1 面接カードが重要な理由
特別区Ⅰ類(事務)の面接は、倍率は約1.5倍程度ですが、1400人もの多くの受験者が面接で不合格となっており、非常にシビアな面接といえます。(*令和7年I類(春)試験一般事務)
この面接を左右するのが、申込時に提出する面接カードです。面接官は、この面接カードをもとに面接を進め、あなたを評価していきます。
しかし、受験申込時に提出するため、面接直前に書き直すことができません。
だからこそ、しっかりと作り込んで提出することが不可欠です。
この記事では、NG例と改善例(参考例)を紹介しながら、合格に近づく面接カードの書き方を紹介していきます。
2 挑戦したい仕事・強み・志望動機
① 設問1
| 「あなたが特別区でどのような仕事に挑戦したいか、あなたの強みと志望動機も含めて具体的に書いてください。(250字以内) ※面接の冒頭に3分程度でプレゼンテーションしていただきます。」 |
この設問は、面接プレゼンの台本にもなる非常に重要な項目です。
そのため、
・面接カードに書いた内容全てについて深掘りされると考え、「挑戦したい仕事・強み・志望動機」をよく選んで書く必要があります。
また、
・3分間で分かりやすく説明できる構成力があるか。つまり、やりたい仕事・強み・志望動機を一本のストーリーで語れるかが問われています。
②おすすめの構成
| ・挑戦したい仕事(結論)
↓ ・その仕事に挑戦したい理由(課題意識)と特別区の志望動機 ↓ ・自分の強み(経験ベース)+強みをどう仕事で活かすか(将来像) |
特に重要なのは、
挑戦したい仕事を明確に書くこと+特別区ならではの理由に言及することです。
③ NG例
「私は区民が安心して暮らせる地域づくりに挑戦したいです。特別区には多くの人が生活しており、地域コミュニティはとても重要な存在であり、地域のつながりがあることで、区民同士が助け合い安心して生活できる環境になると考えています。そのため、区職員としてそうした地域づくりに携わり、区民の役に立ちたいと考えています。特に、特別区ではさまざまな行政サービスが行われているため、幅広い分野で区民を支えることができる点に魅力を感じ志望しました。私の強みである、「人の話をよく聞き最後まで諦めずに努力できること」を生かし、どの部署に配属されても真面目に業務に取り組み、区民のために精一杯努力していきたいと考えています。」
ここがNGポイント!
・挑戦したい仕事が抽象的です。
「安心して暮らせる地域づくり」では弱いです。
→ 防災・子育て支援・高齢者見守りなど具体分野があるとよいです。
・特別区ならではの志望理由が弱いです。
「幅広い行政サービス」「多くの人が生活している」という言葉を使う受験生は多いですが、もっと特別区の特徴に言及して「人口流動性が高い」「地域課題の多様性」などの表現ができるとよいです。
→「流動性」「多様性」という表現も抽象的だとする方もいらっしゃいますが、字数の限られた面接カードでは使用しても問題ありません。実際の面接でていねいに説明していきます。
・強みが仕事に結びついていません。
「人の話をよく聞き最後まで諦めずに努力できる」は強みとしては良いですが、「どの部署に配属されても」では物足りません。
1つの分野に絞る方が面接官に専門性の高さや志望度の高さを示せます。
*もちろん特別区職員はジョブローテーションで様々な分野に携わることになりますが、面接カードでは「挑戦したい仕事」を聞いていますので、1つの分野や部署にしぼってアピールしてください。
④改善例(参考例)
| 「地域コミュニティを通じてだれもが安心して暮らせる地域づくりに挑戦したいです。特別区は人口の流動性や価値観の多様化により、住民同士のつながりが希薄になりやすいことが課題です。しかし、防災や高齢者見守りなどの地域活動においてコミュニティの役割は重要だと感じています。そのため、区職員として区民と直接関わりながら地域活動を支援し、住民同士の助け合いを生む仕事に携わりたいと考え志望しました。私の強みである傾聴力を生かし、区民の声を施策に反映することで、安心して暮らせるまちづくりに貢献したいと考えています。」 |
改善ポイント!
・「人口の流動性や価値観の多様化から住民同士のつながりが希薄になっている」という特別区ならではの課題を簡潔に示しています。
・なぜ「地域コミュニティ」に挑戦したいのか、コミュニティの役割を防災や高齢者見守りなどの点から説明しています。
・多くの受験生が「傾聴力」という強みを書きますが、それをどう活かすか、面接カードで簡単に示します(例:区民の声を施策に反映)。詳しい内容はプレゼンでしっかり説明していくことになります。
(補足)
・1文目「・・・に挑戦したいです。」という表現は、「私が挑戦したい仕事は・・・です。」とするものおすすめです。
・「地域コミュニティを通じて」の部分は、「だれもが・・・できるように地域コミュニティの活性化の仕事に挑戦したい」という表現にするのもよいでしょう。
*紹介した改善例(参考例)に、さらに、ご自身ならではの経験や学びを簡潔に補足してください。たとえば、大学で学んだことや、ボランティアで経験したことなど。そうすることで、他の人にはない内容になり、説得力が増します。
→この場合、改善例(参考例)の最後の文をもっと簡単に書いて字数を調整するとよいでしょう。
3 一つのことをやり遂げた経験
① 設問2
| 「あなたが一つのことをやり遂げた経験を挙げ、その中で最も困難だと感じたことと、それをどのように乗り越えたかを教えてください。(250字以内)」 |
この設問を通して、面接官は、あなたの課題に直面したときの考え方や行動力、学びや成長を知ろうとしています。
②おすすめの構成
設問文の文言に沿って、順に、
「やり遂げた経験→最も困難だと感じたこと→乗り越え方」と書いていけばよいです。
| 書き方テンプレート(例) 私がやり遂げたことは【経験・やり遂げたこと】です。最も困難だったのは【具体的な壁・課題】でした。私は【具体的行動・工夫】を行い、【成果・達成結果】を得ることができました。この経験を通じて、【学び・強み】を身につけることができました。 |
*字数内におさめるため、最後の【学び・強み】を省略する合格者も多いです。
特に重要なのは、
困難に対して、あなたはどのように考えどのように乗り越えたかを具体的に書くことです。
③ NG例
| 「飲食店のアルバイトでシフト管理と接客業務を担当した経験です。最も困難だったことは、忙しい時間帯に注文がたくさん入り提供が遅れることがあった点です。特に新人スタッフも多く、指示を出してもすぐには動いてくれないことがあり、業務がスムーズに進まないこともありました。そこで私は、スタッフと協力しながら業務を行い、できるだけ丁寧にお客様対応をしました。その結果、忙しい中で、なんとかアルバイト全体としても問題なく仕事を終えることができました。この経験から、協力して仕事を進めることの大切さを学びました。」 |
ここがNGポイント!
・この設問で最も重要な「あなたの行動」の表現が曖昧です。
→「スタッフと協力」「できるだけ丁寧にお客様対応をした」だけでは、何をどう工夫して行動したのかが伝わりません。
・成果が弱いです。
→「なんとかアルバイト全体としても問題なく仕事を終えることができた」という表現では、改善や達成感が伝わりません。
・具体例がありません。
一文目で「シフト管理」という役割をせっかく書いているのに、そのあと、シフト管理に関する内容がないため、違和感があります。
④改善例(参考例)
| 「飲食店のアルバイトでシフト管理と接客業務を担当しました。最も困難だったのは、繁忙期に新人スタッフが多く、予定通りの配置では業務が滞る状況でした。そこで私は、シフト表を見直して役割分担を再調整し、必要に応じて臨機応変にフォローしました。また、落ち着いた声でお客様対応をサポートし、混乱を最小限に抑えました。その結果、忙しい時間帯でもスムーズに業務を回せ、アルバイト全体でお客様満足度を維持できました。この経験から、状況を整理し、周囲と協力して課題を解決する力を身につけました。」 |
改善ポイント!
・「予定通りの配置では業務が滞る状況」など、困難の描写が具体的です。字数に余裕があれば、数字や人数まで補足するとよいでしょう。
・「シフト表を見直す」「役割分担を再調整」「臨機応変にフォロー」「落ち着いた声でお客様対応をサポート」など、この設問で最も重要な「行動」を具体的に書くことができています。
・「スムーズに業務を回す」「お客様満足度を維持」など、成果が明確です。
4 チームへの貢献とあなた独自のアイディア
① 設問3
| 「目標達成に向けてチームで行った経験において、チームへの貢献につながったあなた独自のアイディアを、ご自身の役割とともに教えてください。(250字以内)」 |
この設問は、協調性+主体性+課題解決力を同時に見られる重要な質問です。
「チームで頑張りました」だけでは、評価されません。
エピソードとしては、大学生ならサークルやゼミ、アルバイト、ボランティア、社会人なら仕事(多くの仕事がチームで行なっているはずです)、など、必ずネタはあるはずです。
*チーム人数は少なくてもかまいません。
②おすすめの構成
・チームの目標・活動内容
↓
・直面した課題
↓
・自分の役割、自分独自のアイディア・工夫
↓
・その結果・チームへの貢献
特に重要なのは、
「自分が考え、提案し、行動した点」が明確かどうかです。
③ NG例
| 「学習塾で講師のアルバイトをしており、クラス全体の成績向上を講師間の目標に取り組みました。クラスを担当するのは科目別に6人の講師で、私は算数の担当講師でしたが、生徒によって理解度が大きく異なることが課題でした。そのため、生徒一人ひとりに分かりやすく説明することを特に意識しました。また、先輩講師に相談するなどして、授業内容や進度について改善していきました。このような取り組みを粘り強く行った結果、3か月後の公開模試ではクラス全体の成績が向上しました。」 |
ここがNGポイント!
・独自の工夫・アイディアが弱いです。
→「生徒一人ひとりに分かりやすく説明することを特に意識しました」と書かれているだけで、具体的にどのような工夫をしたのかが不明です。
・チームへの貢献が不明確です。
→「先輩講師に相談した」とありますが、チーム全体への影響や貢献が明確に書かれていません。自分の行動がどうチーム全体に好影響を与えたのかを書く必要があります。
④改善例(参考例)
| 学習塾で講師として、クラス全体の成績向上を講師チームの目標に取り組みました。クラスは科目別に6人の講師が担当し、私は算数担当でしたが、生徒ごとに理解度が大きく異なることが課題でした。そこで、生徒の理解度やつまずきポイントをチェックシートにまとめ、チーム全員で共有する仕組みを提案しました。これにより講師間で指導方針が統一され、他の講師も生徒の理解に応じた授業調整が可能となり、授業の質が向上しました。その結果、3か月後の公開模試でクラス全体の平均点が約10点上がり、チーム目標の達成に貢献できました。 |
改善ポイント!
・「チェックシートにまとめ、チーム全員で共有する仕組みを提案」と書くことで、自分ならではの工夫を明確にしています。
・「講師間で指導方針が統一され、他科目講師も授業調整が可能」と書くことで、チーム全体への影響が具体的に書かれています。個人の工夫がチーム全体の成果にどうつながったかが明示されています。
・「3か月後の公開模試でクラス全体の平均点が約10点上がり」と具体的数字を入れることで説得力があります。
・「課題 → 自分の工夫 → チーム貢献 → 成果」の順で構成されており、面接官が理解しやすい構成です。
5 まとめ
特別区Ⅰ類(事務)の面接カードは、あなたの考えや人柄を伝える重要なツールです。
今回紹介したNG例から学べるのは、抽象的・平凡な表現では評価されにくいという点です。
面接官は、あなたの独自の工夫や具体的な行動、チームや区民への貢献、そして成果の明確さを知りたいと考えています。
各設問では、
・「挑戦したい仕事・強み・志望動機」では、区民や地域課題と自分の強みを結びつける
・「一つのことをやり遂げた経験」では、課題・行動・成果の順で具体的に示す
・「チームへの貢献と独自のアイディア」では、自分の工夫がチーム全体にどう影響したかを明確にする
ことがポイントです。
面接カードは単なる文章ではなく、面接の冒頭3分プレゼンの原稿にもなります。
今回の参考例を活用しつつ、数字や具体的行動を盛り込み、自分らしさを表現することを意識して作成していきましょう。


個別指導講座
お問い合わせ




