以下のア~エのことが正しく言える時、確実に言えるのはどれか。地上(2006)
ア:インドに出張に行ったことがある人はロシアに出張したことがある。
イ:シアに出張に行ったことがある人はタイと中国に出張したことがある。
ウ:エジプトに出張に行ったことがある人はインドかタイのどちらか一方に出張したことがある。
エ:ドイツに出張に行ったことがない人はタイに出張したことがない。
1:エジプトに出頭したことがある人は、ドイツに出張したことがある。
2:エジプトに出張したことがある人は、 中国に出張したことがある。
3:ロシアに出張したことがある人は、エジプトに出張したことがある。
4:ドイツに出張したことがある人は、ロシアに出張したことがある。
5:タイに出張したことがある人は、 インドに出張したことがある。
命題に関する問題です。「〇〇がある時は△△がある」という複数の条件から、正解の選択肢に当てはまるものを選ぶ問題です。
ここで命題の問題を解くのに3つのコツをお伝えします。
1.「〇〇があるときは△△がある」は記号化する。
「〇〇があるときは△△がある」と日本語で書くと長くなってしまい、ややこしくなります。
そこで、シンプルにするために矢印を使います。
「〇〇→△△」としてしまえば、日本語で書いているよりもよりシンプルに短くイメージもしやすくなるでしょう。
2.「〇〇がないときは△△がない」は対偶をとる。
対偶とは何かを説明する前に、逆と裏について説明します。
上の例文にとっての逆とは、「〇〇であるときは△△である」のように、「であるときは」の両側が否定の形になります。この場合、「ない」の否定なので「ある」になります。
また、〇〇の否定を記号を用いて書くと、\(\overline{〇〇}\)のように文字の上にバーがかかれたようなものになります。
よって、「〇〇でないときは△△でない」の否定は記号を用いて書くと、
「\(\overline{〇〇でない}\)ときは\(\overline{△△でない}\)」→「〇〇であるときは△△である」となります。(※〇〇や△△にはついになる単語が無いものとします。例:男⇔女、白⇔黒など)
上の例文にとっての逆とは、「△△がないときは〇〇がない」になります。「であるときは」の両側が入れ替わった形になります。
対偶とは、「逆にしたものの裏」です。
つまり、上の例文にとっての対偶とは、「\(\overline{△△でない}\)ときは\(\overline{〇〇でない}\)」、つまり、「△△であるときは〇〇である」になります。
一般的に、上の例文のことを命題といいますが、命題に対しての条件が真であるとき、つまり正しく成り立つときは、次の表のようになります。偽というのは正しく成り立たないときを言います。命題が偽である時の場合も表に記載しておきます。
命題 | 逆 | 裏 | 対偶 |
真 | 偽 | 偽 | 真 |
偽 | 真 | 真 | 偽 |
一般的に、命題の対偶は命題の真偽と一致するので、命題に否定分が含まれていたら対偶を考えてみましょう。
もう少し具体的な例で考えてみましょう。
「人参は野菜である」という命題があるとします。これは正しいので真ですね。
この命題の否定を考えます。
「\(\overline{人参}\)は\(\overline{野菜である}\)」となります。
人参も野菜も対になる言葉はないので、「~である」を「~でない」にします。すると、「人参でない物は野菜ではない」になります。これは人参以外にキャベツや大根など野菜は色々あります。よって正しくないので偽になります。
命題の逆を考えます。
「野菜は人参である」になります。これだと野菜と呼ばれるものには人参以外何も存在しないような意味合いになってしまうので正しくなく、偽となります。否定の時に考えたようにキャベツや大根その他いろいろ野菜は存在しますよね。
命題の対偶を考えます。
「\(\overline{野菜}\)は\(\overline{人参である}\)」となり、否定を処理すると、「野菜でない物は人参でない」となります。これは肉や魚などを考えても人参に分類される肉や魚はいません。よって正しいとわかり、真となります。
問題文を見ていきましょう。
ア~エの条件をそれぞれ記号化し、条件エ(ドイツに出張に行ったことがない人はタイに出張したことがない。)に関してはわかりにくいので、対偶を取ります。
「\(\overline{タイに出張に行ったことがない人}\)、は、\(\overline{ドイツに出張に行ったことがない人}\)」→「タイに出張に行ったことがある人は、ドイツに出張に行ったことがある。」となりますので、「タイ→ドイツ」と書くことができます。
ア:インド→ロシア
イ:ロシア→タイと中国
ウ:エジプト→インドかタイ
エの対偶:タイ→ドイツ
選択肢を見ていきましょう。選択肢の1番を見てみると「エジプト→ドイツ」を考えます。エジプトから矢印を辿っていくと、エジプトに行ったことがある人はインドに行ったことがある人と、タイに行ったことがある人の2通りに分かれます。
これは両方行ったことがあるわけではなく、どちらかにしか行ったことがないと考えるべきなので、場合分けして考えましょう。
「エジプト→インド」に行ったことがある人について考えましょう。
インド→ロシアと続きますが、ロシアのところでタイと中国に分岐するように見えます。この時は両方行ったことがあるので、ロシアに行ったことがある人は全員タイにも行き、かつ、全員中国にも行ったことがある人になります。
タイ→ドイツと続くので、エジプト→インドの人はエジプト→ドイツに出張に行ったことがある人だとわかります。
エジプト→タイに行ったことがある人について考えましょう。
こちらは簡単です。タイ→ドイツの命題がエで言われていたので、エジプト→タイの人はエジプト→ドイツに出張に行ったことがある人だとわかります。
よって二つの場合分けの両方ともドイツに行ったことがある人だと分かります。よって正解は1番だとわかります。