労働基準監督官という仕事に、興味を持たれる方は多くいらっしゃるのではないでしょうか? 国家公務員であり、厚生労働省の専門職員として、労働者の働く環境を守っていく労働基準監督官。
労働基準監督官とは、どのような場所でどんな仕事をするのか、またキャリアアップや働きがいはあるのか、といった疑問にお答えします。
そして労働基準監督官として働くためには、どのような採用試験を受ける必要があるのでしょうか? 詳しく、説明いたします!
この記事の目次
1.労働基準監督官とは?
労働基準監督官とは、全国の事業場で働く約5,500万人の労働者が、安心して勤務できるよう、労働条件の確保や向上、安全や健康を図る厚生労働省の専門職員です。
そのためには、労働基準関係法令に基づき様々な職場に立ち入り調査を行い、事業主に労働基準の遵守を働きかける任務を担っています。
文系・理系、両方の知識が必要となるので、どちらでも活躍することができる仕事です。
労働基準監督官の採用試験には、A(法文系)、B(理工系)の区分があります。
★編集部注:実際の試験情報については、必ずご自身の責任においてお調べください。
※厚生労働省ホームページ
※人事院ホームページ
2.労働基準監督官の仕事内容は?
労働基準監督官の仕事内容には、大きく次の4つがあります。
●監督指導業務
賃金不払いや長時間労働、サービス残業といった労働相談や労働災害の発生状況などに応じ、事業場へ立ち入り調査を実施します。
法違反が認められた場合には是正指導、危険性の高い設備などに使用停止の行政処分を行うこともあります。
●安全衛生業務
労働災害防止のための建設現場への指導や、クレーン、ボイラー設備の検査などを行います。また、職業性疾病の防止やメンタルヘルスへの取組を推進。労働災害の調査をして、再発防止を図ります。
●司法警察業務
是正指導されたのに従わないといった重大・悪質な事案については、司法警察職員として捜査を行い、検察庁に送検します。
●労災補償業務
働く人の労働災害などには、請求があれば調査を行った上で保険給付を行います。
3.労働基準監督官の待遇や働きがいは? 転勤はあるの?
労働基準監督官の待遇や働きがいについては、どうなのでしょうか?
給与
採用当初の額は、大卒採用で、東京都特別区内に勤務する場合には、266,040円。(令和7年4月1日採用の例)。
行政職俸給表(一)1級26号俸が適用され、地域手当が支給されない地域へ採用された場合には、221,700円です。
職歴などがある場合には、経験年数の換算に応じて上位の号俸に格付けされます。
国家公務員として、他に通勤手当、扶養手当、住居手当、期末・勤勉手当、単身赴任手当(該当の場合)が支給されます。
働きがい
働く人々の声を聞き、労働者が安心して働くことが出来るよう、環境づくりに貢献する労働基準監督官。
賃金不払い事件の未払い賃金立替払で労働者から感謝されたり、労働環境が改善したりした時には達成感を感じられる、やりがいのある仕事です。
第一線の業務で専門知識を身につけ、責任者になると企画・立案、調整などマネジメントを担います。
都道府県労働局長や労働基準監督署長といった幹部に昇進することも、努力次第で可能です。
出典:厚生労働省ホームページ
勤務地や転勤については、どうなのでしょうか?
採用試験の最終合格者が採用面接を受ける際には、採用を希望する都道府県労働局で面接を行います。第1希望の都道府県労働局で不採用の場合には、第2希望以下の労働局で面接を受け、採用後は主に採用された労働局管内の労働基準監督署で勤務することになります。3年目からの2年間は、別の労働局管内で勤務。おおむね2~3年ごとに労働局管内の労基署を異動し、希望に応じて厚生労働省本省で勤務することもできます。
4.労働基準監督官の採用試験について
労働基準監督官の令和7年度採用試験は、令和7年5月25日(日)に第1次試験が行われます。
令和7年度の採用予定数について、
「労働基準監督官A(法文系)」が約150名、
「労働基準監督官B(理工系)」が約40名、と発表されました。
※2月3日現在の見込み数であり、変動する場合があります。
「労働基準監督官A(法文系)」については、第1次試験の試験種目は、労働法や労働事情などの知識を問う専門試験の比率が大きく、判断推理や数的推理といった公務員としての基礎能力試験もあります。
「労働基準監督官A(法文系)」
第1次試験
基礎能力試験(多肢選択式) 30題 〔1時間50分〕 配点比率2/7
【知能分野 24題】 →文章理解10題、判断推理7題、数的推理4題、資料解釈3題] 【知識分野 6題】 |
専門試験(多肢選択式) 40題 〔2時間20分〕 配点比率3/7
48題中、40題解答 【必須12題】 →労働法 7題 →労働事情 5題(就業構造、労働需給、労働時間・賃金、労使関係) 【36題中、選択28題】 |
専門試験(記述式) 2題 〔2時間〕 配点比率2/7
2題 →労働法 1題 →労働事情 1題(就業構造、労働需給、労働時間・賃金、労使関係) |
第2次試験
【人物試験】 →人柄、対人的能力などについての個別面接 (参考として、性格検査を実施する) 【身体検査】 |
「労働基準監督官B(理工系)」
第1次試験
基礎能力試験(多肢選択式) 30題 〔1時間50分〕 配点比率2/7
【知能分野 24題】 →文章理解10題、判断推理7題、数的推理4題、資料解釈3題 【知識分野 6題】 |
専門試験(多肢選択式) 40題 〔2時間20分〕 配点比率3/7
46題中、40題解答 【必須 8題】 →労働事情 8題(就業構造、労働需給、労働時間・賃金、労使関係、労働安全衛生) 【38題中、選択32題】 |
専門試験(記述式) 2題 〔2時間〕 配点比率2/7
4~6題中、2題 【必須1題】 →工業事情 1題 【3~5題中、選択1題】 |
第2次試験
人物試験、身体検査
5.まとめ~労働基準監督官をめざしてみよう
労働基準監督官と採用試験情報について、お分かりいただけたのではないでしょうか?
令和7年度の採用試験の申込みは、インターネットにより2月20日(木)9:00~3月24日(月)受信有効となっています(必ずご自身でもご確認ください)。
A(法文系)、B(理工系)、2区分の中から自分に合う方の試験準備を行いましょう!