公務員試験のなかでも最難関の試験とされ、国の中枢機関で政策の企画や立案に携わるトップオブ公務員試験である「国家総合職試験」について採用までの流れについて書いていきます。(国家一般職については国家一般職の採用の流れと出題科目についてを参考にしてください)
国家総合職試験は「院卒者試験」と「大卒程度試験」に分かれています。院卒者試験はさらに新司法試験の合格者を対象とする「法務区分」というものがあります。
また、大卒程度試験には「教養区分」という、既存の試験区分以外の専門分野の学生や外国の大学の卒業生など多様な人材確保のための試験区分があり、試験はいずれも秋季に実施されますがほとんどの受験生は関係ないかと思われます。
大半の受験生は前述の秋季に実施されるものではなく、5月24日(日)に実施されるものを受験することとなるでしょう(平成27年度より試験日程が1ヶ月後ろ倒しになりました。詳しくはこちら)。なので以下は秋季に実施されるもの以外についての内容となります。
受験資格について
院卒者試験はその名の通り大学院を卒業している(見込も含む)ことが前提となります。
年齢の制限は平成26年度試験の場合ですと、昭和59年4月2日以降生まれ(30歳以下)という条件があります。
大卒程度試験ですと、①昭和59年4月2日〜平成5年4月2日生まれの者、もしくは②平成5年4月2日以降生まれで大卒および平成27年3月までに卒業見込の者となっています。
大卒「程度」となっているのは必ずしも大卒である必要はなく、①のケースだと年齢さえ満たしていれば問題ないわけです。
国家公務員試験に限らず、どの試験でもこの年齢制限は設けているのが普通です。特に大学を卒業して何年もたつような人はまずは試験を受けることができるかどうかを必ずチェックしましょう!
一次試験
院卒者試験、大卒程度試験いずれも択一式の基礎能力試験と専門試験が課されます。
基礎能力試験は地方公務員だと一般教養試験といわれますが、内容としては文章理解や判断推理、数的推理、資料解釈といった一般知能系科目と、自然科学(数学や物理などの理系科目)や人文科学(歴史や地理などの文系科目)、時事を含む社会が範囲となります。
特に前者の一般知能系科目のウェートが大きく、院卒者試験では8割、大卒程度試験では7割を占めるため、暗記に頼らないしっかりとした対策が必要になります。
26年度 総合職(院卒者・大卒程度試験)出題科目(専門試験・択一式)
試験区分 | 法律 | 経済 | 政治・国際 |
解答数 | 49問中40問解答 | 46問中40問解答 | 48問中40問解答 |
出題科目 | <必須科目>(31問) 憲法(7)、行政法(12)、民法(12)<選択科目>(18問中9問解答) 商法(3)、刑法(3)、労働法(3)、国際法(3)、経済学・財政学(6) |
<必須科目>(31問) 経済原論(16)、財政学・経済政策(5)、経済事情(5)、統計学・計量経済学(5)<選択科目>(15問中9問解答) 経済史・経済事情(3)、国際経済学(3)、経営学(3)、憲法(3)、民法(担保物権、親族及び相続除く)(3) |
<必須科目>(32問) 政治学・国際関係(10)、憲法・行政法(10)、民法(担保物権、親族及び相続除く)(3)、経済学・財政学(6)、経済政策(3)<選択科目>(選択A、Bから1つを選択) 選択A:政治学・行政学(8)、選択B:国際関係・国際法(8) |
試験内容は職種によって異なります。上記のものは総合職の大半が受験する法律、経済、政治・国際の試験区分ですが、他にも工学、農業科学など理系の人が受験するような試験もありますので、試験区分ごとの専門科目は出題科目については人事院のこちらのページで確認してください。
二次試験
院卒者試験と大卒程度試験では二次試験の内容が異なってきます。
院卒者試験は、専門記述試験、政策課題討議試験、人物試験となっており、大卒程度試験では、専門記述試験、政策論文試験、人物試験という構成になっています。
政策課題討議試験というのは聞き慣れないかと思いますが、プレゼンテーション能力やコミュニケーション能力を見る試験で、英文を含む資料をもとに6人1組でレジュメ作成→個別発表→グループ討議→討議をして、これらを踏まえて個別発表という内容となっています。
これは政策の企画・立案に必要な能力などを判断するものであり、日本の中枢機関で働くという特性から英語力も重視され27年度よりTOEICなどの外部英語試験の活用が決定されています(公務員になるのにTOEICなどの英語の資格は取っておいたほうがいい?でも詳しく書いています)。
二次試験合格後
二次試験に合格すれば最終合格となり、そうすると国家公務員試験の場合「官庁訪問」というものを行わなければなりません。
最終合格=内定ではないというのは抑えておいてくださいね。
官庁訪問とは自分の志望する官庁に出向いて面接試験を受けることでしてこれは人事院面接とは別ものになりますので必ず行ってください。
最終合格発表日から2日後より官庁訪問が始まり自分の志望する省庁へ出向いて面接を受けることになります。
もちろん早い日に行ったほうが面接官にとってもやる気が伝わりますので、第一志望先は初日に行くようにしてください。
ぶっつけ本番では太刀打ちできないので、必ずあらかじめ各省庁の情報を収集し対策を立てるようにしておきましょう。まぁこれは官庁訪問に限らずどんな試験でもいえることですけれども。
どこの省庁にするか悩んでいるという人は、人事院が開催する「霞が関特別講演」や「霞が関OPENゼミ」、「中央省庁セミナー」といった説明会を受けてみて、やりたいことをはっきりとさせておきましょう。
なかなか受験勉強で忙しくてそこまで手が回らないっていう人も多いかもしれませんが、直前に焦って官庁訪問で失敗してしまうよりはいいかと思いますので、ぜひとも1度はこうした説明会に足を運んでみてください。