1.警察官の試験は人物重視!
TVドラマや小説などで度々題材として取り上げられる警察官は、身近な公務員の一つで志望者数も多く人気の試験です。
毎年、筆記試験は合格できても面接試験を突破できない方が多くいます。警察官は、公務員試験の中でも特に人物重視の試験と言われています。人物重視の試験であることは、1次試験(筆記試験)の合格率と2次試験(人物試験)の合格率の比較を見ればわかるかと思います。
※人物試験合格率は、1次試験受験者数/最終合格者数で算出。
※埼玉県警は2次試験受験者数非公開のため、人物試験合格率は1次試験合格者数/最終合格者数で算出
※警視庁は令和7年2月時点で令和6年度試験の合格者数が非公表のため令和5年度を記載
どの自治体も1次試験(筆記試験)の合格率は80~90%に対し、人物試験(面接試験)の合格率は概ね60%程度となっています。(埼玉県警は特に人物試験重視の傾向が顕著!)
つまり人物試験(面接試験)の対策をしっかりとしないと最終合格を勝ち取ることは難しいと言えます。
2.志望動機の基本的な考え方
私はこれまで数多くの方と模擬面接を行ってきましたが、警察官を目指す方で一番よく見かける志望動機は、「警察官となって地域住民の方と密接に連携し、地域の方の安全・安心を守りたいと思います」というものです。
一見悪くないように見えますが、具体性がなく、警察官としてどんなことがやりたいのか、これだけではよくわかりません。地域の困っている人を助ける警察官はもちろん大事ですが、地域の「どんな人」を「何から守りたい(助けたい)のか」を明確にしないと面接官には伝わりません。また警察官の人物試験(面接試験)は、一日で何人もの受験生を面接します。そのため多くの受験生が口にする志望動機では、他の受験生と差別化が図れず、埋没してしまいます。面接官の印象に残るためには、どの部署で、どんな仕事を、何のためにやりたいのかを明確にする必要があります。
この話を受験生にすると、多くの方は「警察官は数年に一度部署異動があるから、限定的な志望動機は言わない方がいいんじゃないか」と言います。
確かに警察官は数年に1度、部署異動があり様々な部署を経験します。しかしどの部署に行っても「絶対に犯罪(違反)は許さない」という正義感が必要です。つまり「犯罪(違反)を無くしたい」という大きな目標があり、目標達成に向けてどのようにアプローチしていくかが部署ごとに違うというイメージです。
そのため面接では、「私はこの部署でこんな仕事がしたい」という夢(目標)を大いに語る方が有効です。「すぐに第一志望に配属されなくても、何年かかっても希望する部署に行けるように努力します」とアピールできれば限定的な志望動機でも全く問題ありません。むしろ警察官になりたい、という熱意がアピールできます。
私の経験上、多くの受験生が「優しい警察官」を面接試験で口にしますので、「私は絶対に犯罪(違反)を許さない」という熱い正義感を面接で訴えることができれば、これだけでも他の受験生と差別化が図れると思います。
3.熱い想いをどうやって志望動機に落とし込むか
具体的な志望動機を作るためには、事前の準備が必要不可欠です。
まずは近年、どのような犯罪が認知されているか調べましょう。調べるには『犯罪白書(の法務総合研究所)』の最新版を入手しましょう。インターネットで犯罪白書と検索すればPDF版を無料でダウンロードできます。
犯罪白書には、犯罪のより細かい調査・分析及び受刑者や出所者の動向などが記載されています。この中で、興味のある犯罪、許せないと思った卑劣な犯罪などの内容、認知件数、動向などを調べましょう。
次に、受験予定の自治体で、調べた犯罪の認知件数、撲滅に向けた取り組み状況などを調べましょう。これは自治体のホームページ等で検索することができます。他の受験生と差別化したい方はインターンシップや説明会に参加し、積極的に質問して情報収集をしましょう。
最後に、調べた犯罪にどのように携わっていきたいかを考えましょう。「犯罪を未然に防ぎたい」か「犯人を検挙して取り締まる」のか大きな方向性を絞っていきましょう。
未然に防ぐのであれば、一例として以下の部署が考えられます。
●生活安全部
都道府県警察本部に設置される部署で、少年犯罪や経済犯罪、サイバー犯罪などの防犯保安活動を行う
犯罪の実態や不審者情報提供などを行い、地域住民の自主的な防犯力の向上に努める
●警備部
様々な警備活動によって事件・事故を未然に防ぐ部署
要人警護やテロの警戒、大規模災害時の人命救助や警戒などを行う
●公安部
国家の安全を守る最前衛を担当する部署で、公安警察とも呼ばれる
騒乱や内乱を未然に防ぐ、あるいは鎮圧する活動を行う
犯罪を取り締まるのであれば、一例として以下の部署が考えられます。
●刑事部
警察署の管轄区域内の捜査を担当する刑事課
都道府県警察の本部にある刑事部は、警察署の管轄エリア全体をカバーする
捜査第一課、捜査第二課、捜査第三課、捜査共助課、鑑識課、科学捜査研究所、機動捜査隊など、多様な犯罪に特化したセクションがある
●組織犯罪対策部
暴力団や外国人などによる組織犯罪、銃器や違法薬物の取り締まり、外国人犯罪対策、国際捜査共助などを目的とする内部組織
犯罪組織に関する情報の収集から分析を行い、組織の実態の解明と構成員の検挙を行う
その他、犯罪の防止に重点を置いて書かれている『警察白書(国家公安委員会 警視庁)』の最新版も併せて確認してください。こちらもインターネットで検察すればPDF版を無料でダウンロードできます。
4.調べた内容を文章にしてみる
まずは長くなっても構いませんので、調べた内容を文章にしてください。その際は以下の3点について、まず作成してみることをお勧めします。
①警察官としてやりたい(挑戦したい)こと
②①を実現するために希望する部署
③なぜそれを受験予定の自治体でやりたいと思ったか
これができれば、面接官に刺さる志望動機の完成です。漠然と志望動機を考えるのは難しいですが、3つに細分化すると少し書きやすくなると思います。コツは最初から簡潔に書こうとせず、まずは調べた内容を基に、書けるだけ書いてみることです。最初から簡潔に書こうとすると、具体性がなく、何を伝えたいかわかりづらい志望動機になりがちです。
これをどのように面接で話していくかは練習が必要なので、是非面接対策講座にお申し込みください。もちろん、面接での話し方だけでなく、文章の作り方、3つに細分化した志望動機をどのように面接カードに落とし込むか、面接カードの書き方もしっかりアドバイスいたします。