公務員試験用の参考書や問題集ってたくさんあってどれを選べばいいかわからないという人は多いのではないでしょうか。
勉強を進めていくうえで自分のレベルに合わない参考書や問題集を選んでしまうと内容を理解するのに時間がかかり、学習に余計な時間がかかってしまいます。
そのため、評判がいいからとか売れているという理由で選ぶことはおすすめしません。大事なことは、あなたに合ったものを選ぶということなのです。
ここでは、これから公務員試験の学習を始める人、またすでに勉強を始めている人で参考書選びに迷っている人に向けて、どのような参考書を選べばいいかを大手予備校講師にヒアリングしてまとめましたので参考にしていただければと思います。
※問題集や参考書は最新版であることを確認し購入するようにしましょう。
1.教養科目の参考書・問題集
教養科目はどの試験でもそれほど難しい問題が出題されないので、基本的な問題を確実に解けることが重要です。
初学者は過去問に入る前に必ず基礎を身につける必要があります。 ここでは定番ですが分かりやすさを重視したものを紹介していきますので、ここで紹介するものは何度も繰り返し、必ずマスターするようにしてください。
1-1.数的処理・判断推理・資料解釈
どの試験でも数的処理・判断推理・資料解釈は必須問題であり問題数も多く、試験を大きく左右する科目となっています。 一般的に数的系の問題集は易問+標準問+難問(奇問)で構成されますが、公務員試験は満点を目指す試験でありませんで、難問(奇問)手をつけずに、易問+標準問で着実に得点して行くだけで上位合格が見えてきます。
■畑中敦子の数的推理ザ・ベスト プラス
畑中敦子の数的推理ザ・ベスト プラス
数的系の参考書の定番といえばこの畑中シリーズで、判断推理・資料解釈も同シリーズでおすすめです。
畑中敦子の数的処理系の書籍は受験生に非常に人気があり過大評価ともいえる面もありましたが、本書はそのリニューアル版として2015年に発行されたものであり、さすがの畑中敦子ともいえるような出来になっています。
一つの例題につきその解き方について懇切丁寧に解説が書かれており、基本問題について書籍の中ではこれ以上にない分かりやすさになっています。
基本問題とは別に練習問題もついているため、一通り基本を身につけたら練習問題を解くことで確実に実力アップができます。
判断推理と資料解釈も同じシリーズが出版されているので、まずはこれらをマスターすることから始めるといいでしょう。これだけでは問題数としては少ないので、一通り学習を終えたら過去問を解いていき問題を数多くこなすようにしていきましょう。
ちなみに、本誌は「超わかりやすい」ことがウリのため、解説が長くなっていることから、ある程度わかっている人にとってはまどろっこしいものとなるので、自分のレベルを見極めて使うのがいいでしょう。
■数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱
数的推理がみるみるわかる! 解法の玉手箱
上記の畑中シリーズは定番と言えますが、本書もわかりやすさで言えば群を抜いています。
本書の大きな特徴としては、算数のおさらいから始まっている点です。
足し算や引き算の方法など、「そんなレベルから?!」と目を疑いたくなるような内容が解説されているので算数や数学が本当に苦手な人にとっては最初に手をつける問題集としてはよいかもしれません。
問題ごとの解説も解き方をステップごとに書いており、つまずきそうなポイントも補足として説明されているので「これから数的を始めるけれど算数や数学は苦手」という人にはとてもおすすめできる一冊です。
1-2.英文読解
どの試験でも英文読解は4〜5題出題されます。
単純な長文読解(内容把握)だけでなく、空欄補充や会話文が出題されることもありますが、基本的な勉強方法はまずは基本レベル英単語を理解し、そして英文を読む事に慣れることです。
なお、書店に多く英語問題集がありますが、現在自分レベルにあった問題集をま ず1冊だけ見つけ、それをボロボロになるまで使う事が大事です。ボロボロになったら次レベ ル本を買いましょう。また、TOEIC 用問題集、TOEIC 出題傾向にやや偏っているで、できれば様々な分野文章が読める大学受験用テキスト方がよりおすすめです。
■速読英単語 (1)必修編 [改訂第6版]
速読英単語 (1)必修編 [改訂第6版]
大学受験では定番の速読英単語ですが、公務員試験でも使えます。 速読英単語の特徴はなんといっても長文の中で英単語を覚えられるため、長文を読む力を身につけると同時に単語も覚えられるという利点があります。
公務員試験の英文読解では基本的に短い時間で文章の大意をつかむことが求められるため、長文読解型の本書は非常によいトレーニングとなりおすすめです。
同様の単語帳として「DUO」がありますが、こちらは短い例文の中で詳しい解説が載っているというものであるため、公務員試験においてはより長文である速読英単語がおすすめです。
使い方としては文章を読んでいきとにかく英文のまま内容を理解できるようにしてくだい。 途中でわからない単語や文章があるかもしれませんが、公務員試験ではとにかく要点さえつかめれば解答できる問題が多いので、一通り読んだ後に単語や構文の確認をする、という方法でやっていけば必ず長文の読解力はついていくでしょう。
本書は英語の初心者〜中級者向きであるので、簡単に感じられるのであれば過去問を解いていくか次に紹介する「リンガメタリカ」を使うことをおすすめします。 英語が苦手で難しいなと思われる人は次で紹介する速読速聴・英単語 Basic 2400がおすすめです。
■速読速聴・英単語 Basic 2400
速読速聴・英単語 Basic 2400 ver.3
英語が本当に苦手でアレルギーがある方は本書から始めることをおすすめします。
本書も英文中で単語を覚えていく形式ですが、2段落程度短い英文から始まります。しかも、本書は「中学英語」 という分野から始まり、every day や find out など超基礎単語について赤字で示し、同じペ ージ下に単語解説が掲載され、訳右ページに掲載されています。
every day くらい知っ ているよ、という方でも、苦手な人はそのような簡単な単語混じった文章を読む事が難しいことが多いので、英文に慣れるという意味で本書はおすすめです。
■話題別英単語 リンガメタリカ
話題別英単語 リンガメタリカ [改訂版]
こちらも大学受験で使われる参考書ですが、環境や科学、経済など現代の重要テーマをピックアップしており、他の参考書と異なり各重要テーマの解説が日本語で解説しながら、さらにその文中で英単語を紹介しているので公務員試験で問われる様々な教養英文に対応できます。
ある程度基本ができている人でさらにレベルアップしたい人や、とにかく分量をこなしていき英語を得点源としたい人にはおすすめの参考書といえるでしょう。
1-3.時事
■速攻の時事
公務員試験 速攻の時事 平成27年度試験完全対応
公務員試験の時事対策の定番ともいえる本書ですが、出題される内容についての基本事項を非常にわかりやすくまとめられています。 時事の勉強を進める上で本書に書いてあることは最低限覚えておくといいでしょう。
しかし、本試験では本書に記載されていない分野も多く出題されるので、これ1冊だけで挑むのは危険です。あくまで基本事項を一通り理解するためのものと心得ておき、模試などと併用することで幅広い知識を身につけるようにしましょう。
2.専門科目の参考書・問題集
行政職の試験では、憲法、民法、行政法、経済原論(ミクロ経済、マクロ経済)のウェイトが重 く主要科目となっています。出題分野には傾向があるので、勉強次第では専門科目全体で8 〜10 割を得点することも可能ですが、問題䛾レベルは決して簡単ではありません。
大学で使用した基本書をもとに過去問集を解いて行けば独学でも合格可能ですが、大学で 履修していない科目(たとえば、法学部・文学部系であれば経済原論)については公務員試験対策用の参考書等で基本的な内容を理解することが必要になります。
以下では知識が全くない状態の方が基本的な知識を身につけるのに適した参考書を紹介します。
2−1.経済原論
■公務員試験 最初でつまずかない経済学(ミクロ/マクロ)
公務員試験 最初でつまずかない経済学 ミクロ編
大学で経済学を学んでいる人でも経済原論を苦手とする人は多いのが現状です。 経済原論は市販の参考書で分かりやすいものは非常に少ないのですが、中でも初心者にとって最も分かりやすいのは本書ではないでしょうか。
前半が教養レベル、後半が専門レベルという構成になっていて、全くの初学者でも難しい理屈を抜きにした内容から入っていくので理解が進みます。 経済学に出てくるややこしいグラフや論点についてもわかりやすく解説されており欄外のコメントも理解を手助けしてくれるものとなっています。
よっぽど経済原論が得意だという人以外はまずは本書をしっかりと通読し、過去問に取りかかれば本試験に対応できる力を身につけることができるでしょう。
2−2.民法
■郷原豊茂の民法まるごと講義生中継
郷原豊茂の民法まるごと講義生中継〈1〉総則・物権編 第6版 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)
郷原豊茂の民法まるごと講義生中継〈2〉債権編 第5版 (公務員試験 まるごと講義生中継シリーズ)
民法は事例が複雑であったり専門用語が多かったりするため苦手とする受験生は非常に多く、市販の参考書ではほぼ間違いなく挫折してしまいます。 その中でも本書は初学者でも難しい民法をしっかりと理解できる唯一の参考書ではないでしょうか。
本書は講義口調で書かれている点で読みやすく、民法を理解する上で欠かせない具体例や図も多く掲載されているので入門書としては最適な一冊でしょう。
まずは一通り通読し論点を理解するように努めましょう。ざっと理解したら過去問に取り掛かり、その都度不明な点は本書に立つ戻り理解をしくという流れでいいでしょう。
本書だけではカバーできない判例が多くありますので、基本は本書で理解し過去問を解きながら判例を覚えていくという方法で学習していくことで本試験に必要な学力を身につけることができます。
2−3.行政法
■国家試験受験のためのよくわかる行政法
国家試験受験のためのよくわかる行政法
理解しにくい行政法について、事例を織り交ぜながらわかりやすく説明されており入門書に最適な一冊です。
行政法は民法等と異なり、抽象的な事項が多いのでイメージがしづらく苦手とする受験生が多くいます。本書は行政法理論、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法等、行政法全体について重要ポイントを、事例を織り交ぜながらわかりやすく説明しており、入門書として、また、基本書や過去問集を解く際は補助教材としておすすめの一冊です。
用語索引もついているので迷った時にすぐに調べられるのでとても重宝します。(基本書と異なり予備校等出版のテキストには索引がついていないことが多く不便なこともありますが、索引付きは本書は受験生の勉強に優しい1冊です。)
※行政法は平成26年改正が反映されているか必ず確認しましょう!
2−4.憲法(記述対策)
■公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ
公務員試験 専門記述式 憲法 答案完成ゼミ
なかなか記述対策の良書はないのですが、憲法の記述対策については本書が評判です。
理由としては、
・公務員試験の過去問題を載せている
・覚えるべきポイントや判例が分かりやすく示されている
・過去問題を載せつつ、オリジナル問題も載せている
・おさえるべき論点がもれなく掲載されている
という点です。
本書を読み込み、掲載されている問題をしっかりとこなせば裁判所事務官一般職や国税専門官・財務専門官の問題には対応できるでしょう。
ちなみに、本書の民放・行政法版もありますが、論点が少ないといった声もあるため購入するかどうかは実際に手にとって見て判断したほうが良いかと思われます。
3.過去問集(全科目対応)
■新スーパー過去問ゼミ
公務員試験 新スーパー過去問ゼミ4 憲法
いわゆる「スー過去」のことであり、公務員試験の定番の過去問集です。
問題として良問がセレクトされており、網羅性もありながら問題数もちょうどよく、頻出度の表示もあるので用途に応じて使うといった方法もでき汎用性が高いのが特徴です。
基本的な参考書で一通り学習したあとは本書を繰り返し解くことで本試験に対応できる力を身につけることができます。
しかし、解説がそれほど詳しくないため苦手科目だと理解に苦しむ可能性がありますので、本書に手をつける前に解説が詳しい問題集で基礎力を身につけたほうがよいでしょう。また、解説が後ろにまとめて掲載されているので、1問ずつ答え合わせをするのがやや不便だと感じるかもしれません。
ただ、学習が進んでいる人や得意科目を伸ばしている人にとっては解説の短さは時間の短縮につなげることができるので、自分の科目ごとのレベルに応じて使うことをおすすめします。
■過去問新クイックマスター
公務員試験 過去問新クイックマスター 判断推理・図形 <第5版>
近年、評判をあげてきた過去問集であり、過去10年の各試験種の出題状況を示した表はとても役立ちます、 また、解説も詳しく、問題と解説が見開き1ページになっているので、上記のスー過去が難しいと感じる人や苦手科目について問題を解くことでしっかりと理解したいという人にはおすすめです。
注意点としては問題数が非常に多く解説も充実しているので1周するのに相当な時間がかかるということです。 頭から解いていくと途中で挫折する可能性もあるので、頻出の分野や重要な部分だけ解くなどポイントポイントで解くという方法から始めるといいでしょう。
時間をかけて一冊すべてマスターすれば相当な力がつきますので、本試験まで時間がある人は取り組んでみてもいいでしょう。
■国立大学法人等職員採用試験攻略ブック (別冊受験ジャーナル)
国立大学法人等 職員採用試験攻略ブック 28年度 (別冊受験ジャーナル)
国立大学法人の過去問が掲載されているだけでなく、試験制度や仕事内容についても掲載されているので、一通り学習し直前期に過去問をざっと確認したい人にはおすすめの一冊です。
本書はあくまで国立大学法人の出題がどのようなものかを確認するものであるため問題数はそれほど多くないので基本を学んだあとは上記のスー過去やクイックマスターなどで別途問題演習をこなしていく必要があります。
4.まとめ
公務員試験の参考書は数多くありますが、初学者でも使えるものは意外と少ないのが現状です。 特に独学者は参考書選びは非常に重要であり、それにより合否が決まると言っても過言ではありません。 この記事を参考に、自分に合った参考書を選び合格を勝ち取りましょう!