この記事の目次
社会人から公務員へ。経験を活かした新たなキャリアの選択肢
民間企業で働いた経験のある皆さん、公務員という道があることをご存知ですか?
東京都では、社会人経験者向けの採用枠を大きく広げており、令和7年度は採用予定人数も多く、まさにチャンスの年です。
今回は、東京都職員の経験者採用試験を中心に、特別区やその他の自治体が実施する社会人採用試験の情報や傾向についてご紹介します。
1.新卒じゃなくても大丈夫。キャリアを活かして公務員に
「公務員試験は学生時代に専門の勉強をしていないと難しい…」そんなイメージを持つ方も多いかもしれません。
しかし、近年では多くの自治体が、新卒採用とは別に「経験者採用」や「社会人採用」の試験枠を設けており、これまでの職務経験を活かして受験することが可能です。
試験内容やスケジュールをしっかり調べ、対策を立てて臨めば、公務員として新たなキャリアを築くことができます。
2.実はねらい目?東京都の経験者採用試験
「東京都職員になるのは難しそう…」と思われる方もいるかもしれませんが、実は今、経験者にとって非常にねらい目の試験となっています。
令和7年度の東京都職員採用試験では、事務職の経験者枠が301人と大幅に採用予定数が増加しました。
令和6年度から本格的に選考が始まり、さらに同年12月からは事務職・建築職にも対象が拡大され、民間企業等の経験を積極的に活かす動きが加速しています。
背景には、「TOKYO強靭化プロジェクト」や「『未来の東京』戦略」を支えるための体制強化があり、実務能力のある社会人経験者への期待が高まっていることがうかがえます。
配属先と希望記載
配属先は、知事部局、交通局、水道局、下水道局、行政委員会、学校などがあり、申込時に希望する配属先区分を記入する仕組みとなっています。
そのため、あらかじめ業務内容をイメージしやすく、配属後のミスマッチも起こりにくい制度です。
年間を通じた「通年採用」
令和7年度からは、第1期~第4期までの通年採用が実施され、年間を通じて複数回の受験チャンスが設けられています。
通年採用でチャンスが拡大!東京都の事務職 経験者採用スケジュール
東京都では令和7年度から、事務職の経験者採用について「第1期~第4期」の通年採用を実施しており、年4回の受験機会が設けられています。
各期ごとに申込受付・選考・採用時期が異なるため、ご自身の現在の仕事の状況やライフプランに応じて、受験のタイミングを柔軟に選ぶことができます。
■ 第1期スケジュール
申込受付期間 | 令和7年4月21日~6月5日(午後3時まで) |
第1次選考日 | 令和7年6月17日~30日の間で受験者が選択 |
第1次合格発表日 | 令和7年7月11日 |
第2次選考日 | 令和7年7月30日~8月3日の間で東京都が指定 |
最終合格発表日 | 令和7年8月31日 |
採用予定日 | 令和7年10月1日 |
■ 第2期スケジュール
申込受付期間 | 令和7年6月23日~9月3日(午後3時まで) |
第1次選考日 | 令和7年9月12日~25日の間で受験者が選択 |
第1次合格発表日 | 令和7年10月7日 |
第2次選考日 | 令和7年10月15日~19日の間で東京都が指定 |
最終合格発表日 | 令和7年10月31日 |
採用予定日 | 令和8年1月1日 |
■ 第3期・第4期スケジュール(予定)
第3期・第4期についても、以下のように採用予定日が設定されています。現在の職場の退職時期やご家庭の事情などと照らし合わせて、最適な時期を選びやすくなっています。
- 第3期:採用予定日 令和8年 4月1日
- 第4期:採用予定日 令和8年 7月1日
これらの通年採用の実施により、従来よりも柔軟に、公務員への転職を目指すことが可能になりました。
「今の職場を〇月に退職予定」「年度末まで働いてから転職したい」など、ご自身のライフプランやキャリア設計に合わせて受験タイミングを選べるのが大きなメリットです。
応募を検討される方は、各期の申込期間や選考日程を見逃さないよう、早めの準備をおすすめします。
受験資格と職務経験年数
主事級の場合、四年制大学卒業後4年以上の職務経験が必要となるなど、職種ごとに詳細な要件が定められています。試験案内をよく確認しましょう。
主任級・課長代理級も
さらに、高度な知識・経験を有する「主任級」の最終合格者のうち、一定の条件を満たす方は「課長代理級職選考」を経て、課長代理級職としての採用となる場合もあります。
初任給の目安(地域手当込み)
主事級職(事務) | 約293,400円 |
主任級職 | 約320,200円 |
課長代理級職 | 約363,100円 |
※令和7年4月1日時点の給与月額に地域手当を加えたものです。
試験内容
- 第1次選考:SPI3による適性検査
- 第2次選考:個別面接(口述試験)
また、書類審査では「職務経歴書」「エントリーシート」も評価対象となります。しっかりと自己分析を行い、アピールポイントを整理して臨みましょう。
3.東京都以外にもある、経験者・社会人採用
◎特別区(東京23区)
特別区では、東京都とは別に経験者採用試験を実施しています。試験は春(福祉職)と秋に行われ、令和7年度秋の試験案内は6月26日に公表される予定です。詳しくは、公式サイトをご確認ください。
▶令和6年度の試験内容は、以下の通りですので参考にしてください。
事務(一般事務)
第1次試験
教養試験 | ① 知能分野:必須〔文章理解(英文含む)、判断推理、数的処理、資料解釈及び空間把握〕 ② 知識分野:必須〔社会事情〕 ③ 知能分野:選択〔人文科学、社会科学及び自然科学〕 |
職務経験論文 | 課題式:必須 1,200字以上1,500字程度 |
課題式論文 | 課題式:選択 1,200字以上1,500字程度 |
第2次試験は、「口述試験」となっており、人物及び職務経験などについての個別面接となっています。
◎札幌市
札幌市では「行政コース」「福祉コース」に分かれて社会人採用試験が行われます。
令和7年度の試験は、筆記試験が9月28日(日)、1次面接が11月上旬、2次面接が11月下旬を予定しています。試験案内は6月18日に公表されています。
◎名古屋市
名古屋市では、令和7年度から「社会人枠(26~39歳)」が新設されました(※令和8年4月1日時点での年齢)。
この「社会人枠」ではSPI3による適性検査が導入され、民間企業の採用試験と近い形式で受けやすくなっています。
さらに、「職務経験者枠」は40歳~61歳が対象となる見込みです。試験案内は6月20日に公表されました。
4.まとめ ~ 社会人・経験者こそ、公務員試験で活躍できる
近年、地方自治体の公務員採用は社会人や経験者に対して広く門戸を開いています。
特にSPI3方式による適性検査の導入が進み、従来の教養試験とは異なる視点で、職務遂行に必要な力を測る流れが主流となりつつあります。
「職務経歴書」や「エントリーシート」、そして「口述試験(面接)」では、これまで培った経験やスキルをしっかりと伝える準備が重要です。
ご自身のキャリアを新たな形で活かす選択肢として、公務員という道をぜひご検討ください。