1.はじめに
公務員試験は、過去問分析が肝要です。なぜなら、過去問の傾向から大きくズレない形で出題されるからです。
これは、特別区を受験する場合にも当てはまります。
そこで本記事では、大卒レベルの特別区教養試験で課される数的処理(判断推理・空間把握/数的推理/資料解釈)に関する出題数と傾向をお伝えします。この記事を読み、対策の方向性を定める参考にしていただければ幸いです。
2.判断推理・空間把握の傾向と対策
判断推理・空間把握の出題数は例年10題です。判断推理が6題、空間把握が4題となっています。
(1)判断推理
頻出出題テーマを判断推理から申し上げます。
まず、文章条件からの推理(例えば、順序関係、対応関係など)という分野における「試合の勝敗」という単元です。直近を分析すると、令和2年度から5年連続で出題されていますのでかなり頻出です。そして、特別区の「試合の勝敗」の問題レベルは、他の大卒公務員試験種と比べると難易度が易しいことが多いので、しっかり演習をして得点源にしましょう。
次に、暗号と規則性という分野の「暗号」という単元です。これは、他の公務員試験種ではあまり頻出ではないのに対し、特別区では毎年出るといっても過言ではありません。したがって、しっかり演習することが大事なのですが、毎年出ているだけあり、様々なバリエーションで出ています。例えば、「元素周期表」や「16進法」が暗号に用いられた年度もありました。そのため、学習することは大事ですが、過去問の法則で導けないときは深入りしない判断も大事となるでしょう。
(2)空間把握
空間把握は平面図形と空間図形に分かれます。
平面図形の頻出は、まず「軌跡」という単元です。令和7年現在、実に10年以上連続で出題されています。軌跡は、苦手とする方が多いです。指導していると、捨てようとする方によく出会います。しかし、図形などを動かすときに着目すべき点が分かるようになると意外にスムーズに解けます。そのため、特別区を受験する方は必ず学習しておきましょう。
次に、平面構成や平面分割の方が、折り紙・位相と経路・方位と位置といった他の単元より出題頻度が高いです。とはいえ、後者の方でも10年間で3から4回ずつは出ています。したがって、軌跡→平面構成→平面分割と進んだ後は、折り紙・位相と経路・方位と位置のうち昨年度出ていない単元はみておくと良いでしょう。
空間図形においては、「投影図」からの出題が頻出です。また、サイコロは出始めると連続して出ています(例えば、令和3~5年度は3年連続で出題)ので、昨年出ていたから勉強しないとはせずに、「展開図」という単元全体の学習をしておきましょう。その次は、「正多面体」です。なぜなら、知識で解ける問題が多いからです。
3.数的推理の傾向と対策
数的推理の出題数は例年5題です。
このうち、少なくとも1題は図形問題が出題されます。難易度は他の大卒レベルの公務員試験種と比べても易しいので必ず対策をしましょう。おさえるべきは、相似、三平方の定理、三角形・四角形・円の図形的特徴です。
残りの4題のうち半分は、方程式と不等式という分野からで、このうち特に「速さ」の単元(旅人算・流水算含む)がよく出ます。割と複雑な設定の文章を読み解いて解かねばならないのですが、関係を図などで表しながら式を立てる癖を普段の学習によって確立することで、問題が解けるようになります。しっかり準備して臨みましょう。
また、この分野では「比と割合」の単元も頻出です。速さの問題を解く上でも比と割合の考えは大事ですので、土台になると思って、しっかり学習しましょう。
「図形」→「比と割合」→「速さ」の順で学習を進めた後は、「数と式」(約数・倍数や商と余りなど)と、「場合の数・確率」あたりの学習をしておくと、珍しい問題を除いては既習となり、落ち着いて試験に臨めるでしょう。
4.資料解釈の傾向と対策
資料解釈の出題数は例年4題です。
地方上級では概ね1題、国家一般職も3題という中、特別区では資料解釈が重視されているようで4題も出ます。しかも、対策がしやすいです。つまり、特別区受験者にとって資料解釈は是非とも得意になるべき科目と言えます。
対策がしやすい理由は、出題のされ方が令和7年現在、10年以上同じだからです。具体的には、まず、数表が2題、図表が2題の構成です。そして、数表も図表も、1題が実数を扱い、もう1題が増減率となっています。
ということで、資料解釈の参考書を用いて、解き方を理解した後は、過去問を10年分ほど解いておきましょう。
なお、資料解釈の参考書については、以下の記事も参考になります。
5.おわりに
本記事では、「判断推理・空間把握/数的推理/資料解釈」で構成される数的処理の傾向と対策をお伝えしました。
判断推理は、「文章条件からの推理」分野(特に勝敗を重点的に)→「暗号と規則性」(特に暗号)を学習しましょう。空間把握は、「軌跡→平面構成→平面分割」の学習は必ず行い、「折り紙・位相と経路・方位と位置」は受験年において最近出てない単元順に学習しましょう。
数的推理は、「図形」→「比と割合」→「速さ」の学習をし、その後は「数と式」「場合の数・確率」へと進みましょう。
資料解釈は、頻出分野を絞るより、解き方をおさえた上で過去問演習に励むことを推奨します。
このように、特別区には特別区の対策方法があります。本記事を踏まえて、合理的・効率的に学習をしていきましょう。なお、究進塾では、受講生一人ひとりの志願先に合わせた対策を練って個別指導しています。興味がある方は、是非お問い合わせからお願いします。