出題範囲の広い世界史をどのように勉強すべきか悩んでいる人も多いのではないでしょうか。
また、勉強が大変な割に出題数が少なく、かと言って捨ててしまっていいものかどうかということも悩みがちな内容です。
高校時代に勉強していたならともかく、自分は日本史をやっていた、そもそも歴史は選択していない、という人にとっては厄介な科目でしかないでしょう。
ここではそのような方に具体的な世界史の勉強方法および捨てるべきかの判断について解説していきます。
1.公務員試験の世界史の出題数
多くの受験生が受験する国家総合職、国家一般職、財務、国税専門官、裁判所事務官では、ここ数年間は1問の出題数となっています。27年度の各種試験も1問の出題でした。
地方上級試験や、B、C日程で行われる地方公務員試験においては各地域によって異なりますが、おおむね1~2問といったところでしょう。
世界史をはじめ、教養科目で出題される自然科学や人文科学の出題範囲は、ほぼセンター試験と同程度の範囲なのにもかかわらず、出題数が少ないため、効率よく学習していくことが必要になります。それでは、日本史と比較しながら、具体的にどのように世界史の勉強を進めていけば良いのかについて考えていきましょう。
2.世界史の勉強方法について
世界史と日本史では勉強方法が少し変わってくるため、この点を踏まえ、公務員試験における世界史について見ていくこととします。
2-1.具体的な勉強の進め方
世界史も日本史と同様、範囲が広いため、頻出分野だけ集中的に取り組むという勉強方法で基本的には問題ありません。しかし、日本史とは違い世界史を勉強する際には注意しなければならないことがあります。
それは日本史と異なり、複数の国の歴史の縦の流れを頭に入れなければならないということです。
日本史は、ひたすら日本の歴史を暗記すれば良いのですが、世界史はこの点でややこしく感じてしまい、とっつきにくいと思う方がいるようです。たとえば、ヨーロッパ史であれば、各国が統一された時期、革命が起こった時期等が異なってくるため、暗記する際に少し大変です。また単純にカタカナが多く覚えきれないといった声もよく聞きます。
しかし、出題されてもせいぜい1問程度の世界史ですから、そこまで力を入れすぎる必要はありません。日本史同様、予備校に通っている方は、授業を聞いて過去問集で演習というオーソドックスなやり方で十分かと思われます。
過去問集に関しては、スーパー過去問ゼミやクイックマスターなどオーソドックスなものを使い、それらを解く→間違った場合は、その都度正しい知識を頭に入れる→時間をおいてまた解く、という風に繰り返し解いていきましょう。
独学で勉強している人は「ダイレクトナビ」を使い学習している人が多いようです。本書は過去問を解きながらインプットできるため、効率的に学習を進めることができます。
上・中級公務員試験 過去問ダイレクトナビ 世界史 2017年度
もっと詳しく知識をインプットしたいのであればセンター試験用ですが、「世界史Bの点数が面白いほどとれる本」を見るのも良いでしょう。
改訂第2版 センター試験 世界史Bの点数が面白いほどとれる本
正直、教養科目についてはセンター対策用の参考書のほうが質が高いものが多く、インプット用として公務員試験用のものでいいものはあまりないと感じています。ほとんどが他の人文系科目とまとめられてしまっており、1科目あたりの情報が薄くなってしまっているという印象があります。
ただ、こちらの本はボリュームが相当あるので、一から読もうとせず、頻出のところだけ読むか、上記のダイレクトナビや過去問集を解く中で分からない部分があれば参考にする、といった使い方をすると良いでしょう。
そして、世界史だけに限りませんが、重要な知識は何度も繰り返し出題されますので、インプットができたら過去問集を繰り返し解くということは忘れないでください。
過去問集に関しては、世界史や日本史などの人文科学や自然科学等のサブ科目は、3周できれば上出来でしょう。センター試験などで一度勉強したことがある科目は2周でも十分かと思われます。ただし、ただ何となく解くのではなく、しっかり知識を頭にいれることを意識しながら勉強を進めていかなければ意味がありません。
ただ回数を回すばかり気にしすぎてしまい、3周したのに全然解けない、ということがよくあります。
それは単純に過去問の解き方が間違っているのです。回すことを目的とするのではなく、理解することを目的としましょう。
過去問の解き方については公務員試験合格に必要な正しい過去問の解き方を参考にしてみてください。
また、世界史の問題を解く際には他科目ともリンクさせながら勉強を進めていくことをおすすめします。
たとえば、戦後史は、経済の流れ等も問われることがありますし、日本史の知識が選択肢の正誤を判断する際に役に立つことがあります。特に戦後を勉強する際は、日本史の知識とも照らし合わせながら取り組んでいくと効率良く学習を進めることができます。
2-2.問題を解くときのポイントと頻出範囲
問題を解くポイントとしては、まずは用語とその定義を正確に覚え、人物の名前とその人物が行った政策等をしっかりと一致させることが大事です。
例えば、フランクリンルーズベルトが行ったニューディール政策は経済に国家の統制を加える政策である、といった要領で頭に入れていきます。
たいていの誤った選択肢は、ここでひっかけを作ってくることが多いので、これらを覚えておけば正解を導くことができます。
また、先ほどお伝えしたように、世界史の問題を解く際は、各国の歴史を混同しないように丁寧に覚えていくことが重要です。
さらに、A国で○○の出来事が起こっているときにB国は△△な状況であった、という選択肢もたまに見られるため、横の流れにも注意して取り組むことも大事です(たとえばイギリスとフランスの関係史という形で出題されることがあります)。
以上、問題を解く際のポイントについて解説してきましたが、世界史のすべての範囲を丁寧にやっているときりがないため、特に頻出分野においてこれらの解き方・勉強の仕方を意識していきましょう。
では、世界史の頻出分野とはどこなのかというと、ずばりアメリカ史と第一次世界大戦と戦後史です。この分野は毎年どこかの試験で出題されているのではないでしょうか。
実際に、本年度(平成28年度)は、アメリカ史が国税・財務専門官試験で出題されています。裁判所は毎年かなり頻出度の低い分野を出題している印象がありますが(ちなみに本年度はイスラム世界についての出題)、アメリカ史と第一次世界大戦後と戦後については、世界史全体に取り組む時間がなくてもやっておくと良いかもしれません。
4.世界史を捨てるべきかどうかについて
最後に、世界史をいわゆる「捨て科目」にするか迷っている方もいるかと思いますので、そのような場合どうすべきかについて触れます。
結論から言えば「捨てても問題ない」です。
たった1問のために膨大な範囲を勉強するのも時間の無駄です。これまで世界史について全く学習したことのない人にとってはコスパが悪いこと極まりないでしょう。
これまで世界史を全く勉強したことがない・カタカナを見るだけで嫌気がさす、と思う方は時間がなければ捨ててしまうのも手です。
ただし、当然その分他の科目でカバーしなければなりません。得意な科目はもちろん、そうでない科目についてもそれなりに得点できるようにバランスを見ながら勉強していきましょう。
不安だから少しだけ勉強しておこうかな、と思う人はアメリカ史と第一次世界大戦後と戦後についてはやっておいて損はないかもしれません。これらの分野は先ほどお伝えした通り頻出分野なので、出たらラッキーぐらいの気持ちで勉強するといいでしょう。そうすることで勉強に取りかかるときの心理的負担はかなり減ると思います。
5.まとめ
世界史の勉強方法も他の科目と同様、インプット→アウトプットの繰り返しです。
どうしても苦手意識がある人は頻出分野だけやる、最悪全て捨ててしまってもよいでしょう。
その分、他の科目で得点できるようにしましょう。
日本史の勉強方法については公務員試験に合格するための日本史の勉強方法をご覧ください。