こんにちは。ASK公務員/究進塾 編集部です。今回は、東京都の論文対策について、実際の過去問を解説します。
問題文
令和4年度東京都1類Bの問題を解説します。
問題
(1)別添の資料より、首都直下地震から命と財産を守るとともに、社会経済活動の麻痺による甚大な影響を回避するために、あなたが重要であると考える課題を200字程度で簡潔に述べよ。 (2)(1)で述べた課題に対して、都はどのような取り組みを進めるべきか、あなたの考えを述べよ。
注:交通寸断は、施設被害や交通規制によるすべての交通機能支障が解消するまでの期間。
注:四捨五入の関係上、数字は一致しないことがある。 |
別添の資料は2つあり、資料1、2にともに、東京都の採用ページでは「著作権の関係により、掲載できない」ということになっています。
資料1は、首都直下地震により想定される被害に関する資料です。これは、平成25年12月に出された中央防災会議首都直下地震対策検討ワーキンググループ、首都直下地震の被害想定と対策についての最終報告からまとめられたグラフです。
資料2は、令和3年10月8日の読売新聞の朝刊の記事で、見出しは「東京埼玉震度5強、マグニチュード5.9、5都県28人怪我」というものです。
ポイント
今回の問題は「首都直下地震で命と財産を守るには」といった観点に加え、「社会経済活動の麻痺による甚大な影響を回避するには」といった観点からも述べなくてはいけません。東京都は、日本の社会経済活動の中心地であるだけに、こうした言葉が入ったのではないかと思います。
資料1で気になるポイントは、建物などの被害で、地震火災による損失がおよそ41万2,000棟、人的被害にも地震火災による死者がおよそ1万6,000人というところです。
それから交通寸断に関してもピックアップします。資料2の記事を読むと、令和3年10月の地震でも「鉄道の運行を見合わせや脱線事故高速道路などの通行止めが起きた」という事実が報じられています。ということで、(1)の問題は200字程度という短い字数の問題ですので、火災と交通に絞って記述するといいでしょう。
そして(2)で東京都が進めるべき取り組みを述べていきますが、ここで資料「未来の東京」を参考にします。
出典元:「未来の東京」戦略 version up 2023 (デジタルブック)より
この中の戦略8に関連したテーマが、「大地震があっても倒れない、燃えない、助かるまち作りを推進」で、「無電柱化や建築物の耐震化、木密地域の不燃化など、巨大地震への対策をさらに強化する緊急輸送網整備を加速させるとともに、発災後の迅速な初動対応や円滑な避難、生活継続に繋げる取り組みを強化する」となっています。
その中で、「燃えないまちの形成を促進する支援を、整備地域全体へ拡大」というところに注目します。市街地の不燃化促進、特定整備路線の整備といったところが書けるといいでしょう。東京都では、木造住宅密集地域の不燃化を推進していますが、これをどのように推進していくのかを考えてみましょう。
一方で、「建築物の耐震化支援をさらに充実」というところも注目です。木造住宅の耐震化や、ピロティを有するマンションの対策といったことを述べていくといいです。地域の防災力をいかに上げていくのか、AR技術やAIの活用などの点からも考えてみましょう。
出典元:「未来の東京」戦略 version up 2023 (デジタルブック)より
もう一つの観点である「社会経済活動の麻痺による甚大な影響の回避」ですが、社会経済活動の基盤となっているものはインフラです。交通網や輸送網の確保、災害時の電力、通信、データ不足の解消といったことを書きたいところです。
未来の東京でも、関東大震災100年事業として様々な取り組みが紹介されています。東京とどまるマンションの普及、建築物における液状化対策、帰宅困難者対策なども知っておきましょう。
まとめ
論文は書いた後で添削を受けることで上達します。授業では、検索の際に背景知識をお伝えすることにも力を入れています。説得力のある論文を書きたいという方は、どうぞお問い合わせください。
おわりに
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◆尾川講師の授業の特徴
この記事は、ASK公務員/究進塾の担当、尾川直子講師の解説動画を元に作成しています。講義・講師の雰囲気を知りたい方は、ぜひ動画も併せてご覧ください。尾川講師のプロフィールはこちら。