公務員の昇任のしくみについて(2)地方公務員編① | ASK公務員 - 個別指導/論文・面接カード添削の公務員試験対策塾

公務員の昇任のしくみについて(2)地方公務員編①

  • 2024年11月30日
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ASK公務員 編集部
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公務員試験に合格した後、実際に採用された後のキャリア形成は、一体どのようになっていくのでしょうか?
前回の記事「公務員の昇任のしくみについて(1)国家公務員編」では、国家公務員の一般行政職に着目して、代表的な官職など各階層の役割と得られる能力・経験、昇任のしくみ、昇任・昇格の違いなどを掲載しました。

今回の記事では、地方公務員の昇任のしくみが一体どのようになっているのか、代表的な事例などをまじえて説明していきます。
地方公務員として30年以上勤務し幾度も昇任を経験してきた筆者が、皆さんに有益な情報をお届けします。

1.地方公務員のさまざまな昇任のしくみ

都道府県庁や市役所など地方自治体の採用試験に晴れて合格し、地方公務員として採用されてから、長い公務員生活におけるキャリア形成や昇任制度のしくみとは、一体どのようになっているのでしょうか?
地方公務員と一口に言っても、採用される都道府県庁や市役所と、それぞれの自治体によってさまざまなしくみがあります。

ここでは、地方公務員の昇任のしくみについて、政令指定都市などの主な例を挙げて説明していきます。

2.地方公務員の職位は、どのようなものがあるのでしょうか?

地方自治体に職員として採用になると、通常は「係員」として、どこかの部署に配属となります。

そこで、OJT※1 やOff-JT※2といった研修・訓練も活用しながら、仕事に必要な知識を学び、実務の経験を経て成長し、キャリアアップしていくこととなります。

※1 OJTとは  …On the Job Trainingの略。
職場内研修。職場での業務を通じて知識や能力を身につける育成方法。
※2 Off-JTとは…Off the Job Trainingの略。
職場外研修。職場を離れて行う集合研修などの教育方法。

3.地方公務員として昇任するには、試験を受ける必要があるのでしょうか?

地方公務員の昇任には、昇任試験の受験が必要なところと、そうでないところがあります。
一つの地方自治体においても、職種や職位によって、昇任試験が必要かどうか、異なってくるのです。

昇任試験が比較的多く実施されているのは、係長になるための昇任試験です。

◆横浜市においては、一般職員から責任職の係長になるための「係長昇任試験」は、職種・学歴・年齢・性別等にとらわれることなく、公平・平等に受験の機会を与えるものとなっています。

横浜市の昇任制度

引用)横浜市ホームページより

◆札幌市においても、一般職から係長に昇任する際には、多くの職種において「係長候補者試験」が行われています。

〔係長候補者試験を実施している職種〕 ※札幌市の場合
⇒事務系、土木系、建築系、設備系、衛生系
試験区分Ⅱ…満40歳以上満50歳未満、Ⅲ…満40歳未満

参考)札幌市ホームページ
「札幌市人事行政の運営等の状況」

◆京都市においても、能力ある職員の抜てきや早期育成、職員の自己研鑽と能力開発などのため、「係長能力認定試験」を実施しています。

〔係長能力認定試験を実施している職種〕 ※京都市の場合
⇒一般事務職、一般技術職及び一部の免許・資格職、学校事務職

大卒の場合、最短で入庁7年目、経験者採用は入庁2年目から(一部の試験は25歳から)受験可能となり、合格すると主任に昇格。その後2~3年で係長に昇任するのが、最も早いケースです。

引用)京都市ホームページ
京都市職員採用案内より

◆名古屋市においては、課長補佐に昇任するために「課長補佐昇任選考」を受験することとなっています。

「事務」・「技術」では、この試験は、原則として、次の年次で受験することができます。
●第1類採用試験合格者…採用後6年目に受験
●第2類採用試験合格者…採用後10年目に受験

名古屋市の昇任パターンの例  ※「事務」・「技術」

引用)名古屋市職員採用ナビより

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では、都道府県の事例を見てみましょう。

◆神奈川県庁においては、係長になるための昇任試験はありません。

最初の10年間は能力開発期間として概ね2部局3課(所)を目安に人事異動が行われます。本庁と出先機関双方を経験することが多く、その後も本人の希望も取り入れながら人事異動が行われます。

神奈川県庁の昇任の例

また、神奈川県庁では、職員が専門とする職務分野を自ら選択するキャリア選択型人事制度を導入しています。
一人ひとりの職員が専門性と使命感を持つ「プロフェッショナル」として、能力や適性に応じて自らキャリアプランを立て、それに基づき中長期的な視点から、主体性を持ってキャリア開発(能力開発や職務経験)に取り組みます。

引用)神奈川県人事委員会ホームページより

このように、昇任試験が実施されているかどうかについては、各都道府県や市役所など、それぞれの地方自治体により異なっており、一概に述べることはできません。

4.まとめ

地方公務員と言っても、それぞれの地方自治体によって昇任のしくみはさまざまであり、また職種によっても違いがあることが分かります。

実際には、地方自治体に採用され、通常は係員として職場に配置されてから、業務に必要とされる知識や技術を身につけ、職務にふさわしい能力や経験を得ながら昇任を視野に入れていくこととなります。

ですが、地方公務員になることで将来ひらけてくるキャリアというものがあります。
また公務員試験の勉強が、入庁後の実務や昇任試験に生きてくることもありますので、熱意をもって取り組んでいきたいですね。

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