地方自治体の2次試験で、面接官は受験者のこんなところを見ている | ASK公務員 - 個別指導/論文・面接カード添削の公務員試験対策塾

地方自治体の2次試験で、面接官は受験者のこんなところを見ている

  • 2024年6月10日
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ASK公務員 編集部
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1.地方自治体2次試験の重要性

就職・転職は、多くの方の人生にとって重大な節目となります。
そんな大イベントにおいて、近年ますます面接試験が重要視されています。
これは、日本国内においても転職がより身近になったことに関係し、民間企業・公務員のどちらにも共通する傾向です。
そのような状況で、採用側は「辞めずに続けてもらいたい」という目的で人柄を判定するため、面接をより重視するわけです。

公務員業界においても、若手職員の離職率が増加傾向にあります。
公務員の場合は欠員が出てもすぐに補充ができないため、採用時の審査がより重要になるのです。
そのため、公務員の2次試験では受験者とのミスマッチを減らすべく、面接官は受験者のさまざまな面を審査しています。
具体的には、受験者の人間性を深堀りし、その組織で一緒に働いていける人物かどうかを判定しています。
だからこそ、投げかけられる各質問に的確な回答をするべく、その回答を自らで研ぎ澄ませておく必要があります。

この記事のポイントは、以下のとおりです。

・地方自治体の2次試験の対策
・2次試験で、面接官が確認したい人物像&スキル
・面接で使うのは注意して、地方自治体が用いる独特な言葉
・「趣味」の質問を侮らないで

こちらの記事をお読みいただき、ぜひご自身の2次試験対策にお役立てください。

2.面接において、面接官が確認したい人物像&スキル

地方自治体の2次試験において、面接官が確認したい人物像やスキルは、民間企業とやや異なるところがあります。
地方自治体では、民間企業ほど個性を評価しない傾向があります。
半面、その受験者がどれだけ自治体組織になじむことができるかを重視しています。
一般的な社会人としてのマナー・振る舞いを抑えたうえで、具体的に公務員特有の次の2点を抑えてください。

2-1 求められる人物像 「和をもって尊ぶ人物」

これは地方自治体だけでなく、公務員組織に顕著な傾向ともいえるでしょう。
地方自治体の業務は、厄介な住民対応など外部圧力に晒されることが多くなります。
そんな毎日押し寄せてくる荒波を乗り越えるためには、組織内で職員同士の協力が不可欠です。
「個性が大事」という風潮を気にしながらも、公務員の業務内容が変わらない限り、この特有の文化は変わらないでしょう。

しかし、注意が必要な点がひとつあります。
それは「和をもって尊ぶ」と言いつつも、「自分の意見がなく、周りの意見を伺っているだけの人物」と取られないように注意する必要があります。
採用側の面接官は、受験者自身のこだわりや、業務を前向きに改善していく姿勢も見ています。
受験生の中でとがりすぎるのはNGですし、特に自治体組織を根底から覆すような人物は敬遠されることでしょう。
あくまでも組織の業務や課題に対して、職場の同僚と協力・相談して和をもって穏便に改善していけるくらいが望ましいと言えます。

2-2 求められるスキル 文章・言語化能力

地方自治体の業務は公金を取り扱うので、地元住民に対する説明が必須です。
特に予算や施策の中枢を担う職員は、議会への説明や企画業務において、説得力を伴う文章や言語化能力が常に求められます。
採用側は、「そんなスキルを持ち、将来的に自治体の中枢を担う人物を見つけたい」と思っています。
そのため、2次試験の職務経歴書の記述では、こんなところも採用側から見られています。

例:職務経歴書の「志望動機」
職務経歴書でよく受験生が書きがちなのが、「地元が好きだから」という志望動機。
そもそも面接官の中にも、この理由で入庁した職員が一定数いることでしょう。
そこで受験者は、「なぜ好きなのか」を自治体独自の施策や自らの経験で深堀りします。
しかし、多数の受験者と接する面接官からすると、どんな理由も似たものに感じます。
受験者が選ぶ施策や体験などの「素材」はどうしても限られるので、受験者の文章・言語化能力が見られるのです。
「この自治体にはAという施策がある。これは県内を見回してもここでしか実施していない。だからこそ、この自治体で働きたい」
というように文章・言語化能力を駆使し、いかに自分なりの説得力を持たせられるかどうかが重要になります。

3.面接時に気を付けたい言葉

地方自治体が好んで使う言葉は、その自治体のホームページで頻繁に掲載されます。
受験者はその言葉を深く考察せずに使いがちですが、そこには注意が必要です。

例:地方自治体でよく使われる言葉 「協働」
共同、協同よりも、より住民に寄り添う意図をもって使われます。
地方自治体は住民サービスをアピールするあまり、このような「言葉の差別化」をする傾向があります。
特に自治体の首長がインテリだと、その傾向も顕著です。
そこで自治体のホームページに掲載されている言葉を受験者が安易に使うと、面接官から深く突っ込まれてしまいます
そのような言葉を使う際は、受験者自らの体験に落とし込んだうえで語ると、面接官から「しっかり考えて言語化できている」と評価されるでしょう。

また最近の自治体は住民サービスをアピールするため、「傾聴」という言葉を常用しますが、この「聴く」という言葉にも注意が必要です。

「聞く」 一般的に使われるが、公務員の世界では雑な印象を与える。
聴く」 心を傾けて丁寧にきくこと。

職務経歴書などに「住民の意見をしっかり聴く」と記載する際は、「聞く」との違いを説明できるようにしておくとよいです。

4.「趣味」に隠された大きな意味

多くの受験者にとって、緊張する質問が続く2次試験の個人面接。
面接官から、「あなたの趣味は?」と聞かれてもホッとしてはいけません。
単なる趣味の質問でも、面接官は受験者のことをしっかり見ています。

4-1 趣味を尋ねる理由はさまざま

民間・公務員試験に共通していますが、ストレスをしっかり発散できるような趣味があるか、その趣味が受験者の人格形成にどう影響しているかなども見ています。
公務員や地方自治体では、未だにスポーツをしている受験者が好まれる傾向があります。
なぜなら、その職場でスポーツクラブやイベントがあるからです。
また自治体の職員労働組合においても、組合員のスポーツ大会がよく行なわれます。
もし過去に球技などの経験があれば、記載しておくと好印象を残せるかもしれません。

4-2 SNSアピールはほどほどに

近年の公務員によるSNSでの情報漏洩について、地方自治体は気を揉んでいます。
受験者はSNSの趣味を輝かしい実績としてアピールしても良いかもしれませんが、面接官に組織の情報漏洩の懸念を抱かせると逆効果になります。
またSNSの運営で収益が発生していると、「公務員の副業禁止」規定にも抵触しますので、ほどほどの運営に留めることが無難です。
SNSの運用実績により自治体の観光系の部局などに「有力な情報発信者」として引っ張られるとお考えの方がみえるかもしれませんが、その可能性はわずかでしょう。
そもそも観光部局は、地元ゆかりの有力なインフルエンサーに自治体のプロモーションを業務委託することが多いので、新規採用職員から一本釣りすることは稀です。
そんな自治体の花形である観光部局は、総合成績の上位者が優先的に配属される傾向が強いので、SNS運営だけをアピールしても効果的ではありません。
「一般行政」枠の受験者が必要以上に情報発信力をアピールしても、情報漏洩の面から逆効果になる恐れがありますので、ご注意ください。

4-3 「特になし」は、もったいない

よく言われることですが、趣味の欄に「特になし」と記述することは自らの可能性を自ら閉ざしてしまいます
一般的な「読書」といっても、読書のジャンルを特定したり、その自治体の図書館をよく利用していることをアピールしたりしてはどうでしょうか。
これで面接官の興味を引き、プラスに繋げることもできます。
また、最近流行りの「古寺や城跡めぐり散策」についても、地元の魅力を再発見できるという点で、好印象を残せることでしょう。

5.まとめ 公務員の2次試験には、公務員特有の事情あり

公務員や地方自治体には特有の事情があることから、2次試験の面接では民間企業と異なるポイントも審査されます。
面接官もその地方自治体のいち公務員ですから、まずは「一緒に長く働けそうだ」と思ってもらえることが大事です。
加えてその自治体にマッチした協調性や、組織を前向きに改善できる自主性が重要視されます。

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