1.はじめに
公務員試験は、民間企業と同じ筆記試験を課すことも増えてきました。しかし、倍率が高めですから、やはり公務員試験用の筆記試験を勉強しなくてはと考えている人も多い事でしょう(詳しくは、下記の記事です)。
そのとき、どうせ勉強するならいろいろな公務員試験を受けておこうとも思われる方も多いのではないでしょうか。
本シリーズでは、そのような方に向けてレアな公務員試験職種をいろいろ紹介していこうと思います。第一段は、国立国会図書館です。
仕事内容や試験内容をご紹介していきます。
2.仕事内容
国立国会図書館は立法府に属しています。そして、国会、行政・司法の各部門及び一般公衆に対して幅広いサービスを提供しています。勤務場所は、東京本館(東京都千代田区永田町)、関西館(京都府相楽郡精華町)又は国際子ども図書館(東京都台東区上野公園)です。
国立国会図書館の業務は調査業務・司書業務・一般事務に分けられ、総合職試験、一般職試験等での採用者はこれら 3 つの業務の様々な仕事を担います。
■例えば、「調査及び立法考査局」では、国会の立法活動を補佐するため、国会議員やその他の国会関係者に対して、法案等の分析・評価、国政審議に係る政治、経済、社会等各分野の調査及び情報提供を行います。また、国会情報・立法情報への国民のアクセスを容易にし、国会と国民とをつなぐ役割も果たします。
つまり、国会議員等から調査の依頼を受けて、所蔵資料や データベースを使って調査を行い、報告書にまとめたり、国会議員に直接説明したりするわけですね。加えて、国会で論点になりそうな国政課題に関する調査研究を行い、その結果をレポートに取りまとめ、刊行物として国会議員等に提供をしています。
■それから、「収集書誌部」では、国内で刊行された全ての出版物は、納本制度に基づき、国立国会図書館に納入することが義務づけられていますので、図書・雑誌・新聞のほか、CD・DVD 等の電子出版物、地図や楽譜などを収集します。これ以外に、購入・寄贈等の手段も活用し、広く収集し、収集した資料のタイトルや著者名、主題を表すキーワード等、資料を探す手がかりとなる情報を記録し
た書誌データを作成しています。外国の出版物は、購入・国際交換等により、国会活動の補佐や学術的な調査・研究に役立つ資料、日本関係資料等を選択して収集しているそうです。
ありとあらゆる著作物に出会える意味で、刺激的な職場環境ですよね。
■もちろん、図書館ですから、利用者サービスもあります。これは、「利用者サービス部」といって、資料の閲覧、複写、レファレンスといった来館サービスの提供と、遠隔複写やデジタル化資料の送信といった来館せずに利用できる遠隔サービスの提供を担っています。専門知識をいかして膨大な資料・情報を整理し、効果的な調べ方のガイドの作成や、特色ある資料を紹介する展示会の開催等もあり、色々な角度から我々の調べものを手助けしてくれます。
以上に加え、関西館や国際子ども図書館での仕事もあるわけですので、本当にいろいろなステージが用意されている職場ですね。
3.働き方・福利厚生など
身分は特別職の国家公務員ですが、一般職の国家公務員と待遇に遜色はありません。つまり、国立国会図書館の総合職であれば国家公務員総合職並みの、一般職であれば国家公務員一般職並みの待遇ということですね。
設置場所としては主に東京都と京都府なので、この2場所が勤務場所になります。なお、東京都渋谷区に代々木上原寮(独身者用)が、京都府相楽郡精華町に京都宿舎がありますので、その地域にお住まいでない方も合格後はそれらを利用するなどして働くことができるようです。
勤務時間は、午前 9 時から午後 5 時 45 分まで(休憩60 分を含む)を原則としつつ、育児短時間勤務、保育時間、育児時間、早出遅出勤務、時差通勤、フレックスタイム制等の制度を利用できるようです。福利厚生も手厚く、働きやすい環境が作られていますね。
そのためか、職員の男女比は、女性が51.8%と女性が多く、管理職の女性割合も35.2%となっています(令和4年度)。
キャリアパスは、調査業務・司書業務・一般事務をジョブローテーションしながら経験を積み、係員級→係長級→課長補佐級→管理職へと昇進していくようです。先輩職員のキャリアなどをみると、衆議院法制局など他の国家機関へ出張したり、海外の大学院に派遣があったりするようです(調査部門・図書館部門から若干名の職員を、シカゴ大学、アベリストウィス大学、ルクセンブルク大学、ユニバーシティ・カレッジ・ロンドン、ニューヨーク大学等へ)。
4.試験内容
国立国会図書館は狭き門です。というのも、総職員数が約900名と少ないことから、毎年の採用試験人数が僅かとなっているためです。
例えば、令和6年度の採用人数は総合職では4人で、応募数は406人ですから、倍率100倍以上です。一般職でも、応募数593人に対し、16人採用ですので、約37倍の倍率です。
ということで、目指すのであれば、しっかり準備をして臨まなければなりません。では、試験内容はどうなっているのでしょうか。
【第一次試験】
総合職・一般職ともに、1次試験が教養試験(多肢選択式120分)です。
総合職は3月3~4週目の日曜日に、一般職は4月3~4週目の日曜日にそれぞれありますので、申込も2月上旬と、早いので注意しましょう(あくまで、令和6年ベースですので、興味ある方は国立国会図書館のHPで確認して下さい)。
国立国会図書館ホームページ: https://www.ndl.go.jp/
【第二次試験】
2次試験として、総合職・一般職ともに、学力をみられる試験として、
①専門記述 ②英語 があります。 そして、 総合職だけ③小論文があります。 |
①専門記述
総合職は120分試験(90分+30分、90分のところは一般教養と同じ)が課され、一般職は90分試験のみが課されます。
なお、受験者は「あらかじめ選択する1科目」についての筆記試験です。科目は、法学(憲法、民法、行政法、国際法から受験時に2分野選択)、政治学、経済学、社会学、文学、史学(日本史、世界史から受験時に1分野選択)、図書館情報学、物理学、化学、数学、工学・情報工学(工学全般、情報工学から受験時に1分野選択)、生物学となります。
②英語試験
60分の長文読解で、総合職試験・一般職試験共通です。
③小論文(総合職のみ)
与えられた課題文を読み、1200字以内で書くものです。
そして、第二次試験には、人物試験(質問紙法による性格検査含む)が総合職・一般職ともに課されます。令和6年度はオンライン面接でした。
【第三次試験】
総合職・一般職共に個別面接試験が対面で課されます。この最終試験においての倍率も2.5~4倍くらいで推移していますので手を抜けません。
5.おわりに~目指すなら~
国立国会図書館では、一次試験の教養試験は、他の公務員種と同様です。一次の通過は、例年の傾向をみると、総合職も一般職も受験者(応募者ではなく)の3分の1に入れれば通過しています。
一方、二次試験は絞り込みが強まります。二次試験の内容は、記述式の専門試験と、英語試験ですから、ここはかなり高めておく必要があります。
また、面接は2・3次試験で2回ありますので、しっかり対策をする必要があるでしょう。さらに、総合職を目指される場合は、小論文対策も必要です。
合格のためには、この2次試験の関門が必要です。ただ、大手予備校ですと一次試験対策や、選択肢を選ぶ上での専門試験対策は優れていますが、2次試験対策となると少し心許ないところが多いでしょう。
その点、究進塾のような個別指導塾では、英語、経済学、面接、小論文などの指導ができまるスタッフがいますので、自身がアウトプットしたものがどう採点されるかを知るためには、こうした個別指導を受けると良いでしょう。
【個別指導の究進塾】英語や日本史・世界史などを学習されたい方向け
【ASK公務員】経済学・数的処理・論文・面接対策などをしたい方向け
本記事では、職域が広くやりがいがあり、待遇も良い国立国会図書館職員について解説をしました。参考になれば幸いです。