マクロ経済学、難しく感じる3つの理由と対策方法! | ASK公務員 - 個別指導/論文・面接カード添削の公務員試験対策塾

マクロ経済学、難しく感じる3つの理由と対策方法!

  • 2024年7月23日
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

この記事を書いた人

アバター

宮園 啓介
大学卒業後から、大手資格予備校、高校、大学において公務員試験対策に携わり、今まで多くの国家公務員、地方公務員合格者を輩出。自身の公務員試験合格経験に慢心せず、刻々と変化する試験傾向の分析を丁寧に行い、「出そうなところを確実に仕留める」指導をモットーとする。

【主な指導科目】
教養試験;数的処理・文章理解・人文科学・社会科学
専門試験;経済学(ミクロ、マクロ、財政学など) 、行政系(政治学・行政学・社会学)
人物試験;面接・小論文

1.はじめに

ミクロ経済学とマクロ経済学とどちらが得意ですかと聞くと、経済学を習い始めた方の多くが「マクロ経済学です」と答えます。しかし、学習が進むと「ミクロ経済学」になる方が多いです。

つまり、マクロ経済学は「とっつきやすい」ものの、得点化する際には、とっつきにくかったミクロ経済学の方が楽という現象が起こるわけです。

なぜでしょうか。本記事では、その要因を3つ挙げます。併せて対策方法も伝授します。これにより、マクロ経済学のつまずきを回避し、スムーズな受験対策になればと思います。

なお、経済学自体の学習方法などは以下の記事で挙げています。

苦手な人必見!公務員試験の経済学を得点するための勉強法

 

2.マクロ経済学を難しく感じる3つの理由

(1)扱う文字が多い

ミクロ経済学は、消費者理論において2財(X、Y財と置かれることが一般的)とそれがもたらす効用(U)が、生産者理論においても2財(資本量(K)、労働量(L))とそれがもたらす生産量(x)など、扱う文字が一度に2~3個で済む分野がほとんどです。

これに対し、マクロ経済学は、例えば、財市場の話で登場する式として、
Y(生産量)=C(消費)+I(投資)+G(政府支出)+X(輸出)‐M(輸入)があり、ここまでで文字が6個並びます。

実は、ここにあるCについては、
C=c(Y-T)+A等の形で、c、T、Aという3つの文字が追加されます。
Iについても、I=B-brで、B、b、rがでてきます。
MもM=m(YーT)+Moですから、mとMoの2つが追加されます。

ここまでで全部で14文字あります。

マクロ経済学では、一国全体の市場を、財市場・貨幣市場・労働市場と分けますので、さらに扱う文字が増えていきます。絶望的な煽りをしますが、時間軸による区分もいれるともっとですね。

そうすると、文字という抽象的な扱い方に対して理数系を苦手とする受験生はアレルギー反応を起こしてしまい、文字が何を指しているかを覚えきれなくて理数系の方も苦戦するという状態が生じます。

(2)話の前提、結論が「変わる」

マクロ経済学では、学習している途中に、「話が変わった」という印象を受けると思います。これには、2つの理由があります。

第1は、扱うモデルが変わるからです。例えば、利子率が一定の世界観と、利子率が変化する世界観では、「話が変わってくる」わけです。

また、時間軸の変化もあります。短期と長期では違うということですね。

第2は、ミクロ経済学と違い、マクロ経済学は、ケインズ派と(新)古典派など学派対立の論点が扱われます。そのせいで、「ケインズ派はAのように考えますが、(新)古典派ではBのように考えます」という話がかなりでてきます。

これは、(新)古典派だけでなく、マネタリストや合理的期待形成学派なども登場しますので2つの学派だけというわけにはいきません。

第1・2から導かれることは、マクロ経済学においては、どういう経済モデルの前提に立っているのかを学派にも留意しながら把握した上で、結論を理解する必要があります。この点が、学習者を苦しめます。

(3)文章題が厄介

文系者などは経済学において計算することが、まぁ、数的を含め、そもそも計算自体が億劫という人も多いようです。その場合、文章題が出たらラッキーです。

実際、ミクロ経済学では、パレート最適や市場の失敗などでよく出る文章題は、点取り問題だとよく言われます。

しかし、マクロ経済学においては、(2)で挙げたように、前提とするモデルや時間軸、学派を踏まえなければならないので、検討する箇所が多くなり、文章題も長文になりやすく苦戦しやすい傾向があります。

特に、IS-LM分析やマンデル=フレミングモデルなどのところは、いっそのこと計算処理方法を覚えれば処理できるのに、文章題でよく分からなくなったと話す受験生によく出会います。これも、マクロ経済学を難しい科目にさせる要因です。

3.難しく感じないための方策

それでは、どうしたらこの難しさを感じなくなるのでしょうか。(2)モデルと学派→(1)→(3)の順に解説しましょう。なお、独学を想定しています。

まず、(2)については、各モデルを以下に示しておきます。概ね、公務員試験の対策本は大抵、

①財市場→②貨幣市場→IS‐LM分析→③労働市場→AD‐AS分析→④IAD‐IAS分析→⑤経済成長論→⑥国際マクロ経済学

に進むので、それに併せてモデルを示しておきます。

①財市場→短期、物価・利子率一定、ケインズ派の学習、断りなければ閉鎖経済
②貨幣市場→短期、利子率変動、物価一定、ケインズ派と(新古典派)の2つ、①同様、原則閉鎖経済
※IS-LM分析は財市場と貨幣市場の同時分析なので、貨幣市場のところのモデルと同じ
※なお、⑥の国際マクロは、②の状態を開放経済にして分析を行います。

③労働市場→中期(あるいは長期)、物価・利子率共に変動、ケインズ派と(新)古典派の2つあり、閉鎖経済(※AD-AS分析は2市場同時分析なので、労働市場のところのモデルと同じ。なお、労働市場における生産量の増減は、労働力のみに依存)

④IAD‐IAS分析→中期(あるいは長期)、物価が持続的に変動、利子率も変動、ケインズ派と、(新)古典派の系譜をひくマネタリスト、合理的期待形成学派などが登場、閉鎖経済

⑤経済成長論→長期(あるいは超長期)、ハロッド=ドーマー型(ケインズ派)は物価・利子率一定、ソロー=スワンモデル(新古典派)は物価・利子率変動、閉鎖経済

このモデルを意識しながら、該当のテキスト箇所を読み進めていきましょう。話の混乱が多少和らぐことでしょう。

次に、(1)の文字の多さです。こちらは、ひとまず覚えなくても大丈夫という気持ちを持ちましょう。なぜなら、問題文に文字の定義があるからです。その上で、学習する際は、使っている文字に集中しましょう。このとき、特段にテキストでの断りがなければ、その文字以外は変化しないとおさえましょう。

例えば、投資の話のときは、投資以外は数字が変化しないのだと理解するわけです。こうして、考えなくてはいけない文字だけに集中するクセをつけると、そんなに扱う文字は多くありません。

また、その文字が分数の場合、分母にあるのか、分子にあるのかを意識することも大事です。これは、ある分数の数において、その分母だけが大きくなれば当然その数は小さくなりますし、分子だけが大きくなればその数は大きくなると導ける意味で大切ということです。ここが理解できていると、色々な曲線のシフトなどを説明でき便利です。

最後に、(3)の文章題です。これは、最初に取り組むうちは図に書いたり、式で例を自分で作りながら丁寧に解くことを薦めます。大事なのは、なんとなく解くのではなく、しっかり根拠を持って選択肢の正誤判断をして欲しいということです。

これを繰り返していけば、必ずやがてはスムーズに解くことができます(恐らく、脳内に、文章のいっているものの映像が浮かぶはずです)。

4.おわりに

本記事では、ミクロ経済学よりもマクロ経済学を苦手とする人が多くなってしまう原因として、(1)文字の多さ、(2)モデル・学派への配慮、(3)文章題の難解さがある点を紹介しました。また、これに対し、モデル・学派一覧を紹介し、(1)(3)では文字や文章題への向き合い方を紹介しました。

是非とも、これを参考に、学習にトライしてみてください。それでも、苦しい場合、究進塾では経済学の個別指導をしています。受講相談や体験授業から開始できますので、勉強方法の一つとしてご検討いただければと存じます。

【公務員試験対策】個別指導講座のご案内

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • Pocket

おすすめの記事

 
電話お問い合わせ