裁判所事務官(一般職)のボーダーの点数は?元講師が解説します | ASK公務員 - 個別指導/論文・面接カード添削の公務員試験対策塾

裁判所事務官(一般職)のボーダーの点数は?元講師が解説します

  • 2021年3月25日
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高橋 郁恵
慶応義塾大学法学部法律学科卒業後、裁判所職員として東京地裁に勤務。その後、大手資格予備校講師に転職し、法律科目(収録講師担当)・教養論文・面接の指導にあたりながら模試制作にも携わる。
面接指導は1000人を超え、特に元公務員の視点からの面接指導は多くの受験生から支持され、女子受験生からも多く相談を受けアドバイスを行う。論文添削面接カード添削を担当。

裁判所事務官を受験するにあたり、ボーダーって何点ぐらいなのか気になる人も多いかと思います。
択一で何点とれれば1次通過するのか、また、筆記試験で失敗しても面接で逆転ができるのかなど不安が常につきまとうと思います。

そこで今回は、裁判所事務官(一般職)のボーダーについて分析していき、どれくらい得点できれば安心なのかについて解説していきたいと思いますので参考にしてみてください。

1 各科目の配点比率について

裁判所事務官(一般職)の配点比率は、各年度の「裁判所職員採用試験受験案内」に公表されています。最近、面接の比率が変更になったように(比率が下がりました)、突然変更されることがありますので、受験を申し込む際には必ず確認しましょう。

平成27年度受験については次のとおりでした。

第1次試験

基礎能力試験(多肢選択式=択一) 40題 配点比率 2/10
専門試験(多肢選択式=択一) 30題 配点比率 2/10

第2次試験

論文試験(小論文) 1題 配点比率 1/10
専門試験(記述式) 1題 配点比率 1/10
人物試験(個別面接) 配点比率 4/10

まず、1つ目の注意点は、論文試験(小論文)と専門試験(記述式)は、第1次試験日に実施されますが、評価自体は第2次試験にされるということです。

つまり、1次合格発表(例年6月中旬)は、択一試験(基礎能力+専門)のみで判断されることになります。

 

2つ目の注意点は、裁判所事務官の場合は、筆記試験と面接の「総合評価」となる点です(これは国家公務員試験全般に共通しています)。

近年の地方自治体の試験では、面接はリセット方式、つまり最終面接では、1次試験の筆記試験を考慮せず(リセットして)面接の点数のみで判断するということが多くなっていますが、そうではなく、裁判所事務官の場合は総合点で最終順位がつくということになります。

 

したがって、以下の2つの合格必須ポイントを意識して受験勉強をすすめていくことが重要となります。

①1次試験(択一試験)をボーダーギリギリでもよいのでまず突破すること。

②面接だけではなく、筆記試験全体についてもできるだけ高得点を取得すること。

2 択一試験(1次試験)ボーダーは36点〜42点(非公表)

裁判所事務官に合格するためには、まず1次試験に合格する必要があります。1次試験は、択一(教養+専門)の結果のみで判断されますので、何点とれば合格するか受験生の1番気になるところになりますが、例年36点〜42点あたりで推移しているようです。ちなみに、受験申込時の管内ごとにボーダーが異なります。

なぜこれだけ幅があるのかと疑問に思うかもしれませんが、あくまで相対評価であるという点がポイントの1つだと考えられます。つまり、易しい問題が多かった年度は、高得点を取得する受験生が続出するため、ボーダーが高くなると考えられます。

 

また、裁判所は1次合格者の人数を毎年変えています(おそらく前年度の辞退者数等を考慮しているかと思います)。したがって、1次合格者数を多く設定した年度はボーダーが下がりますし、劇的に合格者数を減らす年度があり、そのときにはボーダーが上がるわけです。

なお、裁判所は択一試験ボーダーを公表していません。ボーダー予想はあくまで予想であって不確実なものであるということに注意してほしいと思います。

受験生がいうボーダーというのは、予備校や2ちゃんねるなどのネットによる予想、受験者の口コミのことであり、もちろんこれは正式なものではありません。

たとえば、同じ管内受験生で35点で不合格した人と36点で合格した人がいれば、ボーダーは36点と確定できるわけですが、必ずしもその情報を予備校やインターネット上のサイトで把握しているわけではないことを注意していただきたいと思います(予備校の場合は把握できる場合がありますが不確実です)。

なお、平成27年については前年度に比べ1次合格者を多めに出しているのでボーダーが全体的に下がったと考えられます。

したがって、例年はのボーダーは40点前後と考えておけばよいでしょう。

3 東京のボーダーは低く、近畿・九州はボーダーが高いという噂について

2ちゃんねる等では、東京高裁管内はボーダーが低く狙い目で、大阪高裁や福岡高裁管内のボーダーが高い、という情報があがっています。

東京のボーダーはやや低いと考えられますが、しかし、これも不確かな情報なので惑わされないようにしていただきたいと思います。

 

もっとも、東京高裁管内の場合は、たとえば平成27年には1次合格者を1202人も出していますので、ボーダーは他の管内よりも低い可能性は十分にあります。

しかし、東京管内の場合は、首都圏に難関大学や実績の高いロースクールが多く存在し、その出身者たちも総合職だけでなく一般職でも受験してきます。したがって、裁判所事務官の筆記試験の上位層の人数(割合でなく実際の数)は、他の管内より多いと推測できます。

大阪管内も同様のことがいえますが、数では東京の方が多いと考えられます。実際に、司法試験の滑り止めで受験し、司法試験も裁判所事務官も両方合格したという人は毎年相当数います。

したがって、東京管内はボーダーが低いと考えられる分、狙い目ではありますが、上位合格するにはそれなりの高得点をとることが必要ということを意識しておきましょう。

 

また、そもそも受験生が参考にする予備校のボーダー予想は、予備校に択一試験の情報を提供した受験生を対象として予想を出します。

東京管内は実際の受験者の母数が4000人を超えており、しかも予備校の校舎も大学の通学路線に乱立していますので、多くの受験者が情報提供をしてくれ、それに基づいて予想することができます。

 

一方、たとえば福岡管内の場合、受験者の母数は1300人程度。そこから予備校に情報を提供してくれる人がどれだけいるかというと、予備校の校舎の数や九州全域ということも考えると、東京に比べ情報提供の数・割合は減ると思います。

このようなデータ集積の段階での違いが、ボーダーの点数に現れる要因とも考えられるでしょう。つまり,情報提供が少ない場合、ボーダーがややあがる傾向があるということになりますので、一概に地域によってボーダーが高いから難しいという判断は危険でしょう。

4 筆記試験、面接試験どちらも足切りがある

筆記試験にも面接試験にも足切りがあります。

①裁判所は、択一試験について、「基準点」=最低限必要な素点、とし公表しています。

そして、基準点に達しない試験種目が1つでも存在する者については、他の試験科目の成績にかかわらず不合格となります。

平成27年

基礎能力試験 満点40 基準点15 平均点20.08
専門試験 満点30 基準点12 平均点16.04

平成26年

基礎能力試験 満点40 基準点15 平均点19.45
専門試験 満点30 基準点12 平均点15.38

平成25年

基礎能力試験 満点40 基準点15 平均点19.95
専門試験 満点30 基準点14 平均点14.29

 

上記のように、基準点は年度によって若干変更がありますので気をつけて下さい。

なお、2次試験の各科目についても基準点を設定しているようですが、その点数は、公表はされていません。裁判所が公表しているのは、「採点者による評点を基礎とし、科目ごとに満点20%から50%を基本に個別に定めます。」と、いうことです。

何点とはいえませんが、小論文及び専門記述についても足切りがあることを知っておきましょう。

 

②面接については、判定の高い順にA、B、C、及びDの4段階で判定し、AからCの者について第2次試験の合格者を決定します。すなわち、D=不合格となります。いくら、筆記試験で高得点を取得してもDをとると不合格ですので、注意する必要があります。

なお、足切りについては素点を基準に考えますが、総合得点は、各試験科目の素点をそのまま用いるのではなく、配点比率や平均点を考慮した「標準点」というものを使用します(詳細は平成27年度裁判所職員採用一般職試験の合格者決定方法を参考にしてください)

つまり相対評価になりますので、他の受験生よりも1点でも高く点数をとることを意識する必要があります。

5 筆記試験が微妙でも面接で挽回できることもある

裁判所事務官(一般職)では、面接の配点比率が4/10とかなり高くなっています。しかも、D=不合格ということで、裁判所事務官は面接が1番大事といわれることもあります。

実際に、択一試験でギリギリ合格した受験生(36点や37点)が、第2次試験で挽回して、最終合格を果たすこともよくあります。したがって、是非、面接対策には力をいれてください。

 

しかし、面接では思っているほどは差がつかないのが現実です。

というのも、前述のとおり面接の評価はA、B、C、及びDの4段階での評価となり、筆記試験のように細かい点数で分類されるわけではありません。1次合格者が4つの枠に分類されるだけになりますので、差がつきにくくなります。

 

まず、D=不合格となる人は、裁判所事務官用の面接対策を全くしていないか、もしくは面接を甘く考えているか、本番で緊張して何も言えなかったか(結構存在します)、そもそもコミュニケーションの能力が低い(この場合、他の試験でもかなり苦戦すると考えられます)という点が考えられます。

大学や予備校等で裁判所事務官用の面接対策をしっかりとしていれば、ほとんどの場合はDを免れることができるはずです。

 

一方、面接でAをとることはかなり難しいと考えて下さい。面接では大学時代だけでなく高校時代のがんばったことも聞かれます。スポーツや文化系で全国大会レベルの賞をとるような人もいて、その点で話が盛り上がり感触が良かったという合格者もいます。

また、その人のもともとの性格や雰囲気も評価の対象となってきますし、評価の甘い面接官と厳しい面接官がいます(面接官は固定されていないので、どの面接官にあたるかも運次第です)。

したがって、面接対策だけでは補えない分も出てくるのでAをとることは難しく、多くの受験生はC、Bで最終合格をしていると考えて下さい。

実際に、択一試験の合格最低点で面接Bをとった受験生が順位をぐんとあげて最終合格することもありますので、面接はAでなくても逆転が可能であること、小論文や記述試験で高得点をめざすことを特に意識していただきたいと思います。

6 まとめ

裁判所事務官(一般職)には、①各科目に足切りがあること、②択一試験はボーダーが40点前後ということ、③面接で逆転することも可能だけど、結局は総合評価なので、筆記試験でもしっかりと点数をとっていくこと、が大事になります。

面接重視ではありますが、まずはしっかりと筆記試験で得点できるようにがんばってください。

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