市役所で働きたいなら知っておきたい公務員試験や仕事のことについて | ASK公務員 - 個別指導/論文・面接カード添削の公務員試験対策塾

市役所で働きたいなら知っておきたい公務員試験や仕事のことについて

  • 2021年3月25日
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ASK公務員 編集部
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市役所で働きたい!けれどどうすれば市役所の職員になれるのだろう?

多くの人は市役所で働くために公務員試験に合格しなければいけないということを知りません。


市役所って窓口のイメージだけど実際どういう仕事をしてるの?どうせ9時5時の楽勝な仕事でしょう?

市役所というと窓口で住民票などを発行する人たちというイメージがあるかもしれません。そして決まって9時5時の楽勝な仕事だと思われがちです。

このように、市役所とは身近な施設ではあるものの、その実態は良く知られていません。
今回は市役所で働きたいのであれば最低限知っておくべきことを紹介していきますので、ぜひ一読していただき市役所で働くことのイメージを現実的なものにしてください。

1 市役所に勤めるには公務員試験を突破しなければならない

市役所の職員は地方公務員です。そのため、市役所で働くには地方公務員試験を受け、合格しなければなりません。

市役所の場合、各自治体で採用試験が行われるため、志望する自治体の採用ページから申し込みを行い受験の手続きをしましょう。

市役所試験のレベルについては、大卒程度の「上級試験」、短大卒程度の「中級試験」そして高卒程度の「初級試験」に分類されています。

「程度」となっているのは、必ずしも大学や短大を卒業していなければならないわけではなく、大学卒業程度レベルの問題が出題されるということです。そのため、年齢制限などの受験資格を満たしていれば高卒の方でも大卒程度の上級試験を受験することができるのです。

試験内容は市役所試験では「教養試験」「論文試験」「人物試験」が課されます。上級試験ではこれらに加え、「専門試験」が課される自治体もありますので、必ず志望する自治体のHPで試験内容を確認するようにしましょう。

教養試験および専門試験は以下のような科目が出題される五肢択一式の試験です。自治体によって出題科目や出題数が異なるため、志望する自治体の受験案内を必ず確認してください。

教養試験
・数的処理(数的推理、判断推理、資料解釈)
・文章理解(現代文、英文、古文)
・人文科学(日本史、世界史、地理、思想、文芸)
・社会科学(政治、経済、社会)
・自然科学(数学、物理、化学、生物、地学)

専門試験
・法律系(憲法、行政法、民法、労働法、刑法など)
・経済系(経済原論、財政学、経営学、経済事情など)
・行政系(政治学、行政学、社会学など)

人物試験は、通常の個別面接のほか、集団面接や集団討論、自己PR面接やプレゼンテーションを行う市もあります。
他には漢字や時事などの教養記述や適性試験、適性検査、体力試験を課す市もあり、実に様々な形で試験が行われているといえます。

それぞれの試験の具体的な内容については、公務員試験に出題される科目まとめ(行政・事務系)を参考にしてください。

市役所試験の特徴として、国家公務員試験や都道府県に比べ教養試験のレベルは比較的易しめで、配点もそれほど高くないということです。

教養試験が易しいというのは一見合格しやすいように思えるかもしれませんが、その代わりに面接や論文試験の配点を高くしているということです。中には教養試験が足切りにしか使用せず二次試験に加点しない自治体もあります。

つまり、市役所試験は人物重視の傾向が顕著で、勉強はできるけれどコミュニケーション力が低い人は面接や論文で足切りを受けてしまい不合格となってしまう可能性が高いということです。

なお、ここでいう「コミュニケーション力」とは、雑談やおしゃべりのことではなく、面接官からの質問に対して的確な回答をできる能力のことをいい、訓練次第でいくらでも向上させることができるので、市役所受験者は特に重点的に対策が必要です。

このように、市役所で働くためには様々な試験を突破しなければなりません。
「なんとなく市役所にでも…」という気持ちで合格するのは難しい試験となっています。これから市役所を目指す方は、どの自治体を受験し、どのように学習を進めていくかをまずは考えるようにしましょう。




2 市役所試験の日程について

市役所試験は試験の日程さえ被らなければいくらでも併願することができます。
実施される日程については自治体によって異なりますが、大卒程度の試験の場合主に以下の4パターンに分類されます。

①地方上級試験日(6月実施)
②A日程(①と同日)
③B日程(7月実施)
④C日程(9月実施)
※これらは例年の傾向であり、2020年はコロナの影響で大きな変更が出ています

各日程において試験が実施される自治体の一例を挙げます(A日程〜C日程は関東のみ列挙)。

地方上級試験 都道府県、大阪市を除く政令指定都市
A日程  市川市、船橋市、柏市、厚木市、大和市、春日部市、太田市、横須賀市、茅ヶ崎市、逗子市など
B日程  立川市、昭島市、小金井市、清瀬市、多摩市、稲城市、西東京市、成田市、佐倉市、鎌ケ谷市、印西市、秦野市、海老名市、つくば市、日立市、つくばみらい市、館林市、伊勢崎市など
C日程  八王子市、府中市、調布市、小平市、国分寺市、日野市、八潮市、和光市、入間市、越谷市、川口市、川越市、蕨市、草加市、銚子市、木更津市、我孫子市、君津市、水戸市、土浦市、日光市、小山市、那須高原市など

※政令指定都市とは人口50万人以上の都市のことで、大阪市、名古屋市、京都市、横浜市、神戸市、北九州市、札幌市、川崎市、福岡市、広島市、仙台市、千葉市、さいたま市、静岡市、堺市、新潟市、浜松市、岡山市、相模原市、熊本市が該当します

上記で挙げた市はほんの一例に過ぎません。特にC日程が最も試験を実施している自治体が多いため、あなたが住んでいる地域の周辺で採用試験がないかをHPで確認してみましょう。

また、小さい自治体の場合、例年職員を採用していたけれど今年は採用しないといったところもあります。これは、小さな自治体であればそもそも職員数が少なく、採用数もそれに応じて少なくなるためその年だけ新しい職員は必要でななくなったので採用を行わないということです。

例年採用していたから今年も大丈夫だろう、と考えずに必ずHPで採用があるかどうかを確認するようにしましょう。




3 市役所の試験は面接がとても重要

市役所の試験は倍率が高くなる傾向があるということも注意しておきましょう。特に規模の小さい自治体ほど要注意です。

例えば、都道府県や政令指定都市のような大きな自治体であれば職員の数が多いため、その分採用数も多くなります。そうすれば倍率も低くなるということは分かるかと思います。

逆に規模の小さい場合は採用数が少ないのでそれだけ倍率が高くなり、合格が難しくなります。当たり前のことを言ってますが意外とこのことを知らない方が多いので市役所ぐらい余裕でしょと思っている方は要注意です。

実際に東京都のⅠ類B(行政)と東京都調布市(上級・事務)を比較したのが以下の表です(いずれも平成27年度試験)。

東京都

採用予定者数 申込者数 受験者数 1次合格者数 最終合格者数 倍率
484 5383 3465 1249 640 5.4

調布市

申込者数  受験者数 1次合格者数 2次合格者数 3次合格者数 4次合格者数 倍率
 344 260  129  42  20  12  21.7

最終的な合格の倍率が東京都は5.4倍に比べ調布市は21.7倍と相当高くなっています。やはり最終合格者数、つまり採用者数の違いが倍率に影響していることがわかります。

ちなみに調布市は人口約22万人を有する市であり決してそれほど小さな市ではありません。

注目すべきは4次試験まで行っていることでしょう。

市役所の場合、筆記試験には比較的合格しやすいけれども2次試験以降の突破が非常に難しいという傾向にあります。
実際に東京都と調布市を比べると、筆記試験(1次試験)の合格者は東京都は約3人に1人に対し府中市は半分くらいが合格しています。
しかし最終的にはそこから10分の1まで絞り込まれているため2次試験以降がいかに厳しいかが分かるかと思います。

特に地元でない方の場合、なぜその自治体を受験するのかを厳しく問われるため、面接対策は非常に重要となります。

特に筆記試験がパスしやすい分、民間企業の経験者や勉強が苦手でもコミュニケーション能力が高い方の受験が多くなるため、競争相手は厳しくなる傾向にあります。

もちろん、コミュニケーションが苦手であっても合格することはできますが、倍率やライバルとなる受験生のことを考えると、地方上級試験や国家公務員試験に比べて難易度は上がると言わざるを得ないしょう。

これを読んで不安になってしまった方もいるかもしれませんね。
そのような方は少しでも規模の大きな自治体を受験できないか検討してみましょう。繰り返しになりますが、規模の大きな自治体ほど採用数が多くなる傾向にあるので合格の確率が高くなります。

例えば、調布市の隣にある府中市(人口26万人)では、平成27年度上級事務の最終的な倍率は7.8倍とそこまで高くありません。府中市も4次試験までありますが、各試験の合格者数は比較的多くなっています。(参考:府中市職員採用試験の実施状況

市役所を目指す方はこうしたことも踏まえ、どうしても地元じゃないと!という方以外は合格しやすい自治体を狙うという手も考えてみると良いでしょう。もちろん、合格しやすいといえどもそれなりの倍率があるので対策は欠かさないようにしましょう。

面接試験対策については以下の記事で詳しく紹介しているので、自信がない方はぜひチェックしてみましょう。

必ず抑えておくべき公務員試験の面接対策の「超」基本【解説写真付】
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4 市役所の仕事は窓口だけではない

ここまでで市役所の試験についてある程度理解できたかと思います。
公務員を目指しているとついつい試験に合格することばかりに目がいきがちですが、合格してからがスタートなので仕事についてもある程度の理解は必要です。

まず、市役所含め公務員として働く上で以下のイメージは捨ててください。

・窓口業務がメインである
・定時退社できるのでワークライフバランスが取れる
・毎日ルーティンの仕事をこなしていればいい

これらは全てイメージで語られたものであり、現実はそれほど甘いものではありません。このようなことを言ってる公務員の人はいないでしょう。

まして最近は財政難の自治体が多く人件費を抑えようとしているため昔言われていた9時5時で楽勝な仕事をして帰れるという時代ではなくなっています。

実際これを読んでいるあなたも役所に行って住民票の発行などをしたことがありますが、対応している人は職員ではなく派遣の方のケースが多くなっています。最近対応がいいな、と思ったその人は実は役所の職員ではない可能性があるのです。

このように簡単な仕事はそのように派遣の人に任せて、職員は中で別の仕事をしているという場合が多くなっています

それは人件費の削減だけでなく、職員の業務量が増えているという背景もあります。

IT化が進み業務の効率化が進んでいる一方で、住民の目が厳しくなっていることから自治体としてはより住民が満足するための施策を考えていかなければなりません。
このような企画や政策を立案する部署は花形だと思われがちですが、業務量は膨大です。

一つの施策を作るために上司の納得する資料を作り、会議を何度も行い指摘された部分は都度修正し、議会にかけて認められればようやく決定となります。そのために作成する資料はなぜか全て紙ベースで打ち出すという非効率な方法が取られている場合が多いため、その労力は相当なものです(印刷のため遅くまで残業はザラです)。

逆に楽な部署も当然あります。毎日ルーティン業務でほぼ定時で帰れる部署も存在するのは事実ですが、数年ごとに異動になるため、異動先が激務だということもありえます。

でも、これは民間企業でも同様ではないでしょうか。

民間=キツイ、というイメージが特に公務員受験生にはありますが、会社によって、そして部署によっても全く異なるためひとくくりにすることはできません。下手すれば公務員でも民間よりもきつい部署もあるでしょう。

人によってはずっと楽な部署をぐるぐると回る場合もあります。それは「仕事ができない人」の場合が多く、その人ができなくても他の人がサポートすれば問題なく仕事が回る部署なので比較的楽なのです。

しかし、せっかく頑張って入庁した市役所でそんな扱いされたいですか?

入ったからにはバリバリと頑張って、周りに期待されながらきつい仕事も取り組んでいくと良い経験になるかと私は思っています。

5 まとめ

市役所で働くためにはそれなりに難しい公務員試験に突破しなければならないことはご理解いただけたかと思います。「たかが市役所」と思っていると合格が難しい試験ですので市役所で働きたいと思っている人は特に面接対策はしっかりと対策しましょう。

そして、仕事についても世間のイメージはあまり信じないようにし、楽な部署ならラッキーぐらいに考えておくといいかもしれません。できれば入庁してから腐らないように活躍していただくことが組織にとっても、そして住民にとっても理想であるはずです。

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