少なくなるかもしれません。

2-3 住民・国民対応

国家公務員の特に一般職では、制度運用や免許業務において、各業者に対応することはあります。
しかし地方公務員に比べると、住民生活レベルで接することは少ないでしょう。

ここに、地方公務員の魅力を見出す職員が多いです。
納税⇔住民サービスという分かりやすい構図が、やりがいとして実感しやすいためでしょう。
しかしひとたび大災害が発生すると、地方公務員は自治体内の部局を超えて災害対応に奔走することになるでしょう。
自らが被災者にも関わらず、避難所の運営に始まり、絶え間ない復興業務に忙殺されます。

国家公務員については情報収集・統括を行なうなど、所管の省庁は忙しくなります。
災害対応などで国土交通省が忙しくなるのは想像しやすいでしょう。
原発事故などの特殊な例では、経済産業省や環境省が地域住民の対応を続けています。

住民や国民の代表である「議員」への対応は、双方の公務員に存在します。
地域や組織の事情があるので、どちらが大変とは一概には言えません。
しかしマスコミが報じるように、国・地方問わず議員への対応に悩まされる公務員は一定数存在します。

3.まとめ 双方のメリットの他にも考えるべきこと

今まで述べてきたように、国家公務員と地方公務員にそれぞれのメリットがあります。

「この分野に興味がある!」という理由だけでは、国家公務員の業務の大変さや転勤生活に打ちのめされるかもしれません。
また「地元の自治体で家族と幸せに暮らしたい」という理由だけでは、地方自治体の業務に物足りなさを感じるかもしれません。
大事なことは、自らの性格を客観的に分析し人生を考えるだけでなく、今後の国内情勢・地方情勢を分析したうえで、各公務員のやりがいやメリットを十分に勘案することです。

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