2025年度(令和7年度)、国税専門官の採用試験(大学卒業程度)は、変わります。
国の財政基盤を支える重要な仕事を担う税のスペシャリスト、国税専門官。
主に文系の方が志望する【国税専門A(法文)】の専門試験の科目は、選択の幅が広がって受けやすくなりますので、詳しく解説していきます!
この記事の目次
1.国税専門官とは?
国税専門官という名前は、あまり馴染みのない人もいるかもしれませんが、税のスペシャリストとして重要な仕事を担う国家公務員です。
国税調査官、国税徴収官、国税査察官と3つの職種があります。
映画「マルサの女」(1987年、伊丹十三監督)で有名になった「マルサ」とは、国税査察官が活躍する国税局査察部のことを指す、通称なのです(マル査)。
◆ 国税調査官
個人・会社から提出された確定申告書等について、適正な申告が行われたかの調査、申告指導を行います。
◆ 国税徴収官
滞納税金の督促、滞納処分による税金徴収、納税の指導を行います。
◆ 国税査察官
悪質な脱税者に対する捜索など強制調査、検察官への告発を行います。
2.国税専門官試験の区分
国税専門官の採用試験は、
【国税専門A(法文)】と、2023年(令和5年)度に創設された【国税専門B(理工・デジタル系)】の区分に分かれています。
試験日程は、5月25日(日)が第1次試験と発表されており、受験申込はインターネットで2月20日から始まります。3月24日まで受信有効。
2025年(令和7年)度の第1次試験は
⇒ 令和7年5月25日(日)
今年は、【国税専門A(法文)】の試験科目が変更されることとなっていますので、早速、試験科目のチェックから始めていきましょう。
3.国税専門官試験は、2025年(令和7年)どう変わる?
民法・商法、会計学の必須題数が減り、選択自由度がアップ!
国税専門官採用試験の【国税専門A(法文)】区分では、専門試験(多肢選択式)の試験科目について、「民法・商法、会計学」の必須題数が減り、「選択必須科目」が設けられます。
2024年まで |
【必須科目】 民法・商法:8題(必須科目) 会計学:8題(必須科目)に加えて 【選択科目】 ※選択科目から4科目を選んで、6題ずつ解答。 |
↓ 下記のように変わりました!!
2025年以降 |
【必須+選択必須】 民法・商法:2題(必須)+選択必須科目として6題 可能 会計学:2題(必須)+選択必須科目として6題 可能 【選択必須科目】 【選択科目として自由に選んで解答】 |
👉ここがポイント!
「必須科目」の民法・商法、会計学は、必須題数(2科目×2題)が減りました。
新たに設けられた「選択必須科目」の上記5科目の中から、4科目以上を選択して6題ずつ解答します。
- 選択必須科目 4科目×6題 = 24題
又は 選択必須科目 5科目×6題 = 30題
を解答することとなります。
全体で解答する問題数は、40題ですので、組み合わせにより残りの科目が変わってきます。
「選択科目」のみから選ぶことも、未選択の「選択必須科目」を加えて選んで解答することもできるようになりました。
✅まず、40題から「必須科目」の4題を引きます。
全体 40題 ― 必須科目 4題(民法・商法2、会計学2)= 36題
✅次に、36題から、「選択必須科目」(4科目又は5科目)の問題数を引きます。
36題 ― 選択必須科目(4科目)24題の場合 = 残り 12題 解答必要…①
36題 ― 選択必須科目(5科目)30題の場合 = 残り 6題 解答必要…②
✅最後に、残り必要問題数に応じて、問題を選択して解答します。
① の場合(選択必須科目で4科目を解答している場合)には、
「選択科目」24題(財政学6、経営学6、政治学・社会学・社会事情6、商業英語6)と、未解答の「選択必須科目」6題の中から、
残り12題を、自由に選んで解答することができます。
② の場合(選択必須科目で5科目全てを解答している場合)には、
「選択科目」24題(財政学6、経営学6、政治学・社会学・社会事情6、商業英語6)の中から、
残り6題を、自由に選んで解答することができます。
なお、【国税専門B(理工・デジタル系)】の専門試験(多肢選択式)には、変更はありません。
(2)人物試験の配点が大きくなる!
第2次試験である人物試験の配点比率が引上げられます。
2024年まで 人物試験 配点比率 2/9(22.2%)
↓ 下記のように大きくなります
2025年以降 人物試験 配点比率 3/10(30%)
4.国税専門官の試験は、どのような問題が出題されるのか?
【国税専門A(法文)】
【国税専門A(法文)】の専門試験(多肢選択式)として出題される試験科目は、民法・商法、会計学、憲法・行政法、経済学、財政学、経営学、政治学・社会学・社会事情、英語、商業英語となっています。
これまでは、民法・商法、会計学のウェートが高かったため、法学部や経済学部、商学部など、これらの科目を学んでいる方が多く受験していたと思われますが、上記3の通り、令和7年度からは選択の幅が広がりますので、これらの科目に限らず、他の科目でも点数を獲得できるようになりました。
また、専門(記述式)試験では、
憲法、民法、経済学、会計学、社会学の5題の中から1題を選び、解答することとなっています。
例えば、憲法であれば、「信教の自由」について論じる、といったものです。
【国税専門B(理工・デジタル系)】
【国税専門B(理工・デジタル系)】の専門試験(多肢選択式)については、
基礎数学 12題(必須科目)
民法・商法 2題(必須科目)
会計学 2題(必須科目)
に加えて、
選択科目は42題(情報数学・情報工学10、物理8、化学6、統計学6、経済学6、英語6)の中から、自由に24題を解答します。
また、専門(記述式)試験では、
科学技術に関する領域から出題され、科学技術に関連する一般的な課題(情報・理学・工学等の分野に関連する時事問題や社会事情など)について論述する小論文形式の問題が出されることとなっています。
出典:人事院ホームページ
5.まとめ~国家公務員の国税専門官にチャレンジしてみよう!
国税調査官、国税徴収官、国税査察官と3つの職種で専門的な仕事をしていく、税のスペシャリスト、国税専門官。
2023年の理工・デジタル系区分の創設、2025年の試験科目の変更により、門戸が広がり受験しやすくなっていますので、国税専門官にチャレンジしてみませんか?