地方公務員になることを検討している人も、地方公務員の「一般行政」や「事務職」は、具体的にどんな仕事をしているのか、よく分からないという人は案外多いのではないのでしょうか?
ここでは、筆者の実際の経験に基づいて、地方公務員の中でも、
★大都市特例で都道府県に近い業務権限を多く持つ政令指定都市
の「一般行政」や「事務職」の具体的な仕事内容を説明します!
この記事の目次
1.地方公務員の「一般行政」や「事務職」とは?
地方公務員のうち、最も職員数が多く代表的な職種が「一般行政」、あるいは「事務職」と言われる職種です。
福祉やデジタル、情報分野の枠を分けて採用している自治体もありますが、
多種多様な職場に配置されて幅広い仕事を担うゼネラリストが最も多いのが、
「一般行政」や「事務職」となります。
2.「一般行政」や「事務職」の地方公務員は、どんな仕事をしているのでしょうか?
それでは、具体的にどのような仕事をしているのか、政令指定都市の例で見ていきましょう!
政令指定都市には、市役所の他に区役所が区の数だけあります。
市役所について
市によって、機構は異なりますが、
市役所(本庁)では、
各部局で、それぞれ行政課題に対応していくための実務や調整などを多く行います。
たとえば《総務局》の業務内容を部ごとに見ていくと、
市の総括的な立場から、
▶ 行政部…地方分権、コンプライアンス、文書の審査、情報公開
▶ 国際部…外国都市との交流、在住外国人の支援
▶ 広報部…広報誌の企画・編集、報道機関の対応、市政相談
▶ 職員部…職員定数、服務、人事、研修、給与支給
といった業務や種々の調整をしています。
《まちづくり政策局》であれば、
市の総合計画や実施計画の企画立案、都市計画、交通計画に関する業務や、
他の部局の担当者と連携しながらプロジェクトの調整なども行います。
《財政局》では、
市の予算編成が大きな役割ですが、決算の総合調整、市債の借入と償還、地方交付税の算定や公共施設マネジメントなどの他、
全国の都道府県と政令指定都市で宝くじの発行もしています。
▶市税事務所など税務部門では、
市民税の賦課と徴収、納付相談、督促、滞納処分などの仕事をしています。
※区役所に税務部がある市もあります。
《市民文化局》では、
区役所業務の全庁的調整や市民自治・地域活動の推進、消費生活相談、男女共同参画推進、配偶者暴力防止、文化芸術の振興などの業務をしています。
文化施設や消費者センターなどの施設の運営に当たっては、管理運営を行う事業者を指定管理者として選定するといった業務もあります。
《経済観光局》では、
企業経営動向の調査や販路拡大に際しての支援、企業を誘致する取組、起業者や中小企業への補助金等のさまざまなサポート、観光振興などを行っています。
《保健福祉局》では、
高齢者、障がい者などの福祉、
介護保険や国民健康保険、国民年金などの保険医療、
生活衛生、食品衛生を含め保健衛生全般、保健所業務、区保健センターとの全庁的な調整や他の機関との連絡など、様々な実務を行います。
《こども青少年局》では、
保育所や認定こども園、放課後児童クラブ、児童相談所など、こどもに関する施策・事業を行います。
他にも《スポーツ局》、《環境局》、《建設局》、《都市局》や
水道、下水道、交通などの企業部門、
《教育委員会》、《人事委員会事務局》、《議会事務局》、《監査事務局》、《選挙管理委員会事務局》など幅広い職場に、「一般行政」「事務職」は配置されています。
区役所について
一方、区役所では、
戸籍謄本や戸籍抄本、住民票などの証明書交付、出生届や転入届などの業務が、
利用する市民にとって最も身近な仕事でしょう。
福祉の窓口などでは、
児童手当や児童扶養手当、特別児童扶養手当、乳幼児医療など
各種申請の受付やデータ入力、通知書の送付といった手当支給やサービス給付に関する事務などをしています。
障がい者向けのサービスや、
高齢者の福祉、介護保険サービス、要介護認定や給付の手続きも行います。
国民健康保険の加入手続きや保険料の徴収、
また国民年金の手続きもあります。
生活保護業務では、生活相談、家庭訪問などを行います。
多くの業務で、各種照会への回答や統計業務などもしています。
国勢調査の実施、
町内会や地域活動のサポート、成人式を行うといった業務もあります。
区の選挙管理委員会では、
国政選挙や地方選挙に際しては、数多くの投票所を設置して選挙業務に当たります。
自治体によって、組織の名称や事業は違いますが、共通する事務事業も多く、
市民が住みやすく魅力的なまちにしていくための様々な業務に取り組みます。
3.意外に知られていない地方公務員の仕事内容
子どもを生み育てやすい社会にしていくことは、少子化が進む中で特に重要な課題です。自治体も可能なことから政策にして取り組んでいます。
育児休業中の代替要員を雇用した企業や
子の看護休暇を有給で取得できる制度を創設した企業に、
助成金を支給する市もあります。
子育て世帯と親世帯が近くに住みかえる場合に助成金を出す市もありますし、
結婚新生活支援金を支給する市もあります。
婚活の支援に取り組んでいる自治体も増えています。
結婚応援セミナーを実施したり、婚活イベント情報の発信、
さらに、結婚支援マッチングシステムやオンライン結婚支援センターの開設準備を進め、
結婚したい若者の後押しをする市もあるのです。
「一般行政」や「事務職」の職員は仕組みを考え、経費や予算繰りを検討します。
新しい仕事にも挑戦していく意欲が求められているのです。
4.まとめ~やってみると、おもしろい地方公務員の「一般行政」
数年で人事異動があることが多いので、
ずっと同じ仕事をしているということはまずありません。
やってみると、おもしろい仕事も多くありますので、
あなたも地方公務員の「一般行政」にチャレンジしてみませんか?