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公務員を体験して分かったこと

  • 2024年8月9日
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ASK公務員 編集部
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公務員になりたいと思っている方も、なりたい職業が分からなくて調べている方も、公務員として実際に働く生活は、どんな感じなのかな? と興味をお持ちではありませんか?

筆者は、大都市である政令指定都市に大卒区分(地方上級公務員)で入庁し、22歳から38年間、今年の春に部長として退職するまで、長年にわたり勤務してきました。

ここでは、大都市の市役所で実際にどんな仕事をしてきたのか、公務員の生活はどんな生活だったのか、一部ご紹介します。

1.思い出深い仕事について、お話しします

私は、20代後半から30代前半にかけて、公務員として、市の教育委員会で勤務しました。
そこで、私は一生忘れることのできない仕事を経験しました。

それは、市の「『生涯学習推進構想』を、策定すること」でした。

当時、社会教育部社会教育課という部署に所属しており、私の事務分掌としては、

・社会教育委員に関すること
・PTA研修に関すること

などが大きな仕事でしたが、その他にも、当時ちょうど導入されたばかりの

・学校週5日制への対応

というのも、喫緊の課題でした。
今は、公立小中学校は土曜日が休日なのは当たり前となっていますが、平成の初期までは、土曜日は授業があったのです。

○学校週5日制は、(中略)平成4年9月から月1回、平成7年4月からは月2回という形で段階的に実施してきました。〈引用元:文部科学省ホームページ〉

小学校が土曜日に新しく休みになりましたので、共働きの家庭では、特に低学年の子どもを家で留守番させられないような状況に、どう対応すれば良いか、というようなことが盛んに議論されておりました。
児童館における放課後児童クラブでの受入れ、あるいは休みの土曜日に地下鉄で市内を周遊してスタンプを押す「サタデーテーリング」という事業を始めるなど、大人たちは、小学校の新しい休みにどうやって児童を有意義に過ごさせ、孤立させずに居場所をつくるか、と頭をひねったものです。

「学校教育」と「家庭教育」と「社会教育」が連携をすべき、と当時から良く言われていました。

さて、「生涯教育」「生涯学習」の必要性を大きく唱えられるようになったのも、この頃です。
生涯学習振興法の施行(平成2年)や、生涯学習審議会の答申「今後の社会の動向に対応した生涯学習の振興方策について」が平成4年に出されたことを契機として、各都道府県には、生涯学習推進基本構想を策定して住民の生涯学習を振興することが、早急に講じるべき施策として課されたのです。
政令指定都市は、住民サービスを直接担う基礎自治体であると同時に、多くの場合、都道府県と同様の権限や義務もありますので、やはり早急に講じる必要がありました。

2.市の長期構想を策定する担当者になりました

こうして私は、市で初めてとなる『生涯学習推進構想』というものを、策定する担当者となりました。

でも、誰もやったことがないので、どうしたら良いのか分からないのです。
生涯学習というのは、とても広い概念です。
「人々が生涯に行うあらゆる学習」を指すものです。

教育委員会が担当していましたが、教育委員会が単独で文案を作成したところで、それではあくまで「市教委」の作文にしかなりません。「市」全体の長期構想とするためには、どのように作成し、どのようにオーソライズする必要があるのか、真剣に考えました。

文案を作成するにも、ただ理想を書けばいいというものではありません。

【総論】として、このような工程を辿りました。

✅生涯学習の必要性と社会的背景をふまえ、
✅本市の特性と「生涯学習」の現状を把握するところから始まり、
✅現状から課題を抽出し、共通テーマでくくり
✅課題に対応するための方向性を導き出し
✅3つの方向性を施策の柱とし、方針を立てる

市の産業構造や年齢構成、学習機会や学習ニーズは、どこにどういうものがあるのか。
インターネットが、まだ一般的に利用できない時代でしたが、資料や各種調査、文献などを調べた上で、【総論】をまとめ上げました。

そして、【各論】として、
✅3つの方向性〈施策の柱〉に基づき、施策を掲げる
✅施策の柱の他に、「学習支援の体制づくり」の方策を述べる

という構成にして、文案を作成しました。

これらをまとめ上げるのと並行して、市長部局の関係10局と教育委員会を合わせ、11局で「市生涯学習推進構想策定委員会」を設置し、部長会議を幹事会に、課長会議をワーキングメンバー会議として、意見交換を行いました。

さらに、外部の方の意見もお聞きするため、
社会教育委員会議から頂いていた「市生涯学習推進構想の策定について」の提言に加え、
「生涯学習懇話会」を設置し、各方面から意見を頂き、
最終的な「生涯学習推進構想」に反映しました。
並行して、副市長や市長へと企画調整会議のステップを経て、平成7年3月に、市全体の構想とすることができました。

3.その頃の公務員生活

私は当時、実は少し前に結婚した後、病気で3回手術をしたため、病気休職から復職して約1年経過したというところでした。
退職も悩んだ後に、仕事を続けていこうと決めて、構想の策定という大きな仕事を担うこととなりました。

上記の庁内会議でキツい意見をぶつけられたり、業務量も多く、ストレスやプレッシャーは相当にありました。
でも、構想の策定という大きな目標に向けて、ある程度の残業があっても毎日ではなかったですし、無事にやり遂げることができました。

4.公務員の経験から、分かったこと

かつて、公務員は「9時-5時」で仕事は楽だろう、という認識が世の中に広がっていた時代がありました。
その後、景気や世情の影響も受け、公務員の人数を減らすべきとの議論や動向があり、今では、公務員、官僚の仕事がハードであるといった話をよく耳にするようになりました。

もちろん、仕事ですから、大変な状況というのは時に、あるいはしばしば、訪れます。
ただ大抵は、大変な状況にも波があり、ある程度は到達点というのが見えてくることがほとんどです。

私は、数々の大変な状況も経験しましたが、市に自分の仕事を形で残すことができました。私が最初に作った『生涯学習推進構想』を元に、その後、生涯学習センターが建設され、各種事業が行われました
この構想も、今では第3次構想と、後に続いています。

この仕事によって、私自身も大きく成長できましたので、経験に感謝しています。

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