公務員試験において面接対策が重要なことはご存知の方も多いでしょう。
公務員試験の多くで(特に地方公務員は)筆記試験よりも面接試験の方が、配点が高く設定されているからです。
例えば特別区の試験では、筆記試験で8割程度得点できたにもかかわらず、二次試験(面接)の出来が悪いと不合格になるケースが珍しくありません。
しかし、社会人の方はなかなか時間の確保が難しいでしょう。筆記試験の対策との両立も大変かと思います。
そこで、今回の記事では、社会人の方向けに公務員試験の面接をどのように対策すべきかを紹介していきますので、面接対策に困っている方は参考にしてみてください。
この記事の目次
1.社会人が公務員試験の面接で合格するための対策方法
まずは、社会人が公務員試験の面接で合格するのに必要な基本についてお話します。
1-1.面接対策は早めに開始する
よく公務員試験の面接対策は「筆記試験が終わったあとから始めれば大丈夫!」と言われています。
特に民間企業で営業などをしてコミュニケーション能力が高い人ほどそう思われるかもしれません。しかし、この意見を鵜呑みにするのは非常にリスクが高いでしょう。
公務員試験は筆記試験よりも面接試験の方が配点が高く設定されているケースが多く(特に地方公務員は)、また民間から公務員への転職の場合は特に「転職理由」について鋭く面接で突っ込まれます。
そして、社会人受験ならではの質問にうまく受け答えをするには、十分な自己分析や面接の練習が欠かせません。そしてこうした対策について、筆記試験合格後の短い期間では、特に時間のない社会人にとっては、トレーニング不足に陥る可能性が非常に高いのです。
確かに筆記試験を突破しないことには、面接試験を受けることすらできないというのは事実です。とはいえ、本当に面接が得意な人であっても筆記試験終了後から面接対策を始めるのは遅いといえます。
特に面接に対して苦手意識がある場合は、半年前くらいからでも少しずつでも面接対策を始めておくことで直前に慌てなくてすみます。ASK公務員の面接対策講座にも「短期集中講座」はありますが、最後のブラッシュアップ、確認がメインとなりがちです。時間に余裕がある方は、「中長期講座」をご検討ください。月に2回の受講からスタートが可能です。
1-2.公務員試験用の面接対策本を読む
公務員試験向けの面接対策本を読むことも重要です。
今やネット上に面接対策の情報はあふれているので、ネットでの情報収集をしている方も多いかと思いますが、やはり本は体系的に対策方法がまとまっているので1冊でも持っておくべきです。
面接対策の本は山ほどありますが、民間企業と公務員試験の面接は異なるポイント(特に質問への回答について)が多々あるので、公務員試験用の面接対策本を選ぶことをおすすめします。
面接対策本で面接の基本を学んだら、あとは実践とブラッシュアップを繰り返しましょう。
1-3.予備校やジョブカフェで面接練習をする
社会人の方であれば一度就活をしているので理解されているかと思いますが、面接対策は自力で行うよりも第三者からのフィードバックをもらいながら進めたほうがよいでしょう。
- 正しい姿勢がキープできているか
- 声の大きさは適切か
- 発言内容に矛盾がないか
こうしたポイントは、客観的な視点がないとチェックが難しいです。
予備校に通っている方は面接対策も実施してもらえると思いますが、予備校に通っていない方でもジョブカフェなどを利用することで面接対策をしてもらえます。
ジョブカフェの利用者は若年層の方が多いですが、35歳以上の方でもサポートを受けられるので、恥ずかしがらずに利用しましょう。ただし、ジョブカフェは公務員試験対策のプロではないので、一般的な面接対策になる可能性があることは頭に入れておきましょう。
ちなみに、ASK公務員では「面接対策だけをしたい」というニーズにお応えした面接対策講座を実施しています。詳しくはこちらのページをご覧ください。
1-4. 自分が質問に答えている場面を撮影してチェックしてみる
スマートフォンの撮影機能も日に日に進化しています。例えば同じ質問に固定し、何回か動画に映る自分の表情、視線の動き、そうしたものを継続してチェックしてみるとよいでしょう。日に日に進歩しているところが自分で確認できれば、それ自体がモチベーションの維持につながります。またこうした動画メディアがあれば、ほかの人にチェックしてもらうことも容易です。
2.社会人が公務員試験の面接試験本番で気をつけるべきポイント
公務員試験の対策をしっかりやったとしても、面接試験本番で力を発揮できなければ合格することは難しいでしょう。
ここでは特に社会人の方が公務員試験の面接試験本番で気をつけるべきポイントについてお伝えします。
2-1.前職を辞めた理由と、なぜ公務員を志望するのかを説得的に述べる
社会人は面接試験では「前職を辞めた理由」と、「転職(退職)してまで公務員を志望する理由」はよく聞かれます。
ですから、これらについては事前に説得力のある回答を考えておいてください。
回答を考える際のポイントは、自分の意見に対し自分で反論を考え、それに対する反論(「それって今の会社でもできるよね?」というもの)までしっかり考えておくことです。
そこまで深く考えておくことで、説得力のある回答をしやすくなります。
とはいえ、いくら自力で対策をしても、いざ突っ込まれると頭が真っ白になって答えられないケースはよくあるため、模擬面接でしっかりと対策しておくことも重要です。
ASK公務員のYoutubeチャンネルも参考にしてみましょう。
2-2.前職の実績をアピールし過ぎて、凝り固まった印象を与えない
社会人の強みとして、これまでの仕事での実績をアピール材料として活かすことができるということが挙げられます。
しかし、前職の実績のアピールに過ぎてしまうことで、過去の実績に固執し凝り固まっているという印象を与えてしまうので注意が必要です。
公務員に必要な資質として「柔軟性」が求められます。
そのため、前職の実績をアピールしつつも、新たな環境でも対応できる柔軟性のある人材であることもアピールするようにしましょう。
3.社会人が公務員試験の面接試験でよく聞かれる質問と回答例
公務員試験の面接では様々なことを聞かれますが、社会人が聞かれやすい質問は存在します。以下に質問と回答例を紹介しますので、参考にしてみてください。
新卒の時はなぜ公務員に就職しなかったのですか?
OKな回答例:新卒の時は、自分のやりたいことがはっきりわからず前の会社に就職してしまいました。もっと真剣に将来のことについて考えるべきだったと反省しております。
新卒で公務員にならなかった事実は変えられないので、質問についてただ答えるだけでなく、反省をしているという誠実な姿勢を見せられるとよいでしょう。
なぜ民間企業ではだめなのですか?
OKな回答例:民間企業は営利目的であるため、どうしてもお金を持っている特定の人にサービスが偏ってしまいます。一方で、公務員は地域の住民の方々に等しくサービスを提供できるので、その点を魅力に感じました。
NGな回答例:自分のやりたい〇〇は今の会社では実現できないと思ったからです。
こうした質問は聞き方の違いはあるものの、「やりたいことが公務員でないとできない」ということを伝えてください。単に「今の会社ではできない」だけだと「他の民間企業だとできるのでは?」と思われてしまい説得力が低いでしょう。また、こういった質問については、実際の公務員の仕事を調べることで厚みのある回答がつくれます。1-2でも挙げた公務員試験対策本も是非参考にしてみてください。
今までの経歴を教えてください。
OKな回答例:〇〇に〇年間勤めてきました。入社して〇年間は、主に〇名ほどのプロジェクトチームのメンバーとして従事しました。私が担当したのは、〇〇です。プロジェクトを進めるにあたって、〇〇に気をつけました。その結果、〇〇という結果を出すことができました。
NGな回答例:〇〇を〇年間やりました。そのあと、〇〇を〇年間やりました。
これまでの経歴を伝える際は、単に何をやったかだけでなく、「どういう成果を残したのか」を伝えましょう。面接官はどんな仕事をしてきたのかということ以上に、「どう公務員として貢献できるのか」を知りたいからです。
転職についてどなたかに相談しましたか?
OKな回答例:はい、私は両親に相談しました。その結果、自分の人生なんだから好きなようにしなさいと背中を押してもらうことができました。
相談した、していない、どちらが正解ということはありません。ただ、壁にぶつかったときに相談できる相手がいるということは、いざ公務員として働く際にストレス対策ができるのでは、という評価にもつながります。
仕事が上手くいかないときどのように対処してきましたか?
OKな回答例:そのようなときは上司や同僚に相談していました。自分の頭で考えることも大事ですが、客観的なアドバイスをもらうことで自らの思考の欠点にも気がつくことができますし、より周囲の状況も踏まえた問題解決につながると考えたからです。
NGな回答例:特に対処はしていません。がむしゃらに仕事に打ち込んでいればそのうち何とかなると思っていたからです。
仕事での問題は必ず発生しています。そうしたときに問題を迅速かつ適切に解決するには上司などに相談することは欠かせません。問題解決力やコミュニケーション力が見られる質問でしょう。
給料は下がっても大丈夫ですか?
OKな回答例:その点は当然自らで調べ、考え、家族とも相談したうえで公務員を志望しております。確かに給与も生きていくために必要ではありますが、公務員に転職したとしても生活ラインは保てることを調べてあります。それよりも、公務員として働くことによる自己実現と社会貢献を重視したいと考え、希望しております。
NGな回答例:それは正直困りますね。今の月の生活費が〇〇くらいで、前職の会社でカツカツだったので、それ以上下がると生活が厳しいです。
もちろん給料は下がらないほうがいいですが、あまりに正直に伝えるのも避けるようにしましょう。
以上、社会人がよく公務員試験の面接で聞かれる質問例を紹介しました。
社会人に限らずよく聞かれる質問については、公務員試験の面接で聞かれる定番の質問の答え方の記事で紹介していますので、こちらもチェックし対策をしてください。
4.社会人が公務員試験の合格率をさらにあげるためのポイント
面接対策以外にも、社会人が公務員試験の合格率を上げるポイントがあります。では、どんなことをすれば公務員試験の合格率が上がるのでしょうか。
4-1.経験者(社会人)採用をしている自治体を目指す
自治体によって、人材の採用方針は異なります。中には、社会人の方にとっては嬉しいことに、「経験者(社会人)採用」というかたちで、社会人を積極的に採用したいと考えている自治体も多くあります。
これは、学生などが受験する「高卒試験」や「大卒試験」とは異なり、民間企業等での職務経験がある社会人が受けられる試験となっています。
特に最近は、民間企業で培ったスキルを公務に生かしてほしいと考える自治体も増えてきており、社会人でも受けやすい試験が増えているのです。
自治体によって必要な業務の経験年数や要件は異なりますので、ホームページでしっかりと情報収集しましょう。
▼参考記事
【社会人が受験できる公務員試験の内容と採用後の待遇について】
4-2.専門試験が課されない自治体を受験する
社会人の方は学生の方と比べ、公務員試験対策に割ける時間が絶対的に少なく悩んでいる方も多いかと思います。
仕事が忙してなかなか時間を取れない!という人は、筆記試験において専門試験が課されない(教養試験と論文・作文のみ)が課される試験の受験を検討してみることもおすすめです。
民法や経済学などの専門科目は内容が難しく対策にも時間がかかります。専門科目がないというだけで筆記試験にかける時間が大幅に削減することができるので、限られた時間の中でも必要な科目に充分な時間を割くことができます。
先述した経験者採用試験の場合は専門科目がない場合が多いので、この枠の受験を考えるのであれば筆記試験は自ずと教養試験のみになることが多いでしょう。
注意点としては、教養試験だけの場合、筆記試験の通過率は高くなるものの、面接試験の倍率は上がる傾向にある、ということです。
こうした試験の場合、筆記試験は足切り程度に扱われ、論文や面接試験で一気にふるいにかけるケースが多いです。
筆記試験は苦手だけど面接は得意、という受験生も増えるため、もしあなたが面接が苦手であるならより一層面接対策が必要となるでしょう。
まとめ
以上、社会人が公務員試験の面接試験で合格するための対策についてお伝えしました。
面接対策は筆記試験とは異なり、対策を考えると本当にキリがありません。それだけに、対策はなるべく早い時期から始めていただきたいと思います。
毎年「もっと早い時期から面接対策を始めるべきだった」と後悔する方が後を絶ちません。
この記事を読んでいただいた方には、そのような後悔をしてほしくないのです。
筆記試験対策の気分転換として、今から1日10分でも面接対策をコツコツと進めていきましょう!
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