公務員は出産と育児がしやすい、と耳にしますが実際のところどうなのでしょうか?
産休(産前・産後休暇)と育休(育児休業)の他にも、制度は整ってきているようですが、実際に取得できるのか。また、育休から復帰した後に、公務員の仕事と育児の両立はできるのか。そんな疑問にお答えします!
1.はじめに
公務員は福利厚生や各種制度が充実しているという点が、人気の理由のひとつです。
一方で、中央省庁での仕事は残業が多いなどとメディアで目にすることがあると、公務員として働いていくことに不安を感じる方もいるでしょう。
ですが、国家公務員も地方公務員も多くの人は、子育てしながら仕事をしています。
この記事では、公務員の出産・育児にかかわる主な休暇・休業制度と、実際の取得状況など、有用な情報をお伝えしていきます!
2.公務員の妊娠から出産まで
まず妊娠が判明したら、と言う前に。
◇不妊治療をするための「出生サポート休暇」が、導入されています。
1年度につき5日以内、体外受精の通院では10日以内、通院にかかる分の休暇が認められるようになりました。
以前は、年休で対応していましたので、通院しやすくなっています。
◇妊娠が判明したら、
✅妊産婦の通院
✅通勤緩和措置…妊婦が交通機関の混雑時を避けて出勤できること
✅妊娠症状休暇
✅妊産婦の時間外勤務等の免除(制限)
といった、妊産婦の身体を保護する制度がありますので、必要に応じて利用することができます。
◇出産前後には、
✅産前・産後休暇
があり、産前8週間前から、産後8週間までが産休となります。
◆パパにも
✅出産補助休暇(配偶者出産休暇)
として、妻の出産に伴う入退院や出産時の付き添いなどで、有給の休暇があります。
✅子育て休暇
という、妻の出産予定日の8週間前から出産後1年の間に取れる休暇もあります。
※なお、休暇制度の名称等は各自治体により異なる場合があります。
3.育児休業の制度はあるけど、公務員の実態は?
では、育児休業について見ていきましょう。
✅育児休業
産後休暇に引き続き、最長で3歳の誕生日の前日まで育児休業を取ることができます。
◆国家公務員が、実際にどれだけ育児休業を取得しているのか。
その状況については、次の通りです。
○令和4年度において新たに育児休業を取得した男性職員は5,030人で、取得率43.9%。女性職員は2,836人で取得率102.2%。
○男性職員の育児休業の取得率は、昨年度から上昇し、調査開始以降(注1)、最高数値。
注1 育児休業の取得状況については平成16年度から、「男の産休」の使用状況については平成26年度から調査を開始している。
○「男の産休」の5日以上使用率(配偶者出産休暇(2日)又は育児参加のための休暇(5日)を5日以上使用した割合)も、86.6%となり、調査開始以降、最高数値。
さらに、生まれて1年以内に育休を取れた割合についてもデータがあります。
〇令和3年度に子供が生まれた男性職員の85.0%が、子の出生後1年以内に育児に伴う休暇・休業を 1ヵ月以上取得。また、1ヵ月未満の場合も含めれば、令和3年度に子供が生まれた男性職員の97.5%が取得し、その平均取得日数は、目途とする1ヵ月を大きく上回る53日となった。
※〔令和6年1月19日、内閣官房内閣人事局の報道資料〕から抜粋
内閣官房ホームページ
◆地方公務員の育児休業取得状況については、次の通りです。
○令和4年度に新たに育児休業を取得した男性職員は、20,057人で、取得率は31.8%と、過去最高。
一般行政部門では、49.9%。
【内訳:都道府県56.2%、政令指定都市65.3%、市区町村44.1%】
○女性職員は47,760人で、取得率100.3%。
○育児休業期間で見ると、男性は2週間以上1ヵ月以下が36.2%と最も多く、次いで1ヵ月超3ヵ月以下が23%と、2番目に多い。
※〔令和4年度地方公共団体等の勤務条件調査結果〕から抜粋
総務省ホームページ
国家公務員の方が、地方公務員よりも男性の育児休業取得率がやや高くなっています。
ただ、いずれの調査においても、男性の育休取得率が過去最高となるなど、男性職員も育児を多く担う割合が着実に増えていることが分かります。
4.復帰してからの公務員の仕事と育児の両立
育児休業から復帰してからの仕事との両立については、どうなのでしょうか?
実際のところ部局によって繁忙の差があったり、仕事によって、繁閑の違いはあるものです。
ただどんなに忙しい部局であっても、必ず仕事の波はありますし、出産できる適齢期は思うよりも短いものですので、ヒマになったら出産…と先延ばししていたら、いざ子どもが欲しいと思っても不妊になって苦労することにもなりかねません。
生まれたら何とかなる!とほとんどの人は、仕事と育児を乗り切っています。
部分休業で仕事を早く上がって保育園に迎えに行くことや、
子どもが熱を出したり病気のときには、看護休暇を使うこともできます。
仕事をしながらの育児というのは、キツい、ツラいという印象を持たれる方も多いかと思います。
さまざまなメディアで、そういうネガティブな情報を目にすると、自分の楽しみを我慢しないとならないのかな?とか、経済的側面や労力的な面で、子どもを持つことに不安な気持ちが大きくなる方もいるかもしれません。
ですが、筆者がフルタイムのワーママ職員として子育てした平成の前半頃は、公務員でも育児休業は1歳の誕生日の前日まで。
つまり、0歳の間のみでした。
もっと上の世代になると、産後休暇(生後8週間、つまり2ヵ月)しかありませんでした。
それに、子どもの母親が育休を取っている間は、父親は取れませんでした。
今は、母親と父親が1人の子どもを育てるために、同時に育休を取れる時代になりました。
制度は、進化しつづけており、子どもを育てやすい環境になってきています。
子どもを生んで育ててみれば、かけがえのない存在を生んで良かったと、心から思えることでしょう。
5.まとめ
公務員として、育児と仕事は両立することができます。
大変な時期があったとしても、ほんの一時期の間です。
家でずっと子どもとだけ相対しているのも、またそれはそれでストレスになるということもよく言われることです。
日中は仕事をして、夕方保育園へ迎えに行って、子どもとの時間を濃密にする、と切り替えをしながら両立していれば、あっという間に子どもは育ってしまいます。
また子育て中は、いろんな人に手助けをしてもらうことが多くなります。
そして、困ったときには手助けをお願いしていいのです。
ただ、感謝の気持ちは絶対に伝えましょう!
子育てで仕事を休んだり、育休で離れている間は、まわりの人たちが仕事をカバーしてくれています。
感謝を伝えるのと伝えないのとでは、職場で円滑に行くかどうかも大きく変わってきます。
カバーしてくれるのを当たり前と思うのではなく、感謝を「ありがとうございます」の言葉にして伝えていくことが、仕事と育児の両立の大切な秘訣です。