「令和7年度 特別区に早期枠」ができます!~受験戦略はどうすべきか~ | ASK公務員 - 個別指導/論文・面接カード添削の公務員試験対策塾

「令和7年度 特別区に早期枠」ができます!~受験戦略はどうすべきか~

  • 2024年12月16日
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宮園 啓介
大学卒業後から、大手資格予備校、高校、大学において公務員試験対策に携わり、今まで多くの国家公務員、地方公務員合格者を輩出。自身の公務員試験合格経験に慢心せず、刻々と変化する試験傾向の分析を丁寧に行い、「出そうなところを確実に仕留める」指導をモットーとする。

【主な指導科目】
教養試験;数的処理・文章理解・人文科学・社会科学
専門試験;経済学(ミクロ、マクロ、財政学など) 、行政系(政治学・行政学・社会学)
人物試験;面接・小論文

1.はじめに

大学卒業程度試験の特別区試験(以下、「春試験」といいます)は、4月下旬に一次試験として筆記試験(教養・専門・論作文)を行い、合格者には7月上旬に面接試験を二次試験で実施するのが一般的でした。しかし、来年からは、「早期枠」が実施されます。
本記事では、この「早期枠」を紹介した上で、受験戦略はどのように考えたら良いのかについてお伝えします。

2.「特別区の早期枠試験」の概要

それでは、特別区の早期枠試験の概要を説明していきます。

(1)試験スケジュール

①申し込み時期→2月前半
②一次試験→3月前半
③二次試験→4月中旬と5月前半
④最終合格発表→5月下旬
上記のようなスケジュールですので、民間企業と同時期になっているといえるでしょう。
したがって、民間企業を中心に活動をしている人にとっては、受験先の1つとして使えるかもしれませんね。

(2)試験内容

①一次試験→SPI試験
②二次試験(4月中旬)→プレゼンテーションシート作成(行政課題に関するテーマで行うようです)
③二次試験(5月前半)→作成したシートに基づくプレゼンテーション&個別面接

SPI試験ということですので、公務員試験用の特別な筆記試験は不要ということになります。また、テストセンター受験ですので、スケジュールが組みやすいといえるでしょう。

その後にはプレゼンテーションがあります。これは行政課題ですので、民間企業で出されやすいプレゼンテーマやグループディスカッションテーマとは異なるようです。つまり、公的な分野が携わる事項への興味関心を有していないといけないという意味では、民間企業の業界研究に類する準備は必要といえます。

(3)注意事項

この試験と、春試験(従来の公務員試験型の4月下旬に一次試験、7月に二次試験型)は併願が不可だということです。
つまり、「どうしても特別区で働きたい!」と考えている方にとって、受験回数が増えるわけではない点は注意しましょう。

3.「特別区の早期枠」試験との向き合い方

それでは、次に、この早期枠との向き合い方をお伝えしていきます。
結論としては、特別区の志望度が高い方は、従来の公務員試験型を受けておいた方が良いということです。理由は次の3点です。

(1)早期枠は民間志望者を振り向かせる役所側の作戦だから

1点目は、以前の記事でもご紹介しましたが、「民間筆記試験型公務員試験」は、そもそも公務員受験者数増加を目的としているからです。
受験負担が少ないのに公務員の魅力は変わらずあるわけですので、「受験をそこまで考えていなかったけど、SPIで良いなら受けてみるか」と受験対象者を拡大させられるのではないかと思って採用側はこの試験を行い、倍率上昇をねらっています。あまりに、倍率が低いと、質の低下を懸念されてしまうためですね。

「民間筆記試験型公務員試験」受験、3つの留意事項!

これに対し、特別区をはじめとした公務員になりたい方は、公務員型の学習を既にしていることでしょう。あまり対策していない試験内容、かつ倍率が上昇を狙っているだけの試験形式に応募するメリットは少ないと思います。

(2)春試験型の一次試験通過倍率はものすごく下がっているから

2点目は、特別区の一次試験通過倍率がしやすくなっている点です。以下は、特別区の一次試験受験者とその通過者、そして倍率(小数点第3位を四捨五入)です。
令和6年度(2024) 一次受験者6,868人 通過者6,323人 倍率約1.09
令和5年度(2023) 一次受験者7,668人 通過者5,955人 倍率約1.29
令和4年度(2022) 一次受験者8,417人 通過者4,246人 倍率約1.98
これが、8~10年前ですと、以下でした。
平成28年度(2016) 一次受験者11,795人 通過者3,433人 倍率約3.44
平成27年度(2015) 一次受験者 9,712人 通過者3,263人 倍率約2.98
平成26年度(2014) 一次受験者12,906人 通過者3,031人 倍率約4.26

いかがでしょうか。近年は2倍を切っており、ここ2年は限りなく1倍に近い状態です。つまり、ほぼ通過するといえるような試験になっているわけです。

したがって、最低限の一次試験突破に向け、公務員型の学習にいそしんだ方が、良い結果(=合格)が得られやすいといえるでしょう。

ちなみに、極論をいうと、この記事公開段階の2024年12月から4月下旬の5か月弱でも、きちんとした受験戦術で1日5~6時間くらいの学習時間を費やせるのであるならば、特別区の公務員試験一次突破も夢ではないといえるでしょう(気になる方は是非受講相談しにきてください)。

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(3)プレゼンテーション試験が未知数だから

3点目は、プレゼンテーション試験がどのように行われるのか未知数だからです。
シートの作成も都内会場で行うと記載があります(https://www.union.tokyo23city.lg.jp/jinji/hodo/r6/documents/0912_hodo.pdf)ので、在宅で作業ができない(=調べながら行えるわけではなさそうです)はずです。

ということは、事前に、行政課題の研究が求められます。もちろん、行政課題は多岐に渡る(そのため、役所にはたくさんの部署があるわけです)ので、それなりに色々想定して学習をしておかなくてはなりません。が、そうした対策本なども未整備なのが、試験初年度です。

加えて、例えば私が受験生の場合、絵心やデザインセンスが乏しいため、シートにセンス良く(ビジュアル的に良い感じにすること)には自信が全くありません。ただ、内容だけを書く論作文が課されているわけではないということは、恐らく、その辺りも採点されるはずです。このような悩みを抱く人は多いのではないでしょうか。

したがって、対策がSPIで容易でも、二次試験の部分で負担が大きいといえます。それでしたら、過去の試験蓄積があり、傾向と対策がしやすい公務員試験型(すなわち、春試験)の方が良いと言えます。

4.おわりに

もちろん、「急に最近、公務員に興味が出てきた」、けれど「民間企業も受験するし、その関係であまり勉強に時間が取れないよ」という方にとっては朗報といえる試験形式の創設です。

あるいは、法・経済・政策系の学部に所属し、普段から大学等の講義・ゼミで政策を学んでいる人だったり、人前で話すのが得意だといった人ならば、プレゼンテーション対応はしやすく、ありがたい試験制度かもしれません。

そうした方は、SPIの対策とプレゼン練習で受けられる特別区の早期枠に向いているでしょう(ちなみに、究進塾ではSPI対策や面接・論文・プレゼンテーション対策なども対応していますので、お手伝いも可能です)。

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しかし、それ以外の方、特に今まで公務員試験の勉強をしてきた方は、安易に「早期枠」を目指すのは得策ではありません。公務員が本命なのであれば、倍率、負担感・併願可能性も考慮するのが望ましく、そうすると、従来型の公務員試験で臨む方が得策となる方が多いはずです。もしも、公務員試験勉強をコツコツ頑張られた方は、焦らず初志貫徹で良いのではというのが、私の見解です。
本記事を踏まえつつ、ご自身の受験計画を立てて頂ければと存じます。

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宮園 啓介
大学卒業後から、大手資格予備校、高校、大学において公務員試験対策に携わり、今まで多くの国家公務員、地方公務員合格者を輩出。自身の公務員試験合格経験に慢心せず、刻々と変化する試験傾向の分析を丁寧に行い、「出そうなところを確実に仕留める」指導をモットーとする。

【主な指導科目】
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