特に特別区が地元でない人にとって、特別区の志望動機が思いつかないというのは抱えがちな悩みです。
とはいえ、志望動機は面接で聞かれる代表的な質問でもあるため、しっかりと作り込む必要があります。
本記事では、志望動機の作り方を具体的に解説し、参考になる資料、そしてやりがちな失敗例も紹介します。
これから特別区の志望動機を考える人は参考にしてみてください。
この記事の目次
1.志望動機が聞かれる理由を知ることで「刺さる」志望理由を作ることができる
あなたは「なぜ志望動機を聞かれるのか?」を考えたことがありますが?
志望動機を作る前に、面接官が志望動機から何を知りたいのかという質問の意図を理解することはとても重要です。質問の意図がわからないと、適切な答えを用意することもできないからです。
志望動機が聞かれる理由の1つは、熱意を確認するためです。「他の自治体ではなく、特別区でこれをやりたい」という強い熱意がある人は、主体的に仕事に取り組む姿勢が伺われます。
2つ目は、仕事への理解度を図るためです。民間企業や国家公務員・都庁などの他の公務員との仕事の違いをよく理解していない人は、就職後にイメージとのギャップを感じ、すぐに辞めてしまうのではないかと思われてしまいます。
そして3つ目は、課題解決力を図るためです。就職すると、配属先の仕事で様々な壁に直面します。そのとき、自ら課題を見つけ、課題を解決する力が必要であり、そうしたときの対処法について面接の段階でそれをみているのです。
このような質問の意図をおさえることで、これらに応えるような志望動機を作ることが重要だと言うことがわかります。
2.特別区の志望動機の作り方を手順ごとに解説
ここからは、特別区の志望動機の作り方を解説します。
思い付かない項目はとりあえず飛ばして、できるところから先に作りましょう。何度も繰り返して修正し、内容を充実させていけば問題ありません。
2-1.エピソードを交え「なぜ特別区なのか」を考える
まず、なぜ特別区を選んだのかを考えます。ここで重要なことは、自分のエピソードを交えるということです。
例えば、次のような志望動機を読んでどう思われるでしょうか?
一見良さそうであり、確かに仕事の内容を理解している印象ですが、特別区を選んだ理由が伝わりません。
そこで、独自のエピソードを交えてみましょう。例えば地元の自治体であれば、自身の過去の体験や、現在思うことを志望動機に入れると良いでしょう。
エピソードによって特別区を選んだ理由が明確になり、オリジナリティの高い志望動機になりました。
仮に地元の自治体でなくても、以下のように接点を見つけてエピソードにすることができます。
どうしても接点がみつからなければ、今からでも一度足を運び、街歩きをしてみましょう。実際に区内を歩いて感じたことを、内容に反映させれば、エピソードをつくることはできます。
2-2.仕事内容を把握してやりたい仕事を見つける
特別区に限らず、公務員の仕事の分野は膨大にわたります。普段接する窓口の職員などは、多くの仕事のほんの一部に過ぎません。
志望動機を作るうえでは、特別区の役割をきちんと理解することが大切です。民間企業と違った公益性の高さや、国や都と違った地域密着性など、特別区の仕事の特徴をおさえます。
そうすることで、仕事に対する理解度が示せるだけでなく、なぜ特別区を選んだのかという理由にも説得力が増し、熱意のアピールに繋がります。
そして、やりたい仕事について考えるとき、それが子育て関係なのか、介護関係なのか、文化振興なのか、なんとなくで良いので想像します。
そして、区のホームページを見れば、分野ごとにカテゴリが分かれているので、興味のある分野のページを見てください。
そこで詳しい事業内容や、担当している部署が書いてあるので、やりたい仕事を調べることができます。
もし「どんな仕事がいいのか具体的に思いつかない!」という場合は、役所の「組織図」を見ることをおすすめしています。
組織図とは、下の画像のように部署ごとの仕事内容を一覧で掲載されているもので、今まで知らなかった仕事を知るきっかけにもなります(こちらは豊島区の組織図の一部です。全体はこちらから見ることができます)。
組織図は「〇〇区 組織図」のように検索すると見つけることができます。もしどうしても見つけられない場合は直接区役所に聞いてみてもいいでしょう(採用には関係しないのでご安心を)。
そして、単に「子育て支援や商業振興をやりたい!」ではなく、ホームページや担当部署が取り扱うパンフレットなどを参考にして、「〇〇課の〇〇プロジェクト」のような具体的な事業を挙げることができれば、より熱意が伝わるでしょう。
2-3.区の課題を分析し解決策を提示する
さらに志望動機を充実させるため、区の現状の課題を発見し、解決策を提示しましょう。
実務においては言われたことをこなしているだけではなく、自ら主体的に取り組むことが求められます。そこで、単に「〇〇をやりたい」というばかりでなく、課題への解決策を提示することで主体性をアピールすることが必要です。
では実際にどうやって区の課題を見つければいいのでしょうか?
おすすめは、どの自治体でも策定されている、基本構想や基本計画を参考にすると良いでしょう。その中で重点的に取り上げているものが、その区の課題と言えます。
あとは、後ほど紹介する「特別区職員ハンドブック」も参考になります。
そして、解決策については基本構想等を参考にして良いのですが、自分なりに考えることも大事です。
例えば、他の自治体で行われている政策で解決策になり得るものを調べ、それを提案することも有効でしょう。とはいえ、実現が難しい奇抜なものは避けるようにしましょう。
そして、解決策を提示する際、次のようにさらに説得力を持たせるために自己PRを踏まえるとなお良いです。
このような自身の経験を踏まえると、課題解決の説得力があるうえ、自己PRにもなるのです。
3.参考になる資料の紹介
志望動機を作るときは、インターネット上の公務員試験対策サイトを見たり、予備校の講師に話を聞いたりすると思います。
ここではそれら以外の方法で、参考になるけど受験生があまり利用していないものを紹介します。
3-1.職員採用案内・区民向けホームページ
区の職員採用ページは、「大体どこの区も同じようなことが書いてある」と考え、疎かにする人が多いです。
しかし、注意深く見比べれば、各区が強調したい特色や、現在力を入れている事業などが端的に表れており、志望動機を考えるうえではとても参考になります。
新人職員の合格体験記や、現在就いている職務の内容が紹介されていることも多く、貴重な資料が豊富にあるのです。
以下は北区の採用案内のパンフレットですが、こうした案内も特色を知る手がかりが詰まっています。
「花火大会」「お祭」「公園」など、区民の生活に密着した、街づくり関連の事業に重点を置いていることが想像できます。
また、ホームページ内の区民向けのページを見ることで、街のイベントや、暮らしに関わる事業としてどういうことを区が行っているのかを知ることができます。
このように挙げていくと、各区が公表している情報だけでも、意外と役に立つものが多いと気付くと思います。
なんとなくホームページを見るのではなく、こうしたポイントをチェックすることで、より充実した志望動機を作ることができるのです。
3-2.特別区職員ハンドブック
特別区職員ハンドブックは、23区全体の現況・それぞれの区の概要や特色・現在の課題や推進事業など、700ページ以上に渡ってかなり詳しく書かれています。
職員用に発行されている書籍なので、地方自治や行政手続に関することなど、専門的な内容も含んでいます。
読み込むのは大変かもしれませんが、23区の特徴を比較して検討するには適しているので、余裕があれば購入してみると良いでしょう。
特別区職員ハンドブックは、東京区政会館4階の特別区自治情報・交流センターで直接購入するか、「株式会社ぎょうせい」のオンラインショップでも購入できます。
4.志望動機作成でよくある失敗例・気を付けるべき注意点
最後に受験生が陥りがちな、よくある失敗例について紹介します。
作った志望動機がこれらに当てはまってないかをよく見直して、該当する項目があればブラッシュアップしましょう。
4-1.一般的・抽象的な定型文で終わる
志望する区の特徴や、やりたい仕事について考ても、一般的・抽象的な内容では面接官の印象に残りません。
例えば、区の魅力や政策、事業の内容などを挙げるだけの志望動機です。これは非常にありがちな内容なので気を付けるようにしましょう。
このような一般的・抽象的な内容で終わらないために、2-1で紹介したように志望動機にはあなた自身のエピソードを入れるようにしましょう。
自分の過去の思い出や実体験は、自分だけのものです。エピソードを交えることでオリジナリティのある内容にしてください。
4-2.「安定している」「定時で帰りたい」などの本音を入れる
よく言われることですが、仕事に対する積極的な熱意が感じられないような志望動機は、印象が悪いです。
「安定した職場環境に魅力を感じ…」「定時で帰れるため、仕事と家庭を両立できる点が良く…」などの志望動機からは、仕事に対する熱意が感じられません。
本音として、安定や定時帰りという職場環境に魅力を感じること自体は良いと思います(というか、多くの人がそうでしょう)。
しかし、面接で志望動機が聞かれる理由は、その人の熱意や課題解決力を図るためである、ということを念頭に置かなければなりません。
4-3.嘘や事実でないことを書く
理想的な志望動機を作りたいがあまり、嘘や事実ではない内容を書く人がいます。
有りもしない事実を話すとどこかで矛盾が生じ、不自然な回答になってしまいます。こうなると印象が悪い上、自分に自信がなくなり、面接全体に悪影響が及びます。
面接は受験生と採用側のマッチングの場です。例え嘘の志望動機を評価されても、実際に働き始めると違和感を感じることになります。
理想的な志望動機を作ることは大事ですが、自分が経験した中で考えるように工夫をし(多少膨らませることは構いませんが)、嘘を書くのはやめましょう。
5.まとめ
志望動機を考えることは、単に面接対策になるだけでなく、自分自身がなぜ公務員になりたいのかを改めて考えるよい機会です。
これは、今後公務員として働いていくうえで、とても大事なことです。
志望動機をしっかり考えずに面接に臨む受験生も多くいます。そうすると、本番でうまく受け答えができず、残念な結果に終わってしまうこともあります。
だからこそ、きちんと対策すれば大きく差が付きます。
この記事を参考にし、しっかりと志望動機を考え、面接で高い評価が得られるように頑張ってください。