【問題】下図のように、点Pで、一部が着色された半径aの円Aが半径4aの円Bに内接し、円Bが半径2aの円Cに外接している。円Aは円Bの内側に接しながら、円Bは円Cの外側に接しながら、同じ速さでそれぞれ矢印の方向に滑ることなく同時に回転を始め、円Bがアの位置から円Cを半周してイの位置にきたとき、円Aの状態を描いた図として、正しいのはどれか。(東京都2008)
円の回転数の問題は頻出ではありませんが、基本的な解き方を押さえておけば難しくないので、解けるようにしておきたい分野です。
円Aの半径:円Bの半径=m:1ならば、
Aの外部をBが1周したときのB自体の回転数はm+1
Aの内部をBが1周したときのB自体の回転数はm-1
同時に考えるとややこしいので、
①円Cの外部を円Bが回転(円Aは固定する)
②円Bの内部を円Aが回転(円Bは固定する)
このように2段階で考えます。
①円Cの半径:円Bの半径
=2a:4a
=1/2:1
したがって、円Bが円Cを半周したとき、円Bの回転数は
(1/2+1)×1/2=3/4
②円Aが円Bの内部を移動した距離は、①で円Bが円Cの外部を移動した距離、すなわち円Cの半周分に等しくなります。
円Bの半径は円Cの2倍なので、円Bの円周も円Cの2倍です。
したがって、円Aの移動距離は、円Bの1/4周分ということになります。
このとき、
円Bの半径:円Aの半径=4:1
より、円Aの回転数は(4-1)×1/4=3/4
①と②が同時に起こるので、円Aは時計回りに3/4回転すると同時に半時計回りに3/4回転します。
すなわち、全く回転していないのと同じです。
したがって、正解は選択肢5です。
―補足―
円の回転数を求める考え方が、もうひとつあります。
固定された円に対して滑ることなく回転する円があるとき、その中心の移動距離を求めれば、それを円周の長さで割ったものが回転数になります。
これは外接していても内接していても成り立ちます。
今回の問題の場合、
①円Bの中心の移動距離は、半径3aの円の半周分、3aπとなります。
一方、円Bの半径は2aなので、円Bの円周は4aπです。
したがって円Bの回転数は、
3aπ/4aπ=3/4
②途中まで、先程の結果を利用します。
円Aの中心の移動距離は、半径3aの円の1/4周分、すなわち3aπ/2となります。
一方円Aの半径はaなので、円Aの円周は2aπです。
したがって円Aの回転数は、
(3aπ/2)/2aπ=3/4
このように求めることができます。