1.はじめに
新年度がスタートすると、大学3年生を中心に来年に公務員試験を受けようとされる方が対策を考え出します。特に、塾・予備校で学習をするのか、独学をするのかという学習手段の検討をすることが多いように思います。
そして、このとき、重要なことの1つが、各科目の攻略法を知ることです。なぜなら、その攻略法を知って、実践できるのであれば独学で行えば良くなり、難しそうであれば、塾・予備校を使うことになるからです。
そこで本記事では、行政事務に携わる試験種の専門科目として出題される「憲法」の攻略法をお伝えします。
ちなみに、タイトルに8割ゲットとしているのは、公務員試験は概ね6〜7割の得点で合格するため、8割取れる=合格に大きく寄与できる科目=得意科目になったことを意味します。すなわち、憲法を得意科目にする学習方法を教材を紹介しつつ行います。
2.憲法の学習方法
(1)大前提
学習方法に具体的に言及する前に、以下の3点を踏まえます。
第1に、憲法は、その後に続く、民法や行政法などの法律系科目の学習における土台となります。したがって、法律系科目の一番最初に学習をします。したがって、学習方法のアドバイスをする際には、法律初学者の視点でお伝えします。
第2に、公務員試験における憲法の難易度はそこまで高くありません(あくまでも、試験で得点するうえではということです)。高校時代の公民系科目の学習で、基本的人権や日本の政治システムを学んでいると思いますが、この基礎知識を活用しながら学ぶとかなりスピーディーに理解できると言えます。
第3に、他の専門科目の学習もあることを念頭に置きましょう。憲法だけを完璧にすれば合格するわけではありません。例えば、国家一般職においては、40問中5問のウェイトです。民法や経済学が40問中の10というのと比較すればわかるように、他に出題数の多い科目が多い点を忘れないようにしましょう。
(2)学習の仕方
直前期は「3」に譲りまして、ここでは、学習開始時点の行い方を述べます。
結論からいいますと、①判例集が手元にある上で、②「解説がしっかりした問題集にいきなりトライし、2回転以上回す」か、③「参考書と問題集が一体となった本で、参考書読んですぐ該当問題を解くを繰り返しながら1冊を仕上げる」のどちらかが望ましいといえます。
順番に解説していきましょう。
①判例集を手元に置く
①は民法や行政法でも判例は重要であり、今後の学習で使うためです。また、後述する②・③の学習をする際のサポートとなるからです。
おすすめの参考書は、行政書士試験用の
『みんなが欲しかった! 行政書士の判例集 2024年度 [行政書士の教科書に準拠](TAC出版) (みんなが欲しかった!行政書士シリーズ)』です。これの、憲法、民法、行政法部分を使う感じです。
公務員試験用のものを使わないのは、行政書士用は毎年改訂された新しい判例集が出版され、公務員試験と範囲も多く重なるためです。
なお、判例集は、1ページ目から読んでいくという形ではなく、後述する②や③の学習をする中で、必ずしも言及がされていない事柄を知るために使います。いわば、辞書代わりということです。
②いきなり問題集からも可能(ただし、問題集の解説は十分なものを選ぶ)
本項の「1.大前提」で憲法の難易度があまり高くないことを伝えました。また、高校までの知識を踏まえると取り組みやすい点にも言及しました。
このため、いきなり問題集を読み物のように使って学習する方法は有効です。すなわち、いきなり問題集の問題を解くのではなく、問題を読んだらすぐに解答解説を読んで中身を理解していくということです。このとき、事件名などしか書いていない判例については上述の判例集を読みながら知識を増やしていくわけです。
高校が文系で、受験で公民系科目を使っていたり、現在の学部学科が社会科学系の方だったりすると、この「いきなり問題集」を2・3回転させるだけで、8割の得点化に大きく近づきます。
さて、このときにおすすめの問題集を2つ紹介しておきます。
イ:2024-2025年合格目標 公務員試験 本気で合格!過去問解きまくり! 【9】憲法
アは、いわゆる公務員試験の定番と言われる「スー過去」です。豊富な問題演習ができ、レジュメ風のポイントもありますので、これと①で言及した判例集などを使いながら取り組むことで、大きな力を得ることでしょう。
イは、スーパー過去問よりもやや丁寧なまとめがあったり、内容を隠せるシートがついていたりと、親切な設計となっています。
②の学習方法の場合、どちらか1冊を用いて学習を進めていくことになります。
③テキストと問題集一体型を使うのもOK
②の学習においては、いきなり問題をみてわからない言葉ばかりだと挫折してしまう!と感じる場合は、テキストを読んでから問題集に取り組むことになります。
しかし、繰り返しますが、公務員試験の選択式の憲法の難易度はそこまで高くありません。出題がレアな論点まで詳しく書いてある分厚いテキストは不要といえます。特に、他の科目の学習にも時間を割かねばならないことを考えれば、なるべく早く憲法の学習を終えた方が望ましいです。
また、すぐに問題を解いて定着を図ることが望ましい学習方法です。以上を考えますと、参考書と問題集が一体となったものを活用することをお勧めします。この観点で良いと感じる参考書は、以下です。
この本は、テキストと問題集の両方があります。そしてテキスト部分と問題集部分をわけることができ使いやすいです。
②のいきなり問題集型か、③のテキストと問題集一体型でやるかは、自分にあったほうを選びましょう。
3.直前期
2の(2)の①+②か、①+③の学習をしたあとは、民法や行政法などの他の法律系科目や、その他専門、教養の科目を学習していくことになります。
そして、直前期に再び、学習内容を思い出す取り組みが憲法には必要です。このとき、やみくもに全範囲を復習するのは大変です。そこで、外部模試などを購入して、そこで問われている内容から、テキストや問題集など使用教材に立ち戻って学習することをお勧めします。やはり、模擬試験は、実施団体が、当ててやろう!と意気込んで作っていますので、その部分をしっかりおさえるということですね。
ただ、模試も1回数千円で、何回も購入するとなると、お財布的に苦しい方もいると思います。その場合は、実務教育出版が毎年出している直前予想問題の雑誌を模試代わりに利用するのもよいでしょう(2024年度はこちら)。ここで、重要な判例変更や新判例もおさえられますので、お勧めです。
4.おわりに
本記事では、憲法についての学習方法をお伝えしました。
具体的には、
(ⅰ)法律系科目学習の一番目として学習をする (ⅱ)解説が詳しめに書いてある問題集でいきなり学習をしていくか、テキストと問題集が一体となっているものを用いて学習をしていくかを選んで行う (ⅲ)判例集は(ⅱ)の学習を通じ詳しく理解したい点を中心に読み込む辞書的な使い方をする (ⅳ)直前期は外部模試や受験ジャーナルで出題予想順に復習する |
というものです。
参考にしていただければ幸いです。
なお、憲法を記述試験でも使うにはどうすれば良いのか、国家総合職なども受験予定だがこの学習方法で良いのだろうかといった疑問点から、言われたやり方をしても難しくてわからず挫折しそうだなどの不安点まで、個々の状況では色々聞きたいことが生じるかと思います。
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