公務員試験のうち、高卒者が受験できる専門職員として、「入国警備官」があります。
2024年に日本へ入国した外国人の数は、過去最高の約4,034万人を記録しました。
出入国を管理し、日本の安全なくらしを守る「出入国在留管理庁」とそこで働く職員の役割は、ますます大きくなっています。
国家公務員として、「入国警備官」に採用されるには、どのような採用試験を受ける必要があるのでしょうか?
「入国警備官」の仕事と入国警備官採用試験について、詳しく解説します。
この記事の目次
1.入国警備官とは?
あまり聞きなじみのない職業かもしれませんが、「入国警備官」は国際化社会である現代において、日本の安全を守る重要な仕事を担っています。
出入国管理及び難民認定法(入管法)に違反している疑いのある外国人の調査、摘発、収容、送還などを行い、日本の安全と国民生活を守るために活躍する「入国警備官」。
入国警備官になるには、「国家公務員入国警備官採用試験―高等学校卒業程度―」を受験し、合格する必要があります。
【受験資格】として、次の2区分があります。
※詳細は、〔2025年度入国警備官採用試験〕受験案内でお確かめください。
1) 警備官
令和7年4月1日において、高校または中等教育学校を卒業した日の翌日から5年を経過していない者及び令和8年3月までに高校または中等教育学校を卒業する見込みの者
2) 警備官(社会人)
昭和60年4月2日以降に生まれた者((1)の期間が経過した者に限る)
2.入国警備官の仕事や研修、キャリアパスについて
(1)入国警備官の仕事内容
国際交流が活性化している現在、日本へ多くの人々がさまざまな目的で入国していますが、中には、観光などの目的を装って入国し、犯罪に走る外国人や不法就労を行う外国人もいます。
入国警備官は、寄せられた情報などに基づいて、入管法に違反している疑いのある外国人について調査したり、必要な情報を収集したりといった「違反調査」を行います。
必要があれば、裁判所の許可を得て捜索をすることや、入管法に違反している外国人の身柄を拘束するといった「摘発」を行うこともあります。
また、地方出入国在留管理局に設置された収容施設に、「収容」の手続きを行い、収容中の処遇に当たるのも入国警備官の仕事です。
退去強制令書が発布された場合には、国籍国に「送還」することまで行います。
(2)入国警備官の勤務場所と研修
採用候補者名簿に記載されると、全国の地方出入国在留管理局または入国者収容所入国管理センターに採用が決定されます。
これらの官署で若干勤務した後、約3ヵ月間の初任科研修があります。
研修施設において、憲法、行政法、出入国管理及び難民認定法、外国語などの学習のほか、逮捕術などの訓練もあります。
(3)入国警備官のキャリアパス
入国警備官の階級には、警守、警守長、警備士補、警備士、警備士長、警備長、警備監の7階級があります。
採用後は、主に地方出入国在留管理局などで勤務し、実務を経験しますが、
出向や本庁勤務、海外赴任などの機会もあれば、エキスパートとして活躍する場合も。努力次第で上位の階級に昇進することができ、十人十色のキャリアパスがあります。
3.入国警備官になるための採用試験は、どのように行われるのか?
入国警備官の採用試験の日程と試験内容は、次のようになっています。
(1)入国警備官採用試験の日程
(2)入国警備官採用試験の内容
(注)警備官区分については、基礎能力試験(多肢選択式)の成績で、第1次試験の合格者が決定されます。作文試験は、第1次試験の合格者を対象に評定が行われ、その上で最終合格者の決定に反映されます。
*については、合否の判定のみが行われます。
過去3カ年の採用実績を見ると、採用者数が増えてきているのが分かります。
なお、令和7年度の入国警備官採用予定人数は、約160人(社会人区分は、若干名)と予定されています。
4.まとめ~試験対策
出入国在留管理行政は、増加する海外からの入国者数や在留外国人の人数に伴い、成長を続けており、日本の安全なくらしを守る重要な仕事です。
やりがいのある入国警備官として働くために、採用試験の対策としては次のようなことが挙げられます。
筆記試験については、①公務員として必要な基礎的能力についての基礎能力試験、②作文試験の2つです。
①基礎能力試験については、判断推理や数的処理の解き方を身につけ、憲法、政治経済、公共といった社会の勉強にも力を入れるとよいでしょう。
②作文試験については、過去の問題などから作文を書いて、できれば添削やアドバイスを受けて練習することが有効です。
これらの筆記試験に向けた勉強と面接試験の準備が必要になってきます。
ぜひ、ご自分に合った方法で試験に臨んでください。