1.はじめに
公務員になったらどんな服装で勤務すればいいか知っていますか?
スーツや革靴といったかっちりしたイメージのある公務員ですが、実は明確な服装規定がないため、意外と自由な服装で働くことができます。
ただし、なんでも好きな服を着ていいということではなく、時にはスーツを着たりジャケットを羽織ったりと、仕事内容や職場環境にふさわしい服装をする必要もあります。
本記事では、元公務員である筆者の経験をまじえて、公務員の服装事情を紹介します。
なにを着て出勤しようか悩んでいる人はぜひ参考にしてください。
2.公務員の服装に関する規定
決められた制服のある警察官や消防士とは違い、市役所や県庁などの事務職員には明確な服装の規定はありません。
あるとすれば職員証や名札、自治体のき章(バッジ)を着用しなければならないといった規定くらいです。
一方で、
●自身(公務員)の行動が周囲に与える影響の認識
●日常の行動について公私を分ける
といった内容もあわせて規定されていることがほとんどです。
全体の奉仕者としての意識を持ち、TPOに沿った服装が求められていることがわかります。
【参考】
(服務の原則) 第二条 職員は、全体の奉仕者としての職責を自覚し、法令、条例、規則その他の規程及び上司の職務上の命令に従い、誠実、公正かつ能率的に職務を遂行しなければならない。 2 職員は、自らの行動が公務の信用に影響を与えることを認識するとともに、日常の行動について常に公私の別を明らかにし、職務や地位を私的な利益のために用いてはならない。 (出典:東京都職員服務規定) |
3.事務職員の服装
事務職員が実際にどんな服装をして勤務しているか、元公務員の筆者の経験をまじえて具体的に紹介します。
男性の場合
ほとんどの男性職員は、スーツやスラックス、シャツなどを着ています。
色味は黒や紺、グレーなどの落ち着いた色のほか、ベージュなどが多いです。
寒いときはカーディガンや薄手のダウンを着たり、以前の配属先で使っていた作業着などを着る人もいます。
ネクタイやジャケットは通勤時だけ着用して職場に到着すると脱ぐ人もいますが、会議や研修、窓口業務がある場合などではジャケットを着用することが多い傾向です。
夏場はクールビズが推進されているため、ノーネクタイの半袖シャツ、ポロシャツにチノパンといった見た目にも涼しげな服装の人が増えます。
ただし、丈の短いズボンはカジュアルすぎるため、おすすめしません。
【男性の服装の例】
トップス | ボトムス | |
夏 | ・半袖シャツ ・ポロシャツ |
・スラックス ・チノパン |
冬 | ・スーツ ・長袖シャツ ・カーディガン ・セーター ・ダウンベスト |
・スーツ ・スラックス |
女性の場合
日常的にスーツを着ている女性は少なく、オフィスカジュアルな服装が大半です。
しかし、来客や出張の際などはジャケットを着たほうがきちんとした印象を与えられますので、あわせやすい色味のジャケットを1着用意しておくことをおすすめします。
洋服の色味は男性と比較するとカラフルで、模様やデザインのある服を着ている人も見かけます。
女性は服の選択肢が多い分、カジュアルになりすぎないよう注意する必要があります。
露出の多い服や派手すぎる服は避け、住民からの信用を損なわないような服装を心がけましょう。
【女性の服装の例】
トップス | ボトムス | |
夏 | ・半袖シャツ ・ポロシャツ ・ブラウス |
・スラックス ・チノパン ・スカート ・ワンピース |
冬 | ・長袖シャツ ・ブラウス ・カットソー ・カーディガン ・セーター |
・スーツ ・スラックス ・スカート ・ワンピース |
4.技術職員の服装
農業や土木などの技術職員は現場に出ることも多く、作業着を着て過ごすことがほとんどです。
上下の作業着に、インナーはワイシャツやポロシャツ、Tシャツなどを着ます。
Tシャツは作業着を脱ぐとカジュアルになりすぎるため、オフィスに戻ったときは気をつける必要があります。
また、事務職員ほどではありませんが、技術職員も出張や研修でスーツなどを着る機会があります。
5.かばんや靴などの小物
公務員の持ち物はそれほど多くありません。
特に個人情報を取り扱う部署ではパソコンや資料の持ち出しが禁止されていることも多く、職場から自宅に持ち帰れるものはほとんどないでしょう。
ビジネスバッグである必要はなく、リュックや小さめのハンドバッグなどで問題ありません。
靴は、革靴やパンプス、スニーカーを履く人が多いです。
職場でサンダルに履きかえる人もいますが、サンダルはカジュアルな印象を与えるため、原則的に禁止されていることも多いです。
普段スニーカーやブーツで通勤するのであれば、来客や会議に備えて、フォーマルな靴を職場に置いておくのがおすすめです。
6.髪型やネイル
髪型や髪色、ネイルは、極端に派手であったり奇抜でなければ問題ありません。
しかし、部署の雰囲気や業務内容によっても判断は異なってきますので、どこまでが許容されるのか線引きをするのが難しい部分ではあります。
例えば、「髪色は瞳の色に近い色で」「マニキュアはネイルアートはせず、肌になじむ色で」といったマニュアルがある場合もあります。事前に職場に確認するといいでしょう。
まとめ
公務員の服装に関する明確な規定はなく、意外と自由な服装で勤務できます。
明確な規定がないからこそ悩むこともあるかもしれませんが、同僚や家族などから客観的な意見を聞いて判断したり、あえてこだわらず、ベーシックなものだけを着るという選択をしてもいいかもしれません。
自分が感じる心地よさを大切にしつつも、公務員としての自分の行動が周囲に与える影響を考慮し、業務内容や職場の雰囲気に適した服装を心がけましょう。