社会学、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書 | ASK公務員 - 個別指導/論文・面接カード添削の公務員試験対策塾

社会学、選択式問題8割ゲットの勉強法とおすすめ参考書

  • 2024年9月17日
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宮園 啓介
大学卒業後から、大手資格予備校、高校、大学において公務員試験対策に携わり、今まで多くの国家公務員、地方公務員合格者を輩出。自身の公務員試験合格経験に慢心せず、刻々と変化する試験傾向の分析を丁寧に行い、「出そうなところを確実に仕留める」指導をモットーとする。

【主な指導科目】
教養試験;数的処理・文章理解・人文科学・社会科学
専門試験;経済学(ミクロ、マクロ、財政学など) 、行政系(政治学・行政学・社会学)
人物試験;面接・小論文

1.はじめに

公務員試験で国家一般職や国家専門職、そして地方上級などの行政職において、採用ボリュームが最も多い区分は、まだまだ専門試験があるものといえます。たくさんの科目を学習しなくてはならない意味で倍率も下がります。

そこで、受験を決意した際に、問題となるのが、どの科目を選択しようかということです。もちろん、憲法・民法・行政法・経済学などはどの試験種でも出題されますので、選ばざるを得ないと思います。ただ、それ以外の科目はどうしようかと悩んだりする方は多い事でしょう。

科目選択において重要なことの1つが、各科目の攻略法を知ることです。なぜなら、その攻略法を知って、実践できるのであれば選択すればよくなり、難しそうであれば違う科目を利用することになると考えられるからです。

そこで本記事では、「社会学」の攻略法をお伝えします。ちなみに、タイトルに8割ゲットとしているのは、公務員試験は概ね6〜7割の得点で合格するため、8割取れる=合格に大きく寄与できる科目=得意科目になったことを意味します。すなわち、社会学を得意科目にする学習方法を教材を紹介しつつ行います。なお、学習方法は予備校に通っていない独学者かつ初学者を想定した方法をご紹介します。

2.社会学の位置付け

まずは、公務員試験における社会学の位置づけをおさえましょう。

(1)出題数

社会学の出題は令和6年度実績で、以下となっています。
①国家一般職・・・・・・科目選択式で1科目分=5問(40問回答)
②国税専門官・・・・・・科目先選択式で政治学・社会事情と合わせて6問(社会学は2問)
③財務専門官・・・・・・科目選択式で政治学と合わせて6問(社会学は3問)
④労働基準監督官・・・・・・問題選択式で最大2題選択可
⑤法務省専門職員・・・・・・問題選択式で最大10題選択可
⑥特別区・・・・・・問題選択式最大5問(40問回答)
⑦地方上級・・・・・・中部北陸型のみ出題。問題選択式で最大2問選択可
たくさんの試験種で使えそうですが、②~⑤は同一日に一次試験があることと、国家総合職には出題がないことは、併願を考える上では注意が必要です。また、県庁の多くで出題がない点も留意しましょう。なお、記述試験で社会学を使えるのは以下の試験種です。

国税専門官・東京都・家庭裁判所調査官

(2)出題内容

以下が社会学の学習内容です。

①社会学史

社会学という学問がどのように生まれ、どのように発展していったかということが社会学史です。ここでは、コント、スペンサー、マルクス、デュルケム、ウェーバー、ジンメル、シュッツ、パーソンズ、ルーマン、ハーバーマス、ブルデューなど、著名な社会学の理論家とそのキーワードを暗記していくことになります。

②社会変動論

社会がどのような構造を持っていて、昔から現在にかけて、どのように変化しているのかに関する理論を学びます。例えば、機械的連帯社会から有機的連帯社会への変動を論じたデュルケムなどの学説を学び覚えていきます。ちなみに、デュルケムは①で取りあげた学者ですが、このように、いろいろなジャンルで同一の学者が出てくるところは、社会学の大きな特徴です。

③集団論

社会には様々な集団がありますが、それを何らかの特徴(視点)で分類した社会集団論や、集団の一つである家族に関する理論を学びます。ここでも、例えば家族論には、①で出てきたパーソンズが再び出てきます。なお、集団論は①と並ぶ頻出単元です。

④行為論

我々は、日々何らかの行為を意識的にも、無意識的にもしてます。そして、それによって(あるいはその蓄積によって)で社会が安定的に営まれたり、逆に既存社会からの変化が促されたりもしています。この行為に着目したジャンルも出題範囲です。心理学などの学問が隣接領域となります。

⑤〇〇をめぐる社会学

〇〇には、メディアと情報化、地域(特に都市化)、労働や職場、文化、宗教、大衆などが入ります。例えば、メディアと情報化であれば、その与える影響が強いか弱いかなどについての学説があるため、それを覚えていくことになります。

⑥社会調査

調査方法(適切なアンケートの作り方など含む)、調査されたものの処理方法などについて、代表的な調査として国勢調査に関する知識などが問われます。ただ、この単元は、主に国家一般職では問われますが、他の試験種ではあまり出ません

(3)難易度

難易度は、ずばり、やや難しいといえます。

理由は3つあります。

第1は、覚える学者、キーワードの数が大変多いからです。社会学は、生まれて200年ほどの若い学問ですが、大変覚える量が多いです。また、上記(2)の④のように扱う範囲も多いです。

恐らく社会学は、試験直前期に学習を始める方がほとんどです(公務員浪人やよほど早めから学習をしている方を除いて)。また、憲法・民法・行政法・経済学(マクロ・ミクロ)を先に学習することが大事ですので、それはやむを得ません。ただ、直前からの割には、上述のとおり覚えることが多すぎて、焦ってきます。そうすると、余計に覚えられなくなるという悪循環が起きやすい科目です。

第2は、社会学の特質から、理解に時間がかかる可能性が高いためです。社会学の醍醐味の一つは、我々が当たり前だと思っていることとは違う知見を得られることです。例えば、デュルケムは「犯罪がある社会は正常な社会だ」と述べました。これを試験対策として、覚えていきます。

このとき、多くの人は、「犯罪がある=治安がよくない=望ましくない社会で、どちらかというと異常事態の側ではないのか」と思うため、「ん? どうして?? 」とデュルケムの言葉を理解する前に戸惑いが発生します。もちろん、その後、きちんと説明されている本には、「何を犯罪とし、何を犯罪としないかを社会的に含意していないと、ある行為を犯罪に認定できない。その意味で、犯罪がある社会は、犯罪を社会的に認定できているわけだから、そういうコンセンサスを社会的に働かせられているという点から、正常な社会だといえる」というような趣旨の解説が書いてあるので、「あぁ、そういうことか」となります。

したがって、社会学の視点は面白いと言えば面白いのですが、一旦、自身の常識を再認識し、その後に社会学の視点で捉え直しをする分、単純な暗記より理解に時間がかかりがちです。ちなみに、「ん? どうして?? 」を強く抱いてしまうことと、第1で挙げたボリュームの多さから丸暗記するには向かないという厄介な科目です。

第3は、背景知識が理解を左右するからです。学者が、どのような時代を生き、どのような社会をみたからこそ、そのような学説を唱えたかを捉える際には、世界史などの背景知識がひつようとなります。背景知識が不足すると、学者とキーワード自体は合っているけれど、それをつなぐ文章の部分に誤りがある選択肢への正答が下がってしまいます。これも社会学を難しく感じさせる要因です。

3.おすすめの勉強法と参考書紹介

上記で、社会学がやや難しい科目だという点を詳しく述べました。選ぶのをどうしようかなと思ったことかと思います。他方、経済学のような計算がどうしても苦手であったり、民法の事例問題がどの知識を当てはめるのか分からず得点が伸びなかったりなど、いろいろな理由から、「暗記できれば得点できる社会学を使いたいから、たとえ難しい科目でも勉強頑張るぞ」と思っている方もいることでしょう。

そこで、社会学が得点源になる可能性を高める、おすすめの学習方法を以下にお伝えします。

(1)おすすめの勉強法

まず、教養の「世界史」と「思想」を先に学習するというものです。たとえ、「世界史」を捨て科目にしている方も、欧米の近現代史は概観しておいてください(市民革命以降から冷戦崩壊まで)。ここでいう概観とは、細かな年号は覚えなくて良いので、どのような歴史が展開されていたかを知っておいてください。「思想」(あるいは倫理)も、細かな知識は覚えなくても良いので、(2)のおすすめの参考書で挙げた本のいずれかを通読して欲しいと思います。

次に、社会学の学習は、(2)のおすすめの参考書でも挙げた『社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像』を使って、ビジュアル的に人物と用語をおさえていきます

その後は、過去問集に取り掛かりましょう。

使う過去問集は、
『新スーパー過去問ゼミ7 社会学』(実務教育出版)
『2024-25年合格目標 本気で合格!過去問解きまくり社会学』(LEC出版)のいずれかが良いでしょう。


(2)その他、おすすめの参考書について

上記に挙げた過去問集以外のおススメ参考書は、以下となります。

まず、「世界史」の概観教材は
『教科書よりやさしい世界史』をお勧めします。通史的な理解がさらっとできます。

教養世界史の学習も兼ねる場合は、
『神余のパノラマ世界史』です。「古代~近代へ編」と、「近現代史編」の2冊で流れをおさえたら、過去問をやりこむと公務員の教養世界史は得点源になるはずです。


次に、倫理(思想)です。これも、社会学の用語図鑑と同様ですが、ビジュアル的に覚えてしまうと良いでしょう。ずばり、
『大学入試 マンガで倫理が面白いほどわかる本』です。
第1章のギリシア思想と、第3・4章だけでもいいので、読みましょう(もちろん、教養の倫理(思想)のためには、全章読んだ方がいいですが、社会学の準備学習としてはという意味です)。

そして、
『社会学用語図鑑 ―人物と用語でたどる社会学の全体像』です。
ビジュアルで、難解な用語をおさえられる点は望ましいといえるでしょう。

ちなみに、都庁を受ける方で、記述にも対応したい人がいることでしょう。それに対しては、
『寺本康之の公務員試験専門記述 Kindle Book 社会学 参考答案集』が唯一の対策本といえますので、使ってみると良いでしょう。なお、電子書籍です。

4.おわりに

社会学は、学習範囲が広く、覚える事柄(キーワードや人物)が多いです。直前期に、こんなにやるのは無理だと感じてしまうくらいです。ただ、教養の世界史や倫理(思想)から入って、社会学の図鑑を眺めると、試験で求められる知識の吸収がよくなることかと思います。その状態で、過去問に取り組むことで、逆に得点源といえる科目にもできます。

選択する場合は、上記が参考になれば幸いです。

皆さんの学習を応援しています。

学習上の悩みがあれば、ASK公務員・究進塾では無料での相談を1回行っていますので、ぜひ利用してみてください。

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