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【特別区経験者採用】サクッとわかる職務経験論文の対策法

  • 2024年3月19日
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ASK公務員 編集部
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特別区経験者採用では、一次試験で2種類の論文試験が課されます。
(2種類の論文試験=「課題式論文」「職務経験論文」)

本記事では、コツをつかめば安定した解答が書ける「職務経験論文」について解説します。

この記事で、「職務経験論文」のポイント、傾向と対策の全体像をつかみましょう。

1.特別区経験者採用の「職務経験論文」を得点源に!

まずは、「職務経験論文」の過去問を見てみましょう。

仕事における目標設定と振り返りについて、あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。(R5事務職,90分1200~1500字)

【参照】試験問題及び正答の公表(特別区人事委員会)

この問題文は、3つのパーツに分けて考えることができます。

【テーマの提示】 仕事における目標設定と振り返りについて、
②【職務経験は?】 あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
③【どう生かすか】 その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。

年によって違うのは下線で示したテーマの部分。

逆にいうと、②③は毎年まったく同じです。

ですから、
✓ 自分の職務経験を短く表現した「冒頭文」
✓ 論文を書く上で使えそうな「エピソード」

これらを事前に用意しておくと、安定して書けるようになります。

さて、問題文の3つのパーツそれぞれを、もう少し詳しく見てみましょう。

1-1.【職務経験論文の構造①】テーマの提示

まず、テーマが一つ提示されます。
先ほどの過去問では、「目標設定と振り返り」でした。

経験者採用は、様々な業種・職種の受験生がいます。
そのため、どの仕事でも当てはまる広めのテーマ設定がされる傾向にあります。

広いテーマだからこそ、自分の関わった事例や体験を挙げて、具体的に書くのがポイント。

※なお令和5年度から技術職・ICT職では、別のテーマが出題されるようになりました。
ただ、それぞれの職種としてはやはり一般的なテーマ設定です。(本記事後半で解説。)

1-2.【職務経験論文の構造②】職務経験は?

次に、「あなたの職務経験を簡潔に述べてから」という記述があります。

この”出題者のリクエスト”を正確に受け止め、解答に反映させましょう。

つまり、

✓ 職務経験はコンパクトに書く(「簡潔に」と指定あり)
✓ 職務経験は論文の最初に書く(「述べてから」と指定あり)

この2点を厳守して答案を書くということです。

1-3.【職務経験論文の構造③】どう生かすか?

毎年、試験問題は次の文言で終わっています。

その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。

※ここでいう採用区分とは、受験する際に選ぶ「1,2,3級職」のこと。

それぞれ「係員、主任、係長級」にあたります。ここでもやはり、”出題者のリクエスト”を正確に捉えましょう。

つまり、

✓ その経験(職務経験)をふまえて書いてほしい
✓ 職層にふさわしい目線をもって書いてほしい

ということですね。

経験(職務経験)をふまえてとは…

「目標設定と振り返り」なら、
・PDCAサイクルを回す
・小まめな振り返りで、小さな改善をくり返す
このようなことを書きたいと思う人は多いでしょう。

解答の方向性は間違っていませんが、職務経験(具体例)を交えて書くのが出題者のリクエスト。

ただ「PDCAを回す」と書くだけでは、一般論にしか見えません。
・PDCAサイクルを回す。たとえば、私が新入社員のとき~
・小まめな振り返りで、小さな改善をくり返す。たとえば、私が前の部署にいたとき~
このように、
抽象的な主張には、必ずセットで職務経験(具体例)を加えるのです。

 

職層にふさわしい目線とは…

・1級職(係員)区分:「若手である」前提で論理展開する
・2級職(主任)区分:「後輩がいる」前提で論理展開する
・3級職(係長級)区分:「部下がいる」前提で論理展開する

ということ。
1級職(係員)を受けるなら、

△ PDCAをうまく回せる組織のリーダー像を語る
〇 先輩に学んで振り返りの習慣がついた事例を語る

逆に、3級職(係長級)を受けるなら、

△ 目標設定と振り返りを自分ができるようになった
〇 それを部下やチームができるように工夫して指導
このように、自分が受ける区分にマッチした記述を心がけましょう。

 

 

2.「職務経験論文」の過去問&今後の出題予想と対策

2-1職務経験論文の過去問

令和5年度 <事務職>
仕事における目標設定と振り返りについて、
あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。<技術職>
特別区における脱炭素化への取組について、
あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
その経験と専門知識を踏まえて採用区分における立場として論じてください。<ICT職>
デジタル技術を活用した新たな行政サービスの実現について、
あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
その経験と専門知識を踏まえて採用区分における立場として論じてください。

令和4年度

※共通問題

職場の活性化について、
あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
その経験を踏まえて採用区分における立場として論じてください。

令和3年度

※共通問題

ワーク・ライフ・バランスの実現に向けた職場での取組について、
あなたのこれまでの職務経験を簡潔に述べてから、
その経験を踏まえて採用区分※における立場として論じてください。

<参考:試験問題及び正答の公表(特別区人事委員会)

先にふれた通り、下線部で示したテーマの部分以外は毎年同じです。

ただ一点、令和5年度から独自テーマの出題となった技術職・ICT職のみ注意点があります。

太字のように「専門知識」という言葉が追加されています。
技術職・ICT職は、その業務に関連した専門性がほしいという採用側の期待が表れています。

ただ、テーマは「脱炭素化」「デジタル技術の活用」というオーソドックスなもの。
それぞれの区分の志望者にとって、書きづらいテーマでは無いでしょう。

2-2今後の出題傾向【予想と対策】

「職務経験論文」は準備した人が報われる試験です。

というのも「課題式論文」と同様、同じようなテーマが過去問でくり返し聞かれているからです。

「職務経験論文」が現在の形式になった平成24年度。
その平成24年度以降の過去問全テーマを整理した表を以下に示します。

筆者によるカテゴリ分け 過去問テーマ
【A.課題解決】 ・仕事の目標設定と振り返り(R5,事務)
・職場における創意工夫(H28)
・課題解決に向けた取組(H30)
【B.効率化】 ・ワーク・ライフ・バランスの実現(R3)
・仕事の優先順位(R2)
・スケジュール管理(H24)
【C.チーム】 ・職場の活性化(R4)
・チームワークの重要性(H26)
・コミュニケーションの重要性(H25)
【D.危機管理】 ・職務上のトラブル対応(R1)
・業務執行上のリスク対応(H29)
・職場における個人情報管理の重要性(H27)
【E.専門職】 ・脱炭素化(R5,技術)
・デジタル技術の活用(R5,ICT)

このように、「職務経験論文」では同じようなテーマがくり返し出題されます。

ですから、「過去問で合格答案を書けるようにする」ことこそが合格の近道です。

技術職やICT職のテーマ予測

技術職やICT職の受験生は過去問が令和5年度しかなく、対策に困りますね。
ただ、事務職であっても専門職であってもA~Dの視点が大切なのは同じ

実際に、
「脱炭素化」は【A.課題解決】カテゴリともいえます。
「デジタル技術の活用」は【A.課題解決】もしくは【B.効率化】カテゴリと密接に関連しています。

このように発想すると、対策しておきたいテーマが見えてます。

たとえば技術職なら、
【D.危機管理】・・・「災害に強いまちづくり」「施設老朽化への対応」

ICT職なら、
【A.課題解決】もしくは【B.効率化】・・・「AI技術の活用」
【D.危機管理】・・・「ICT-BCP(ICT部門の災害時における事業継続計画)」

これらのテーマには対応できるようにしておくと良いでしょう。

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3.「職務経験論文」で合格点を取る4ステップ勉強法

では、実際に「職務経験論文」で合格点を取るにはどう対策すればよいでしょうか。

本稿では学習指針を4ステップで示しましたので、ぜひ参考にしてみてください。

3-1.【ステップ①】今すぐ論文の「型」を身につける

論文試験は、内容以前に「形式」が大事です。
どんな採点者が読んでも、パッと理解できる書き方を徹底しなければいけません。
そのためには、あなたが論文の「型」を学び、常に意識して論文学習に取り組む必要があります。

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3-2.【ステップ②】職務経験の棚卸し(書き出し)

あなたが特別区経験者採用を受けるにあたって、アピールしたい職務経験を書き出してみましょう。
複数の職歴がある人は、

✓ 今取り組んでいる(最新の)仕事
✓ 比較して最も長く取り組んでいる仕事

まず、このどちらかを選んで考えると良いです。
考える際には、なんとなく頭の中で想像するだけでなく、書き出しましょう
以下に、職務経験を書き出すとき、ヒントになる質問(トリガーリスト)を掲載します。参考にしてみてください。

職務経験を振り返るトリガーリスト8

Q.これまでに取り組んだ仕事を思い出せるだけ書いてください。(キーワードでOK)
Q.これまでに仕事で得たスキル、能力を思い出せるだけ書いてください。(キーワードでOK)
Q.これまでで一番、頑張った業務は何ですか?
Q.そのとき、特にどんな点にこだわりましたか?
Q.これまでで一番、評価された業務は何ですか?
Q.そのとき、周りからどんな点を評価されましたか?
Q.これまでで一番、困った状況は何でしたか?
Q.その困難な状況を、どうやって乗り越えましたか?

とりあえず思いつくまま書き出すなら、30分あればできるはず。
(PCで書けば、あとで何度でも修正が可能です。)

何より、この内容はエントリーシート(職務経歴内容)や面接回答にも使えるように厳選した項目。
取り組んでみて損はありませんので、まず30分チャレンジしてみてください。

3-3.【ステップ③】冒頭文の練り上げ&エピソードの書き出し

前のステップで自身の職務経験を棚卸しすると、

「あの時のプロジェクトの話なら、スラスラ書けそうだ」
「逆に今の〇〇の業務は、うまく説明を書くのが難しそう」

こういった”見当”がつくようになってきます。

ただ、ここで安心してはいけません。
もう一歩踏みこんで、言語化(文章化)しておいた方がいいものがあります。

それは、冒頭文とエピソード(具体例)です。

冒頭文については、最初に必ず書く100字程度の文章を事前に作っておきましょう
たとえば、メーカーの営業マンなら、こんな冒頭文を書けます。

私はこれまで、食品メーカーで営業職に従事してきた。自社だけでなく取引先の利益を最大化し、また消費者の食卓を豊かにするため、自社の商品紹介にとどまらない売場作りやイベント提案に工夫して取り組んできた。(99字)

「たったこれだけ?」と思った人もいるかもしれません。

実は、これだけしか書けないのです。

たとえば、このような前置きに200字書いてしまうなら「書き過ぎ」です。
自身のエピソードや主張に割ける字数が減ってしまい、内容が薄くなります。
この冒頭文では、あくまで、

✓ 採点官が「書き手はどんな仕事をしているか」一瞬で理解できる
✓ 採点官が「書き手のアピールポイント」をなんとなく理解できる

この程度の内容であればOK。

この例なら、
「ふむふむ、この受験生は営業マン?食品を売っているんだな。」
「詳しくは分からないけれど、仕事で工夫を重ねているようだ。」
こう受け取ってもらうだけで大丈夫です。
この冒頭文があることで、採点官はその後の論文をよりよく理解することができます。

続けて、

仕事における目標設定と振り返り」は、営業マンにとって売上の成否を左右する大切な業務の一つである。私は新入社員の頃、目標設定こそしていたが、つい振り返りは疎かに…(たとえばこの後、「優秀な先輩営業マンに学び、振り返りを週次で行い、PDCAを回すようになった→結果、営業成績が伸びた」という風に書き進めていく)

このように課題テーマにふれればよいわけです。

※ちなみに、この方法なら過去年度のテーマでも、最初の100字は変えずに対応可能です。

職場の活性化」を考える上で、私が前の営業所に勤務していた時に貴重な経験をした。その営業所は従来より、営業所長の強いリーダーシップのもと、不況下でも優れた営業成績を記録していた。しかし、職場の雰囲気は良いものではなく…(たとえばこの後、「新人や若手が意見を言える職場にどうやって変わっていったか」書き進めていく)

 

ワーク・ライフ・バランスの実現」は、営業職にとって大きな課題の一つだ。実際に私も、新入社員の頃から数年間、毎日のように夜十時まで会社で働いていた。そこで得られた学びも多かったが…(たとえばこの後、「どうやって個人やチームの努力で残業を減らしていったか」書き進めていく)

 

「最初の100字は同じでいいってこと?すごくラク!」と思いましたか?その通りです!

しっかり冒頭文を用意しておけば、上記のように、どんなテーマが来ても対応可能です。覚えていれば、3分で書けてしまいます。じっくり全体の構成を考えたり、本論を書いたりする余裕が生まれますね。

また、今の営業マンの受験生の例で言えば、

・新入社員の頃、営業成績が悪かった→先輩の指導で伸びた
・〇〇営業所にいた頃、所長が怖かった→〇〇課長の取り組みで雰囲気が替わった
・若手の頃、残業ばかりしていた→部署内の「働き方改革」の取組で早く帰れるように

こういったエピソード(具体例)が、試験中にサッと取り出せるかどうか。それこそが、職務経験論文が「書ける・書けない」の分かれ目です。

試験当日の緊張感のなか、

「えーと、前の職場でどんな目標設定・振り返りしてたっけ?」
「職場の活性化か…使えるネタあるかなぁ?」

こんなふうにゼロから考え出すのは危険です。急には思い出せません。また、思い出せたとしても、言語化(文章化)には時間がかかります。

だからこそ、前のステップ(トリガーリスト)が大事!

過去問にもふれながら、使えそうなエピソードをどんどん書き足していきましょう。くり返しになりますが、この勉強法はエントリーシート(職務経歴内容)や面接回答にも使えます。社会人の受験生には特におすすめなタイムパフォーマンスに優れた勉強法なのです。

3-4.【ステップ④】客観的なアドバイスを生かして得点力UP

試験対策する上で、教養試験と論文試験の最大の違いは何でしょうか。

それは、「論文試験は自己採点できない!」ということ。

教養試験のようにマルバツが明確ではないので、独学者はここで必ず困ります。これまでのステップを経ていれば、ある程度のレベルの職務経歴論文は書けます。

ただ、もしもあなたが、

「自分の答案で、初めて読む人にも職務経歴がちゃんと伝わるかな?」
「行政職を目指す人として、正しい方向に論理展開できているかな?」

こんな迷いをもったなら、それは客観的なアドバイスをもらうべきです。

「ASK公務員のオンライン添削」なら実績豊富な講師があなたの答案を丁寧に添削します。

さらに合格に必要なポイントもお伝えしますので、学習の方向性が明確になります。

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4.まとめ

本記事の重要ポイントを再掲します!

◆職務経験論文では…

✓ 冒頭文はコンパクトに書く

✓ 抽象的な主張には具体例(エピソード体験経験)をセットで示す

✓ 職層にふさわしい目線で書く

✓ 「課題解決・効率化・チーム・危機管理」がよく問われる

✓ 勉強①まず、論文の「型」を身につける

✓ 勉強②職務経験を棚卸しする(トリガーリスト活用)

✓ 勉強③冒頭文とエピソードを素早く書けるようにする

✓ 勉強④客観的なアドバイスをもらってより良い論文にする

課題式論文に比べて、取り組みやすい印象のある職務経験論文。課題式論文や教養試験に必要なインプット学習があまり無い分、対策を怠ったまま受験を迎えてしまう人も少なくありません。
とはいえ、特別区経験者採用では、論文試験が1次・2次試験の両方に影響します。
今年必ず合格したいなら、職務経験論文もしっかり準備しておきましょう。まず、型を覚え、冒頭文を簡潔に書くところから!

皆さんの頑張りを応援しています。

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