公比rでn項からなる等比数列 a1, a2, …, an が a1=1, an =243を満たす r とnの関係式は□である。この数列の和が364になるとき rとn の値は□である。(芝浦工業大学工学部2006)
左から順に1項目、2項目と言い、aの右の小さな添え字を項数と言います。a1からa2に進むためには公比と呼ばれる値をかけることで次の項に進めます。公比にはrがよく使われます。よって次の式が成り立ちます。
a1×r = a2, a2×r = a3, …, an-1×r = an
公式として、a1を初項、公比をr、項数をnとすると、次のような式が成り立ちます。
an = a1×r(n – 1)
anのようにn項目までを文字にして表すことを一般化とも言います。
そしてその和の公式は次のようになっています。a1からanまでの和をSnとすると、
Sn =\(\frac{a_1-a_1r^n}{(1 – r)}\) (r≄1のとき)、Sn = a1n (r=1のとき)
問題文を見ていきましょう。
初項は a1=1と与えられています。anが243と分かっていますが、項数が分かっていません。公比の値もわかっていません。項数をn, 公比をr として式を立ててみましょう。
an = a1×r(n-1) = 243
⇔ r(n-1) = 243…①
よって、1つ目の□の答えがわかりました。
次に公比数列の和についてです。公比数列の和について次のような公式があります。a1=1、和(Sn)が364なので当てはめてみて考えると、
Sn = \(\frac{a_1-a_1r^n}{(1 – r)}\) = 364
⇔ \(\frac{1-r^n}{(1 – r)}\) = 364
rについて解きたいので、r = 〇〇の形にすることを考えます。
分母を消すために両辺を(1-r)倍すると、
1-rn = 364 – 364r
両辺を(-1)倍すると、
rn -1= 364r – 364…②
ここで、②の式の左辺の指数の部分は、このように表せます。
②の左辺はrをn回かけたものであるので、rを(n-1)回掛け算したものにrをもう1回掛け算したものと等しいです。
これを数式で表すと次のようになります。
rn = r×r(n-1)
こうすると、①にr倍するとrnになることがわかりました。
よって、r(n-1)かrnを消去したいと考えます。
文字を消去するためには、消したい文字=〇〇の形になるように式変形し、消したい文字を含む別の式に代入するというのが基本的な考え方でした。
具体的に本問で考えると、①をr(n-1)=〇〇として②に代入するか、②のrnをrn=〇〇として①に代入することを考えます。圧倒的に計算が楽なのは、前者の方です。
なぜ後者の方が計算しにくいかというと、rnをr(n-1)に代入する際にはr(n-1)を\(\frac{r^n}{r}\)と分数の形にしないとrnの形を作れないためです。
分数の方が計算がややこしくなることが多いので、掛け算で処理できる前者を選びます。
よって、②に①を代入すると、
r×243 -1 = 364r -364 ⇔ 121r = 363
r = 3
①を書き換えると、
3(n-1)= 35
指数に着目すると、
n – 1 = 5 ⇔ n = 6
r と n の値が分かりました。
よって2つ目の□の答えがわかりました。