民間に勤めていてるけれど公務員に転職したいと感じている人は多いようです。
実際、そうした方からの問い合わせも多くいただいています。
そして多くの方が「働きながら公務員試験に合格することができるのか」と心配しています。
働きながらだとどうしても日中は仕事をしているので、時間が限られてしまい勉強時間が十分に確保できない、という悩みがあるでしょう。
逆に働きながらも公務員に合格している人もたくさんいます。
では、その違いは何でしょうか?
一言で「働きながらでも合格できます」などとは言えません。人によって合格のしやすさが違います。
ここでは働きながら公務員を目指す人が勉強を始める前に「そもそも働きながら合格できるの?」と思ったら知っておきたいことについて書いていきますので、参考になれば幸いです。
この記事の目次
1 働きながら公務員試験に合格は不可能ではない!が、条件はある
結論からお伝えすると働きながらでも公務員試験に合格することは可能です。そういった人を何人も見てきました。
ただし、これには重要な条件があります。
それは、「あなたが過去にどれくらい勉強したか」、そして「どの公務員試験を受けるか」に大きく依存するということです。
一つずつ説明していきましょう。
・あなたが過去にどれくらい勉強したかはとても重要
まず、1点目の「過去にどれくらい勉強したか」についてですが、公務員試験の筆記試験は教養科目、専門科目、論文試験が課されるのが一般的ですが、特に教養科目についてはこれまで受験勉強の経験があるかどうかで負担が大きく変わってきます。
ご存知かもしれませんが、教養科目は英語や政治・経済、生物、化学、地理、日本史、世界史など高校時代に学習する科目が出題されます。
また数的処理という計算を要する科目があり、どこを受験するにしても出題数が多く主要科目とされています。これは算数や数学の学習経験によって理解度が大きく異なり苦手としている人がとても多い科目でもあります。
このように、教養科目においては高校時代にどれだけ勉強してきたか、そして受験勉強をどれだけしたかで勉強の負担が大きく変わってくることがわかります。
もし受験勉強をせずに推薦で大学に入ったという人はほぼ一からの勉強になるので苦労するでしょう。
逆に、大学受験でしっかり勉強した人であれば、勉強した科目については少し学び直せば思い出せることも多いので有利であることは間違いありません。
また、専門科目については民法や経済学など大学で学ぶ科目ではありますが、「勉強のやり方」を知っている人は初学であっても専門科目も得点することができます。同じことを学んでもそれをどうすれば知識として吸収できるかの方法を知っているのです。
公務員試験は学歴などは関係ないと言われていますが、過去の勉強が影響するということは知っておくとよいでしょう。
・どこを受験するかもとても重要
そして、2点目の「どの公務員試験を受けるか」についてですが、こちらも合格できるかどうかを判断する上で重要な条件となります。
公務員試験は受験先によって試験科目が異なります。
国家公務員なのか地方公務員なのか。
国家公務員であれば国家一般職なのか国税専門官なのか裁判所事務官なのか。
地方公務員であれば都道府県なのか市町村なのか。
さらに、通常の大卒・高卒試験なのか、社会人採用試験なのか。
教養科目はどの試験でも出題されるので勉強は必須になりますが、専門科目は市町村の試験では出題されないケースが多いです。また、高卒試験や社会人採用試験でもほとんど出題されません。
先にも書きましたが、専門科目は行政系であれば法律や経済など大学で学ぶ科目です。そのため内容は難しく勉強に多くの時間を費やす必要があります。
国家公務員試験や比較的規模の大きい自治体では専門科目を課すところが多いです。
専門科目があるかないかで必要な勉強時間が大きく異なるため、当然専門科目をないところを受験するほうが「筆記試験は」合格しやすくなります。
「筆記試験は」と強調したのは、公務員試験は筆記試験をクリアするだけでは合格とはならないからです。筆記試験を突破したら次に「面接試験」に合格しなければなりません。
専門科目がない自治体は筆記試験が比較的合格しやすく面接は倍率が高い傾向となっているため、筆記試験をパスしたところで安心できません。
つまり、受験先によって「筆記を重視するのか」「面接を重視するのか」が違ってくるのです(今はどこも面接重視なので配点や倍率という視点からこのように表現をしています)。
筆記を重視するところであれば専門科目も勉強しなければならないという認識でいると良いでしょう。
あなたがどっちが得意かによって受験先が変わってくるかと思います。
働きながらだと当然時間が限られるので、場合によっては教養試験のみのところを受験せざるを得ないかもしれません。
働きながら公務員試験に合格できるかどうかを考えるにはこうした背景がある人によって答えが異なるので、単純に「はい」「いいえ」で答えられるものではないということを知っておきましょう。
2 独学か予備校に通うか
公務員試験において面接は重要だとはいえ、筆記試験に合格しなければ面接さえ受けることができないのでまずは筆記試験に合格することを考えましょう。
勉強を始める際に気になることといえば、「独学でやるか予備校に通うか」ということでしょう。
これについても明確にこうすべき!というのはありません。
というのは、先ほどお伝えしたとおり公務員試験は「過去にどれだけ勉強したか」そして「どこを受験するか」で必要な勉強時間が全然違ってくるからです。
さらに、働きながらであれば「どれくらい勉強に時間が割けるか」ということも考慮しなければなりません。
2−1 独学でもいい(かもしれない)人
受験勉強もしっかりしてきたし、教養試験だけの自治体を受験するし、仕事も定時で終わる。そういう人であれば独学で合格できるかもしれません。
逆に、受験勉強はほとんどしてないし、仕事も残業が多い。という方はもしかしたら独学では難しいでしょう。
独学で合格できる人は勉強のやり方を知っているということと、時間をマネジメントできる、という特徴があると思っています。
・勉強のやり方を知っているとは?
試験全般にも言えることですが、公務員試験に合格するためにはテキストなどでインプットをし過去問などでアウトプットをする。この繰り返しです。
しかし、この単純な作業でも過去の勉強経験が影響してくるのです。
過去問一つ解くのでさえ勉強のやり方を知っている人はどうすればより知識として吸収できるかを理解しています。
間違った過去問の解き方をしていてはいつまでたっても問題が解けるようにならないのです!(過去問の解き方は公務員試験合格に必要な過去問の正しい解き方で詳しく説明しています。)
また、時間のマネジメントができるということも非常に重要です。
・時間のマネジメントとはどういうことか?
働きながらであれば勉強をする時間は仕事後か休日に限られるでしょう。
仕事をしていれば家に帰ればゆっくりしたいでしょうし、休みの日くらいダラダラ過ごしたり出かけたりしたいものです。
しかし、公務員試験に合格するためにはそのようなことを言ってる暇はありません。
ただでさえ勉強できる時間が少ないのですから、無理にでも勉強をするための時間を作らなければなりません。
平日であれば仕事後に3〜4時間、休日も7〜8時間、直前期は10時間前後は勉強しないと合格は難しいでしょう。合格した方の体験談を見るとほとんどがそれくらい勉強しているのです。
もちろん予備校に通っていてもこれくらい勉強は必要ですが、独学の場合強制力がないのでついダラけてしまいがちです。
独学で合格する人は勉強時間を確保し自分を律することができるからこそ合格できるといえるでしょう。
2−2 ほとんどの場合予備校に通うほうが無難
ではそれ以外の方(おそらくほとんどの方が該当するかと思いますが)はやはり予備校に行ったほうが良いでしょう。
それは先ほどお伝えしたように予備校に通うことで強制力が生まれるからです。
予備校は合格に必要なプログラムが組まれており、あらかじめ決められたスケジュールがあるんでそれに従っていけば自然に合格することができます。
仕事で遅くなるという人でも最近はWeb授業もあるので、家やカフェなどで講義を見ることができます。
もちろん予備校に通えば合格できるほど甘い試験ではありません。
結局は本人がやる気次第であり、予備校はそれを補助するためにある、という認識でいると良いでしょう。
独学か予備校か迷っている人は公務員試験に独学で合格できる?メリット・デメリット徹底解説で詳しく書いてますので参考にしてください。
3 スキマ時間を大いに活用しよう!
働きながら勉強する場合、ネックとなるのが十分な勉強時間を取れないということでしょう。
そこで重要となるのがこの「スキマ時間」の活用です。
そんなことは知っている!と社会人の方であれば思われるかもしれませんが、知っているだけで意外と活用できていない人も多いです。
電車の中を見渡すとスマホでネットやゲームをしている人がとても多いことに気づくかと思います。ちょっとだけ、と思っていても気がついたらずっと触っていたという人も多いでしょう(私もそうですが)。
しかし、通勤中の電車で毎日30分勉強するだけで往復で1時間、1週間で5時間もの勉強ができます。
1ヶ月で20時間、半年で120時間、1年ともなれば240時間勉強できます。机に向かってする勉強以外にこれだけ勉強できるのです。
しかも電車内は集中力が増すため暗記にはとても向いており、この時間を生かさない手はないでしょう。
他にも昼休みや入浴中、次の予定までの空き時間など探せばいくらでもスキマ時間は存在します。こうしたちょっとした時間を積み重ねていくことでバカにできない時間を捻出できるということを意識しましょう。
なお、時々「仕事を辞めて試験勉強に専念すべきか?」というご質問をいただくことがありますが、「どうしても公務員になりたいけれど、どうしても時間を捻出できない」という人は専念しても良いかもしれません。
そこまでの熱意があるのであれば目標のために勉強に専念するのは問題ないでしょう。実際に仕事を辞めて勉強に専念している人も多くいます。
しかし、その間の収入がなくなることや失敗した時の再就職の難しさなどを考慮して慎重に決めてください。
公務員試験は司法試験や公認会計士のように超難関試験ではありません。本当にそこまでしなければ勉強できないか、辞める前によく考えることをおすすめします。
4 まとめ
働きながらの合格するには本人の学力と受験先、モチベーション、そして確保できる勉強時間をトータルで考えることが重要です。
今の自分に足りない部分はどれか、それを補うにはどうすればいいのかを考えましょう。
働きながら合格している人の情報を本やネットで見るかもしれませんが、それは「その人だから」合格できたということに他なりません。
人によって状況が異なるので他人が合格できてあなたが合格できるという保証は一切ないということは理解しておきましょう。
そして働きながらの勉強は本当に大変です。本気で公務員になる覚悟がないと挫折する可能性が高いので目指すのであれば試験日まで必死に頑張るしかありません!
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