ある会社のA~Eの5つの支店について、それぞれの支店の社員数を調べたところ、次のア~エのことがわかった。
ア:社員数が最も多いのはC支店であり、C支店の社員数は45人であった。
イ:社員数が2番目に多い支店とC支店との差は2人であった。
ウ:A支店とD支店との社員数の差は2人、B支店とD支店との社員数の差は3人、D支店とE支店との社員数の差は4人であった。
エ:A~Eの5つの支店の社員数の平均は40人であった。
以上から判断して、社員数が3番目に多い支店と4番目に多い支店の組み合わせとして正しいのはどれか。(東京都2004)
3番目 | 4番目 | |
1 | A | B |
2 | B | D |
3 | B | E |
4 | D | A |
5 | D | E |
x1, x2, …,xnのn個の数があるとき、これらの平均は下記のように表すことができます。
(x1, x2, …,xnの平均) =(x1 + x2 + …+ xn)÷n … (あ)
この形だと皆さんにとって馴染み深いと思います。この式の両辺をn倍してみます。
(x1, x2, …,xnの平均)×n =(x1 + x2 + …+ xn)…(い)
割り算や分数の形が無くなるので、とても扱いやすくなります。いきなり(い)の式を思いつくのではなく、(あ)の式を思いついてから(い)の式へ変形するのでも大丈夫です。
過去問の中には、予め平均がわかっている中でその平均をとったものの個数や人数を聞いてくる問題もあります。(x1 + x2 + …+ xn)の箇所は(x1 ~ xnの合計)と表現する場合もあるので、これらの式を使うのだと気付けるようにしましょう。
平均算と聞いて難しく思わず、落ち着いて処理しましょう。
実際の数値がわからないまま順位を推理する問題でもあります。
コツは下記の通りです。コツ2は気を付けることが多いので細かく分けました。
1.与えられた条件を数式やわかりやすい形に書き換える。
2.わからない数値は変数にする。
2-1.誰かを基準とすること。
2-2.基準以外の文字=基準の文字の式の形で表すこと。
2-3.代入できる式があれば変数を減らす。減らすときは(減らしたい文字)=〇〇の形にして代入する
3.場合分けが少なければ(4通り以下くらい)、仮に値を決めて代入して、答えに同じものがあるか見比べる。
では、アの条件を読み解いていきましょう。
ア:社員数が最も多いのはC支店であり、C支店の社員数は45人であった。
多い順に考えるとCが1番目(コツ1)。数式で表すと、C支店の社員数をCとするならC=45と言えます(コツ2)。ここは易しいですね。
次にイを見てみましょう。
イ:社員数が2番目に多い支店とC支店との差は2人であった。
2番目に多い支店がどこかは分かりませんが、分からない支店の変数を□とすると、C-□=2と言えますね。Cが1番目に多いのですから、□-C=2はあり得ません。
次にウを見てみましょう。
ウ:A支店とD支店との社員数の差は2人、B支店とD支店との社員数の差は3人、D支店とE支店との社員数の差は4人であった。
A支店とD支店との社員数の差は2人だと、A-D=2なのか、D-A=2なのかまだわかりません。BとD、DとEを比較していますが、どれも同じようにどちらが多いのかよくわかりませんね。
他に特徴はないでしょうか?どれもDとの差を見ていますね。ここでDを基準としましょう(コツ1)。Dを含む式が多いので、〇=(Dを含む式)のように書き換えてしまいましょう(コツ2)。
差なので1つの条件から2通り式ができてしまいますが、〇=(Dを含む式)の式にしてみると下記の通りです。
ウの条件 | 式の中が+ | 式の中がー |
A支店とD支店との社員数の差は2人 | A=D+2…① | A=D-2…② |
B支店とD支店との社員数の差は3人 | B=D+3…③ | B=D-3…④ |
D支店とE支店との社員数の差は4人 | E=D+4…⑤ | E=D-4…⑥ |
とりあえず、今わかるのはこの程度でしょうか。
エ:A~Eの5つの支店の社員数の平均は40人であった。
平均とはどのように計算するのでしょう?全部足していって、足した個数で割り算するのでしたね。
この場合であれば、(A+B+C+D+E)÷5=40となります。割り算の形だと扱いにくいので、両辺を5倍します。A+B+C+D+E=200となりました。
ここまでで書き換えた内容をまとめましょう。
ア:Cが1番目、C=45…⑦
イ:2番目の支店を□とすると、C-□=2…⑧
ウ:上記の表の通り。
エ:A+B+C+D+E=200…⑨
ここで、ウの表やエの⑨の式を見ていると気づくことがあります。例えばウの①の式A=D+2を見てみます。Aという文字は⑨の式にもいますね。そこで①の式が「Aという文字を見つけたら、AをD+2と書き換えてくれ」と話しかけてくれるように見えればあなたも代入マスターです!(コツ2-3)
⑨の式にはウの式や⑦の式も代入できそうですね。試しに①、③、⑤を代入してみます。
A+B+C+D+E=200⇔(D+2)+(D+3)+45+D+(D+4)=200
⇔4D = 146
⇔D=36.5
Dが整数ではなくなってしまいました。Dは社員の人の数なので小数であってはいけないはずです。
ということは①~⑥の選び方が間違っていたのだと予想できます。ここで何が原因で間違えたか詳しく調べていきましょう。
Cは45と決まった値です。そこだけ代入すると、A+B+D+E=155…⑩となります。
⑩の式にA,B,Eを代入すると4D=(数字)…⑪の形になると思います。ということは、最終的に右辺は4の倍数であるべきです。
⑩の右辺は奇数なので、⑩の時点では4の倍数ではありません。ですが結果として⑪の式が4の倍数になるのは③、④のおかげです。
③を⑩に代入すると、A+2D+E=152、
④を⑩に代入すると、A+2D+E=158となります。
AとEを見てみましょう。Aは2を足すか引くか、Eは4を足すか引くかです。
Eに着目すると、4の倍数に4を足しても4の倍数になったままです。
しかしAに着目すると、4の倍数に2を足すと4の倍数ではなくなってしまいます。代わりに、4の倍数+2のものに2を足せば4の倍数になってくれます。
これらのことから、③を使用すべきか、④をすべきかは⑩に代入した結果が4の倍数+2のものを選ぶ必要があります。つまり代入すべきは④であるとわかります。
あとは①か②か、⑤か⑥かなので2×2=4通りの場合分けを考えればいいとわかります。このくらいであればそれぞれの場合を考えてみましょう。(コツ3)
A | B | D | E | |||
⑤ | ⑤ | 40 | 35 | 38 | 42 | |
⑥ | ⑦ | 42 | 37 | 40 | 36 | |
② | ⑤ | 37 | 36 | 39 | 43 | |
② | ⑤ | 39 | 38 | 41 | 37 |
表ができました。ここでア、ウ、エの条件は処理できました。
イの条件を使っていなかったので見てみましょう。2番目に多い支店はC-□=2、つまり□
は43であることがわかります。上記の表からは43があるのは②、⑤式を使用した時のE以外にありません。よって②、⑤が正しい組み合わせであることがわかります。
したがって3番目、4番目の支店はD,Aとなるので、選択肢の4番が正解になります。