地方公務員のうち、専門的な技術や知識を必要とする職種を「技術職」といいます。
地方公務員の「技術職」には、どんな技術を持った人たちが就いているのでしょうか?
大学の理系学科で勉強した専攻内容と、公務員の職種や仕事内容は、どんな関連があるのでしょうか。
ここでは、私たちの暮らしに身近な地方公務員のうち、大都市特例で都道府県に近い業務権限を多くもつ政令指定都市の「技術職」の仕事内容を見ていきましょう!
この記事の目次
1.地方公務員の技術職には、どんな職種があるのでしょうか?技術職の仕事内容と一緒に紹介します!
技術職といっても、具体的には、土木職、建築職、電気職、機械職、衛生職など、
理系の知識や技術を必要とするたくさんの職種を包括して「技術職」と呼ぶことが通例です。
それでは、技術職の主な職種と仕事内容を具体的に見ていきましょう!
▼土木職 〔地方公務員・技術職〕
技術職の中でも職員数の多い土木職は、
市役所であれば、建設局の土木部道路課や街路工事課など、
区役所であれば、土木センターなどに配属となります。
仕事内容は、道路の新設や改良工事などが挙げられます。
土木職の職員は、道路の整備や更新を行う計画を立て、
住民や関係者の合意を得るなどの調整を行い、道路を完成させるための仕事を行います。
工事に際しては、発注するための仕様書や図面などの関係書類を作成・準備し、
入札をして契約を締結するというのが一般的です。監督業務を行うこともあります。
数ある公園の整備・保全や改良工事なども土木職の仕事です。
▼建築職 〔地方公務員・技術職〕
建築職は、都市局建築部建築工事課や建築住宅局建築課などに配属となります。
仕事内容は、区役所や学校、図書館といった市有施設の新築や増改築、
改修工事を行うにあたって設計と工事の発注などを行います。
市営住宅の建築や改修、解体工事などの設計も行います。
設計内容について事業者と打合せをしたり、工事の現場確認をして、
計画どおりに工事が行われているか工程確認する、というのも建築職の仕事です。
▼電気職 〔地方公務員・技術職〕
電気職は、都市局や交通局その他電気関係職場に配属され、
浄水場、下水処理場や清掃工場などプラント施設、市有施設の電気設備工事の計画、
設計や施工監理、電気的設備の保守・保全、運営といった業務などに従事します。
○設計とは⇒仕様を検討し、設計図面を作成、積算、工事予定額算出
○施工監理とは⇒図面との照合、安全管理、工程管理
工事の対象となる電気設備としては、
受変電、発電機、照明、動力、ロードヒーティングといった強電設備、
放送、電話、情報通信、監視制御といった弱電設備があります。
▼機械職 〔地方公務員・技術職〕
機械職は、環境局や都市局などの機械関係職場に配属となり、
プラント施設やインフラ施設、学校など市有施設の機械設備の計画や設計、施工監理といった業務などを行います。
また、施設の維持管理、空調設備や給排水、自動制御などの設備を保守・管理し、
運用しています。
企画・計画業務では、5年先、10年先の市を見据えて計画を作成します。
上述の電気職と機械職は、合わせて「設備職」と呼ばれることもあります。
▼衛生職(総合科学) 〔地方公務員・技術職〕
衛生職は、保健福祉局や衛生関係職場などに配属され、
食品衛生、環境衛生、医務薬事の監視指導、また水質管理や環境保全といった業務に
従事します。
保健所の食品衛生の分野では、
飲食店の営業許可や指導、食中毒の調査や被害防止、啓発をします。
医務薬事の分野では、病院や薬局の立入検査、許認可を担当します。
医療従事者への研修や、感染症対策の疫学調査や検査なども行います。
衛生研究所では、新生児マススクリーニング検査の新しい検査技術の開発など、
先進的な取組も行います。
2.技術職と出身学部・学科との関係
地方公務員の技術職と、大学の出身学部・学科は、どのような関係があるのでしょうか?
たとえば保健所の食品衛生の分野には、
微生物学や公衆衛生学の知識が必要であるため、
薬学部や農学部の特定の学科を修め、食品衛生監視員の資格をもつ職員が配置されるなど、職務内容と知識・技術には一定の関係があります。
▼土木職
出身学科⇒工学部土木工学科、社会環境工学科、環境都市工学科など
〔高専・短大卒区分〕土木工学、環境都市工学を学べる高等専門学校、専門学校など |
▼建築職
出身学科⇒工学部建築学科、建築社会環境学科など
〔高専・短大卒区分〕建築学を学べる高等専門学校、専門学校など |
▼電気職
出身学科⇒工学部電気電子工学科など
〔高専・短大卒区分〕電気工学を学べる高等専門学校、専門学校など |
▼機械職
出身学科⇒工学部機械工学科など
〔高専・短大卒区分〕機械工学を学べる高等専門学校、専門学校など |
▼衛生職
出身学部⇒薬学部、理学部、工学部、農学部など、広範多岐にわたる |
3.技術職が行政職といわれるゆえん
〔行政職〕という呼び方は、一般行政など事務職を指すことが多いのですが、
技術職も大きな分類の中で〔行政職〕といわれます。
技術職は、公共のインフラを整備するなど大きな役割を果たしていますが、
公共施設の新設や増改築、改修などの計画を立てて、工事などを実行に移すにあたっては、地元住民の意見を聴いたり、さまざまな関係者との調整を行います。
市街地の再開発や都市政策、総合交通計画といった、10年後、20年後のまちを形づくるダイナミズムを感じられるのが、技術職です。
食品衛生や公衆衛生、医療政策など、市民の健康と安全にも重要な役割を果たします。
市民のくらしと住みやすいまちづくりに、技術職はその力を発揮しているのです。
4.意外と知られていない技術職の仕事内容
電気職の仕事として、
情報通信ネットワークの構築や情報システムの開発・運用管理があります。
また、太陽光パネルの施設への設置や雪冷熱エネルギーの施設への利用を進めるなど、新エネルギー・省エネルギーの推進も重要な役割なのです。
○新エネルギー
太陽光発電、水力発電、風力発電、天然ガス・コージェネレーション、雪冷熱
○省エネルギー
LED照明、人感センサー、高効率変圧器の採用
5.まとめ~技術職は幅が広く、奥が深い
ここまで見て来たように、専門分野の仕事に携わることが多い技術職ですが、
その職域は幅が広く、それぞれが奥深い内容となっています。
まちづくりと市民の安全なくらしに欠かせない、重要な役割を占める技術職。
大学や高専などで学んだ知識や技術を活かし、自治体をもっと住みよく、安全なまちにしていく〔地方公務員・技術職〕として、あなたの力を発揮してみませんか?