1.はじめに
数的処理は公務員試験の中核科目です。そのため、いろいろな対策本が出ています。
独学をする際に、どの対策本でどのような学習をしていくと効果的なのかはとても大切です。
今回は、表題にある『2025年度版 公務員試験 すばやく解ける 数的推理・判断推理・資料解釈』について、使用してみた感想などを予備校などで数的処理も指導してきた著者がお伝えしていきます。
皆さんの参考書選びの参考になれば幸いです。
2.本の概要並びに特徴
(1)本の概要
『2025年度版 公務員試験 すばやく解ける 数的推理・判断推理・資料解釈』は、2001年版から著者を変えながら四半世紀、新星出版社から発売されている本です。版を重ねて発売している安心感がある本ですね。
現在の著者は、「平成の資格王」と呼ばれる中村一樹氏と、公務員試験の自然科学の著作もある河野裕之氏です。
中村氏も、自身で公務員試験予備校を経営していたり、他の公務員試験の著書を書いていたりします。したがって、本書は、2人の公務員試験専門家が力を合わせて数的処理に関する対策本を書いた本と言えるでしょう。
なお、本書の対策対象公務員試験は、国家一般職初級、地方初級などいわゆる高校卒業程度の公務員試験です。
(2)本の特徴
本書は、数的処理の出題を30パターンに分類し、そのパターン毎にある解法を丁寧に解説してくれます。
その後、やさしいレベルの例題があり、続いて、その解説を通じて基本的な知識の解説をさらに行います。最後は、過去問による腕試しを通じた解法のチェックとなります。
こうして、ていねいに30パターンの実力を養っていきます。
なお、本書全体は180ページ程度の薄型で、A5判より小さい四六判くらいですので、持ち運びや隙間時間に開いて読むことが容易です。
3.本書が向く人、向かない人
(1)本書が向く人
試験まで時間がなく、スピーディーに頻出箇所を勉強をしたい人で、あまり数学が得意ではない人におススメです。
本書は、数的推理、判断推理・資料解釈という数的処理3科目に関して、30パターンの解法を紹介しています。1科目30パターンではないわけですので、どれも頻出単元のみを扱っていると言えます。また、1パターンにつき10ページもありません(全体ページ数が180ページ程度だからです)。
以上から分かるように、ここで扱われている内容はかなり最小限です。したがって、この位はおさえないと、試験当日までの準備として不安が残ります。
急に公務員試験を受けようと思ったけれど、時間がない人には、最低限の準備の到達点として本書が一つの目安になるということです。ただ、本書をこなした後に、なるべく受けられる試験種に合わせた過去問に挑むことがお勧めです。
例えば、実務教育出版には、地方初級、国家一般職など職種ごとの過去問シリーズがあります。書名の数字が問題数ですので多く感じるかもしれません。ただ、この本は全科目が収録されているため、数的処理だけの問題は十分こなせる問題数と言えます。また、受験する試験種の過去問は絶対にみておく方が良いため、その目的用に購入した本を活かして、『2025年度版 公務員試験 すばやく解ける 数的推理・判断推理・資料解釈』後の演習をすることは効率的でもあります。
ちなみに、高卒警察官を目指している方の同シリーズは以下です。
『高卒警察官 教養試験 過去問350 2025年度版 (公務員試験 合格の350シリーズ) 』
さて、数学が得意でない人にとっては、かなりかみ砕いた説明である本書は苦手意識なく読み進められると思います。なお、近年の社会人、就職氷河期の公務員試験で、従来の教養試験型の試験を課すところを受ける方で、久しぶりに数学的なことに触れる方にもおすすめです。
(2)本書が向かない人
数学にそこまで苦手意識がない人、いろいろなパターンを解いて万全な試験準備をしたい人には向いていないといえます。
まず、数学にそこまで苦手意識がない人は、いきなり過去問演習をした方が良いでしょう。例えば、以下などを利用することがお勧めです。
※公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ 数的推理
※公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ 判断推理
※公務員試験 [高卒程度・社会人]初級スーパー過去問ゼミ 文章理解・資料解釈
次に、万全な準備をしたい人は、定評ある以下の本で学習した方が、様々な問題パターンに触れられて当日の得点力が期待できます。なお、著者の畑中氏は高卒公務員の本だけでなく、大卒用も書いており、その量と質は業界のトップランナーといえる人です。
※畑中敦子の初級ザ・ベストNEO 数的推理/資料解釈
※畑中敦子の初級ザ・ベストNEO 判断推理
4.まとめ
今回は、『2025年度版 公務員試験 すばやく解ける 数的推理・判断推理・資料解釈』についてレビューしました。
この本だけでは、合格十分な演習は積めないかもしれませんが、まずはどの単元が頻出で王道の解法が何なのかを知りたい人には、向いている本かと思います。
また、そのときに、数学的なものに苦手意識がある方には、スムーズな理解ができるメリットもあります。
他方、数学的な苦手意識がない方でいきなり過去問演習ができる方や、試験までまだ時間があり、丁寧に多くの単元を学習して万全な試験準備ができる方には、あまり向いていないと言えます。
自身の状況を踏まえて、本書で独学するかどうかお考え頂ければと思います。
ところで、高卒試験対象の本は、大卒よりも種類が少ないです。また、高校生で目指している方の中には、通われている高校に受験情報の蓄積があまりない可能性もあります。そういう中で、受験対策をすることは大変です。
究進塾では、無料で受講相談もしておりますので、独学に必要な教材について知りたい、受験対策のスケジュール感を得たい、などがあれば是非ご活用ください。もちろん、受験直前期に、最後に分からないところだけを質問したいという使い方も可能です。
皆さんの公務員試験対策のお役にたてれば本望です。